一般的に20代から30代は社会に出て働き盛りと呼ばれる世代であり、今後のさまざまなライフイベントにかかる資金の基盤を作る上でもっとも適した年代です。若いうちから長い期間をかけて資産形成を行うことで、複利の効果が期待でき、効率的にお金を増やすことができます。ライフイベント資金とは主に、結婚、子育て、教育費、マイホームにかかる費用など、人生の節目節目でかかってくる大きなお金のことをいいます。今回の記事では、そもそも「ライフイベント資金」にはどのくらいのお金がかかるのか、具体例を挙げ、今からできる準備の仕方を紹介します。
主なライフイベントと必要費用の相場
20代、30代でかかることが予測されるのは婚約や結婚式費用が挙げられます。
結婚に関わる費用は、それぞれの価値観や文化の違いなどによってもさまざまですが、全国平均で415万円※にものぼります。
※ゼクシィ 結婚トレンド調査2023(リクルートブライダル総研調べ)
結婚に関しては、結婚式から新婚旅行、新居に引っ越す場合は家具の購入など、大きなお金がかかることが予測されます。
もちろん夫婦2人の貯金で全てを賄う必要があるわけではなく、双方の親族などから援助やお祝い金を活用し、補填できる可能性もありますが大きな金額のためあらかじめ準備してあればより安心です。
結婚後、子どもを持つ選択肢をした場合は子育てや教育費も予想されます。 子育ては人生において家族が増える喜ばしいことですが同時に経済的な負担もあります。 費用は大きく、養育費と教育費に分けることができ、養育費は主に子どもが自立するまでに必要な費用で食費や衣服費、医療費などの費用をいいます。
教育費は、高校、大学にかかる学費や、塾に通う場合の塾の費用などの教育に関する費用のことです。子ども一人あたり、大学まで教育を受けさせたとするとかかってくる費用は受けさせたい教育や各家庭の生活スタイルによっても差は出てきますが、ここではあくまで一般的な費用について紹介します。
教育費(入学・在学費用)は高校入学から大学まで通わせたとすると一人あたり平均942万円※となっています。
※日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
これは公立や私立、子どもに一人暮らしをさせるか自宅から通わせるかでも費用は変わってきます。
しかし、教育費だけでもこの金額がかかるとされ、それ以外にも養育費があると考えるとかなり大きな金額の準備が必要であることが分かります。
子育てに関する国の支援として子ども手当や教育ローンや自身で学資保険などを用意することで補填することができます。
さらに家庭を持ち、マイホームの購入を考えた場合、全国平均で4,900万円程かかるとされ、そのうち頭金は平均で500万円程とされています。人生のうち最も大きな買い物とされるのも頷けます。
また、住宅購入の際に必要となってくるのが住宅ローンです。住宅購入の際には8割以上がローンを利用しています。
ローンを組む際には、収支のシミュレーションを行い、購入する住宅の金額と、用意する頭金の金額を把握し、まずはファイナンシャルプランナーなどに相談してみると良いでしょう。
いつから備えるべき?
上記のように、20代から30代はライフイベントに伴い、それぞれかかってくる費用は少なくありません。
ただし、結婚、出産、子育て、住宅購入などの大きな費用がかかる際に、全てを貯金で賄わなくてはならないわけではなく、国の制度で出産一時金や、子ども手当、住宅ローン控除などを活用することで費用の補填ができます。
各自治体によっても制度は異なるのでお住まいの地域の支援制度を調べてみてください。公的な支援制度を利用しても突発的に費用がかかってくると、収支状況が不安定になり生活が立ち行かなくなるなんてことにもなりかねません。
そうならないためにも、独身であるうちや働き始めてからすぐに備えを始めることで、その分貯める期間が長くなり資産を効率的に増やすことができます。
毎月貯金できる金額は個人の収支状況によっても変わりますが、毎月3,000円などの少額からでも長期間で資産運用を行うことで複利の効果も得ることができます。早いうちから始めるに越したことはありません!
各ツールを活用しよう
大きな出費に備えるための代表的な資産形成方法として、学資保険や生命保険を利用して毎月保険料として積立てを行い、必要になったタイミングに合わせて解約することで教育資金などの費用にあてることができます。
保険以外にも、2024年度に新しくなった新NISA制度の活用で資産運用を行うのもおすすめです。株式や投資信託で得た利益は非課税となったり、少額からでも始めることができるので長期の資産形成に適しています。
またiDeCoを活用し、現役引退後の生活に向けた資産形成方法もあります。 新NISAもiDeCoも税制優遇措置があり長期間の積立に適していますが、投資信託なので元本が保証されていない点も認識しておく必要があります。
これから始めよう! 今やるべきこと
今後のライフイベントに備え、今すぐできることは貯蓄のゴールの設定です。資金をいくら貯めるのかそのために毎月いくらを貯蓄に回すのが適しているのか、金額や年数に応じて目標を立てましょう。
毎月の給料から無理のない範囲で積立投資に回せば、10年後、20年後に家族が増えたりマイホームの購入を考えたりする際に役に立ちます。
まずは金額の目標設定を行い、毎月の収支状況をしっかり把握しましょう。ライフプランは人それぞれ、自身の人生設計における考えや、貯蓄したい目的を専門家であるファイナンシャルプランナーへ相談をして自分に最適な貯蓄プランを一緒に作成しましょう!
この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介
小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社