自身とはかけ離れた瀬川役への挑戦。「自分とはあまりにも違いすぎて比べるのが難しい。時代も違えば、境遇も環境も全く違うので」と話し、「色気はすごく意識しました」と明かす。

「普段、色気があるタイプとは口が裂けても言えないので(笑)。ちょっとした仕草や目線など、今までの役より細部まで意識しました。メイクさんが別の作品で1回ご一緒したことがある方で、『風花ちゃんをどうやって大人っぽく色っぽく作ったらいいんだ!?』ってすごく考えてくださって。所作指導の先生にも細かく確認しながら演じました」

声も意識していて演じたという。

「蔦重といるときとお客さんの前にいるときで声を変えていましたし、花の井と瀬川も若干変えていて。瀬川になったあとは、格が上がった感じが出せたらと思い、さらに気高く映るように。気高くあればあるほど、華やかであればあるほど、実際の務めとの落差というか、残酷さも際立ってくると思うので、そういうことも考えながら作っていました」

圧巻のオーラを放った花魁道中も、花の井と瀬川で歩き方や表情に違いをつけたと説明する。

「花の井のときは上半身は揺れずにまっすぐで、足だけで八の字を描いていましたが、瀬川の道中は上半身もちょっとひねって歩いていて、そこで貫禄というか凄みが増したらいいなと。表情も、花の井のときは、客さんを見て『この人はこういう風に微笑んだら落ちるな』とか、周りをすごく意識して歩いていたと思いますが、瀬川になってからは、簡単には手を出せないという格の高さや瀬川を背負う覚悟が見えたらいいなと思って変化をつけました」

10回で描かれた花嫁衣装での花魁道中シーンも振り返ってもらった。

「身請けされて大門を堂々と出ていくというのは花魁たちにとって数少ない希望ですが、瀬川の場合は、お勤めをしなくてよくなる解放感もありますが、ここを出たら蔦重と二度と会えないという、すごく複雑で。本来うれしいはずのものがお別れの道中になるので、すごく苦しかったです。なので、最後蔦重とすれ違う時は目が見られなくて。最初は蔦重と目を合わせ、振り返ってみんなに『おさらばえ』と言って前を見たあとは、蔦重を見ると大門を出ていけなくなりそうだったので、各々別の道を歩むということで目が見られなかったです」