次は「コア視聴層」と呼ばれる男女13歳から49歳の層に注目してみる。この層のデータを見ると、21時以降の比較的遅い時間帯に放送されている番組が目立つ。放送時間が遅くても、内容に話題性や斬新さがあれば、高い注目度を獲得できることが分かる。

これは、コア視聴層の生活環境による影響も大きいのだろうが、それだけではなく、この世代がより尖った内容や実験的な試みが行われている番組に惹かれていることも示唆しているかもしれない。

男女13~49歳注目度ランキングで65.2%という数字を叩き出して1位に輝いたのは、『水曜日のダウンタウン』。2位の『世界の果てまでイッテQ!』に2ポイント差をつける結果は、この番組がいかに若年層を含むコア視聴層を獲得しているかを物語っている。世帯視聴率は5.4%で全体の40位と決して高い数値とは言えないが、視聴者を「くぎづけ」にするパワーは圧倒的だと言える。

では、『水曜日のダウンタウン』は、なぜ視聴者を惹きつけるのか。その魅力は、過激で予測不能な企画内容にある。例えば、芸能人に仕掛けるドッキリ企画は、時に視聴者をハラハラさせるほどの過激さだが、スリルと笑いの絶妙なバランス感覚が、多くの視聴者を虜にしている。また、「本当にこんなことが起きるのか?」と疑ってしまうような、突拍子もない説を検証する企画も人気だ。

演出を手掛ける藤井健太郎氏によれば「面白そうな企画でも、どこかの番組で先に同じようなことをやっていたら、基本的にはナシ」にするほど企画へのこだわりが強く、それがこの番組の最大の魅力と言える。

さらに、SNSでの拡散を意識した番組作りも、若年層の心をつかむ要因と考えられる。インパクトのあるシーンや展開を盛り込むことで、視聴者がSNSでコメントしたくなるような状況を生み出し、番組の話題性を高めている。

放送時間が22時~という点も、1日が終わってリラックスしている時間帯であり、コア視聴層のライフスタイルに合致している。これも高い注目度を獲得する要素と言えるだろう。

ファミリー層を中心に人気が高い『イッテQ!』

2007年の放送開始以来、不動の人気を誇る『世界の果てまでイッテQ!』は、コア視聴層の注目度において63.2%を獲得し、2位にランクインした。

さらに、個人全体注目度でも8位、男性注目度8位、世帯視聴率3位と複数の部門でトップ10入りを果たしている。女性の注目度も13位と高く、この番組がファミリー層を中心に性別・年代問わず様々なターゲットに受け入れられていることが分かる。

『イッテQ!』の大きな魅力は、長年にわたり続く人気企画の数々。中でも、イモトアヤコの珍獣ハンターや宮川大輔の祭り企画は、番組開始当初から続く定番企画でありながら、いまだに多くの視聴者から愛され続けている。これらの企画は、出演者それぞれの個性を最大限に生かし、時に笑い、時に感動を提供することで、視聴者を飽きさせることなく、長きにわたって支持を集め続けている。

長年にわたり日曜夜の顔として親しまれている『イッテQ!』。幅広い層から支持を集めている理由は、まさに国民的な日曜夜の定番番組として、お茶の間を楽しませ続けているからと言えるだろう。

男性13~24歳注目度で堂々1位の『新しいカギ』

フジテレビのバラエティ番組『新しいカギ』は、毎週土曜20時というゴールデンタイムに放送されている番組としては、視聴率においては苦戦を強いられていると言える。しかしながら着目すべきは、コア視聴層注目度が8位であること。そしてその内訳を見てみると、男性40~59歳注目度は93位でありながら、男性13~24歳の注目度においては堂々の1位を獲得している。そのギャップは非常に興味深く、他のバラエティ番組とは一線を画す「若者向け番組」であることが明確にわかる結果となった。

霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコの人気芸人3組をメインに据えた同番組では、特に学校を舞台にした一般視聴者参加型の企画「学校かくれんぼ」が、SNSでも大きな反響を呼び、若者を中心に人気を集めている。今年の『FNS27時間テレビ』では『新しいカギ』のメンバーが総合司会を務め、番組全体をプロデュース。ここでも「超!学校かくれんぼ」と「生学校かくれんぼ~かくれんぼ博士100人vsやす子~」という2つの企画が放送され、『27時間テレビ』の成功に大きく貢献した。

若者のテレビ離れが叫ばれて久しい中、若年層からの圧倒的な支持を得るこの番組には、テレビの可能性を大きく感じる。視聴者を巻き込んだ斬新な企画と、人気芸人たちの魅力を武器に、『新しいカギ』は、これからのバラエティ番組をけん引していく存在となるかもしれない。時代に合わせた新しい笑いを提供し続けることで、さらなる視聴者層の拡大も期待できるだろう。

2024年上半期のバラエティ番組注目度ランキングを分析すると、番組ごとの視聴層の違いが如実にわかる結果となった。『金スマ』に見られる女性人気の高さ、『家、ついて行ってイイですか?』の幅広い世代への訴求力、そして『水曜日のダウンタウン』のコア視聴層における圧倒的な支持――メディアの多様化が進む中で、視聴者が求めるバラエティ番組への「質」もより高いものになっている。

地上波テレビ局のバラエティ番組が、視聴者に支持され続けるコンテンツとなるにはどんな要素が必要なのか。注目度ランキングにはそのヒントが隠されているのではないだろうか。