アクション、コメディ、ラブストーリーなどあらゆるジャンルの作品で活躍し、見る者を魅了している俳優・生田斗真。Netflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』(世界独占配信中)では、最愛の妻と娘の復讐を誓う殺し屋を演じた。セリフはほぼなし、すべての感情をアクションで表現しなければならない難役に挑んだ生田、そして監督・脚本を担当した田中征爾氏にインタビューし、本作の制作においてこだわったことや壮絶アクションの裏側について話を聞いた。
河部真道氏による漫画『鬼ゴロシ』を実写化した本作。殺し屋稼業をしていた坂田周平(生田斗真)は、家族のために足を洗おうとしていた矢先に、謎の組織「奇面組」によって愛する妻・葵(木竜麻生)と娘・りょう(鷲尾心陽)を奪われてしまう。頭を撃たれた坂田は奇跡的に生き延びるも昏睡状態に。12年後、再び奇面組に襲われた坂田は、眠っていた殺しの本能が覚醒。壮絶な復讐が始まる。坂田の仇敵となる「奇面組」には尾上松也、東出昌大、高嶋政伸(高ははしごだか)、田中美央が名を連ねる。
本作は、5日に発表されたNetflix「日本の週間TOP10(映画)」で1位、「週間グローバルTOP10(非英語映画)」でも2位を獲得(2月24日~3月2日)。さらに、韓国、カナダ、イタリア、ドイツ、フランス、ブラジル、インドなど世界69の国と地域でも「週間TOP10入り」を果たした。
――田中監督が制作において大事にしていたことや作品に込めた思いをお聞かせください。
田中監督:原作の本質をどういう風に映画に持ち込むかというのが一番考え抜いたところでした。僕がこの企画の話をいただいたときは、まだ漫画が完結していなくて、物語を映画用に0から組み上げなきゃいけないということは自明でした。原作の本質的な魅力のどこの部分を抽出すれば一番正解なのか考え、悪役の造形、超ピュアな家族を失った男の復讐劇である、そして、坂田はめっちゃ強いけど体がしんどいという、この3つを絶対に見失っちゃいけないというか、全体の土台にしなきゃいけないと思いました。漫画でも、めっちゃ戦うけどめっちゃ体が痛いみたいな描写が頻出するんです。
――原作の本質を大事に撮影していく中で、特にこだわったことを教えてください。
田中監督:アクションの立ち回りのときに、生田さんにしつこく「しんどそうにしてください」と言っていました。
生田: ハァハァしんどそうにするのってしんどいので、「やべ、バレた!」みたいな感じはあったかもしれません(笑)
「どういう体の使い方をすればどういう風に見えるのか熟知されている」
――生田さんの坂田役への起用は、監督のご希望でもあったのでしょうか。
田中監督:生田さんが筆頭候補だとプロデューサーから伺っていて、まだ台本も出来上がっていない段階だったので、そこから生田さんをイメージしてどんどんブラッシュアップしていきました。
――脚本の段階から生田さんをイメージされていたんですね。
田中監督:そうですね。一番最初は原作に沿って坂田の年齢をもっと上にしていましたが、生田さんと伺ってから、もうちょっとここは動ける感じにしようとか、周りのキャラクターとの関係性の中で、このキャラクターはもうちょっと上の年齢にしようとか、そういう風に仕上げていきました。
――監督は生田さんの凄みをどのように感じましたか?
田中監督:僕の中で、身体性をどうやって表現するかというのがテーマでしたが、長い期間ずっとパフォーマンスをやられてきた方なので、どういう体の使い方をすればどういう風に見えるのか熟知されているんだなと、アクションの練習を拝見しているときから強く感じました。アクション以外の普通のお芝居でも、表情も含めて、体でどうやって見せるかというところは、ちょっとレベルが違う人だなと思いました。
生田:ありがたいですね。でも身体表現がここまで試される作品はそうそうないので、監督がシーン終わるごとに僕のところに来て、「あそこめっちゃよかったです」などと言ってくれることが僕の毎日の喜びでした(笑)