えちごトキめき鉄道は、運賃改定の認可申請を北陸信越運輸局に行うと発表した。認可が得られれば、10月1日から普通運賃と定期運賃(通勤・通学)を平均18%値上げする。これにともない、他社線との乗継割引を普通運賃と通勤定期運賃で廃止する方針も明らかにされた。
同社は2020年4月、運賃を平均1.3倍に値上げした。2022年に中期経営計画(2021~2025年度)を策定し、「えちごトキめきリゾート 雪月花」の運行や「直江津D51レールパーク」、観光急行の活用などで利用促進を図る一方、設備投資の抑制、駅の営業時間短縮、運行本数の見直し等で経費削減に取り組んできた。しかし沿線地域の人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響、資材価格・エネルギー価格の高騰、最低賃金の引上げによる人件費増加など、厳しい経営環境が続いている。
中期計画期間中の営業収益は計画を上回る見通しだが、当期純損益は2024・2025年度の2年連続で計画を下回る見込み。2022年度以降、赤字経営が続いている。同社は開業当初より国・新潟県・沿線自治体から安定経営に対する補助金を受けており、コロナ禍を受けた緊急支援や大規模設備投資に対する支援も受けているが、「厳しい経営状況を好転させるまでには至っていない」とのこと。
中期計画では、運賃を平均1.2倍に引き上げる再値上げを2025年4月1日をめどに実施するとしていたが、利用者の負担を少しでも軽減できるように、改定時期を半年遅らせて10月1日とし、改定率も1.18倍にとどめた。今回の運賃改定により、旅客収入は年間約7,200万円増加する見込みだという。同社の普通運賃は他社の並行在来線と比べて高水準になるが、通学定期運賃は他社平均並みにとどめる。沿線自治体に対し、通学定期の負担軽減策を検討することも要請しているという。
なお、今回の運賃改定を実施したとしても、赤字の経営構造は変わらないことから、「数年後には資金ショートの恐れもある」と同社。鉄道維持に向けて新潟県ならびに沿線3市と新たな支援スキームの策定に向けた協議を続けると表明した。