テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、12日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」の視聴者分析をまとめた。
男色で有名な源内に言い寄られたが…
最も注目されたのは20時30~32分で、注目度74.6%。蔦重(横浜流星)が重要アイテム「平賀源内の序文」を手に入れたシーンだ。
平賀源内(安田顕)を吉原へ案内した翌朝、九郎助稲荷で蔦重は花魁・花の井(小芝風花)から源内が執筆した『吉原細見』の序文を受け取った。亡くなった想い人である二代目・瀬川菊之丞(花柳寿楽)が、舞の稽古をする姿を見ているのが好きだったという源内。花の井は瀬川の面影を自身に写した舞を披露し、源内の心を惹き付けることに成功したと昨夜のてん末を蔦重に語った。花の井は源内が松葉屋で花魁・瀬川を求める姿を見て、源内が心から求めているものを正確に見抜いていたようだ。
「何か、すげえな…すげえわ、花魁って」蔦重は花の井に対してあらためて礼を言うと、花の井は朝顔(愛希れいか)や吉原のことを考えているのは、蔦重だけではない、あんたは一人じゃないと言い残しその場を立ち去った。男色で有名な源内に言い寄られるなど大変な思いをした蔦重だったが、ようやく念願の「平賀源内の序文」を手に入れることができた。
安田顕の演技にも絶賛の声
注目された理由は、蔦重と花の井がどのようにして序をゲットしたのかに視聴者の関心が集まったと考えられる。また、源内の瀬川への一途な想いに心を打たれた視聴者が画面に注目したのではないか。
蔦重はようやく平賀源内と知己を得られたが、肝心の源内は有名な男色家。女を売り物とする吉原のセールスコピーを任せるには属性が真逆だった。蔦重はそれをも逆手に取り、男色家でも通いたくなるほど良い女がそろっているという触れ込みで源内に執筆を頼むが、当の源内は筆が乗らないと乗り気ではなかった。そこで、諸々の事情を把握していた花の井は、源内の要望を見抜き寄り添うことで、源内は吉原の深い味わいを知り、情緒あふれる序文を書かせることに成功した。
SNSには「蔦重の江戸っ子っぷりと花の井が素晴らしい。ふたりの掛け合いがいい」「吉原の女郎の為に奔走する蔦重と、そんな蔦重のために一肌脱いだ花の井。バディ感がいいね」「籠の中の鳥であることを自覚しながらも、自分にできることを考える花の井姐さんがすてき」と、2人の名コンビぶりや、花の井の機転と艶やかな容姿に称賛が集まっている。
また、「花の井の舞を見て、瀬川との逢瀬を思い出している平賀源内の表情が絶妙でしたね」「安田顕さんの源内がべらぼうによかった」「源内さんがどれだけ菊之丞さんを想っていたかが伝わってきて、エモかった」と、安田顕の演技も絶賛されている。
吉原は非常に厳格な階級社会だった。上から呼出(よびだし)、昼三(ちゅうさん)、附廻(つけまわし)、座敷持(ざしきもち)、部屋持(へやもち)、新造(しんぞう)、禿(かむろ)と呼ばれた。呼出は、客から指名されてから客のもとへ出向くもっとも高い地位の遊女。昼三は昼営業の揚代が三分かかる遊女、附廻は揚代が二分かかる遊女だ。座敷持は自分専用の座敷を持ち、そこで客をもてなすが、部屋持は自分の寝泊まりする部屋で客をもてなす。新造は新人の遊女で、禿は花魁の身の回りの雑用をする10歳前後の見習いの少女だ。呼出・昼三・附廻が花魁と呼ばれた。
今回、序文の受け渡し場所となった九郎助稲荷は吉原遊廓に鎮座していた稲荷社。昔、千葉九郎助という男が、天から降りてきた狐を地中に祀り、「田の畔稲荷」と呼んであがめたのが始まりとされる。吉原という特殊な環境で生活していた遊女たちは、自分たちの願いを託す相手として、九郎助稲荷を深く信仰していた。特に、縁結びの神様として信仰を集め、多くの遊女が良縁を祈願したといわれている。現在は、吉原神社として東京都台東区に祭られており、縁結び・所願成就・五穀豊穣の神様として信仰されている。