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尋常ではない古着愛を感じさせる宝さん。どんなにピンチがあっても、いつも笑っているのが印象的だ。

「本当に動じない人でした。預金残高が9万円でも、“創業時からこれくらいだし”、“俺、運がいいんで、つぶれない自信があるんです“。落ち込んでいるのを、あまり人に見せないですね」といい、そんな人柄にひかれて仲間も集まってきているようだ。

この人柄というのは、古着店においてとても重要な要素なのだそう。

「古着なんて、フリマアプリでいくらでも買えますが、“彼の選んだもの”だから買いに来るという人が多いんです。店員さんに会いたくて遊びに行ったら、たまたまいい古着があるとか、そこにしかないものを得たい体験をしたいんです」とのことで、いかに常連客を作るかが勝負になっている。

「例えば、宝さんの場合、膨大な商品知識をもとに、その古着が生まれた経緯や背景、その価値をストーリーテラーのようにとうとうと語り、客を“宝ワールド”に引き込む。元准看護師で業界歴が浅い登生さんは、自分が詳細を把握していない古着は、客に教えてもらいながら関係を築き、いつの間にか、弟のようにかわいがられています

 ヨウさんの店は、あえて夜10時まで営業し、遅い時間は、友人たちの溜まり場のような雰囲気で接客し、ファンを増やす。そして、あいりさんは、抜群のコミュニケーション力とSNSを駆使し、また来たいと思う店づくりを意識しているんです」

接客方法も仕入れる商品も、店が売れるか売れないかも、すべては自分の裁量次第。椎名Dは第一印象で彼らに「自由」を感じていたが、皆“孤独”がつきまとっているようにも受け止めたという。

  • あいりさん (C)フジテレビ

追い詰められていく中で、人はどう生きていくのか

今回の取材を通して、「“青さ”を持つことは、すごく大事なんだと思いました」という椎名D。「うまくやるだけが良いことじゃないし、つまずくことや挫折することも必要だなと思ったんです。僕も、“うまいこと番組を作る”というよりも、“自分が面白いと思ったものにこだわりたい”タイプなのですが、簡単に貫けるものではない。でも、改めて自分の中にある“青さ”を押し殺すことなく、大事にしていこうと思いました」と、気持ちを新たにしたそうだ。

23日放送の「後編」では、常にポジティブ思考だった宝さんが古着の山を前に「本当に超やばい。相当やばい」と焦り、登生さんが「もう限界です」と吐露するほか、ヨウさんやあいりさんが「オープンしてから最低でしたね」「ここまで(客が)いないとやる意味ないかな」と激減する売り上げを嘆く姿が。

椎名Dは「追い詰められていく中で、人はどう生きていくのか。店の行く末だけでなく、その人の、生き方が表れるのが、見どころになります」と予告している。

  • 椎名洋平ディレクター