主演の伊藤沙莉の座長ぶりも称える。

「人気のある人、ちゃんと仕事ができる人はすごいなと思いました。私は映像の現場に慣れていないので、同じシーンを何回も違う角度から撮るということがよくわかっていなくて。そういう時、沙莉ちゃんはそれを自分が“教える”という風ではなく『自分もわからないんですけど』という感じで、私が負担に思わないような形で教えてくれるんです。本当に気の遣い方がすごくて、とにかく明るい方です。主演だから一番疲れているはずなのに、一番の笑い声で笑ってくれるから、こっちが救われます」

その一方で、声優をやっていて良かったと改めて思った瞬間もあったそうだ。

「岡田(将生)くんは、最初の時は全然お首にも出さなかったのですが、次にメイクルームでお会いした時、すごくルフィが好きだということがわかって。それで『お前は俺の仲間だ!』と(ルフィの声で)言ったら、すごく喜んでくれたんです。その時は、ルフィをやっていて良かった! と思いました」

舞台は年間7本、少なくても5本ほど出演し続けているという田中。舞台の仕事について「若い頃はいっぱい出たい、たくさん出ている役をやりたいと思っていましたが、今は作品がすごく面白くて、出番が少なくても作品にとって必要な役であれば、生かされているなと思います。だから、演劇に関しては、そんなに主役をやりたいとはもう思ってはないです」と、年を重ねて考え方も変化したと明かす。

そして、「今後は、もっと映像の仕事もやっていきたいです」と抱負を述べ、「まだ新人なので(笑)。この年になって、新しいことができるっていうのはすごくうれしいことです」と語っていた。

■田中真弓
1955年1月15日生まれ、東京都出身。テレビアニメ『激走!ルーベンカイザー』(78)で声優デビュー。『うる星やつら』(83~86)の藤波竜之介役で注目される。主な声優の役柄に『天空の城ラピュタ』(86)のパズー役、『ドラゴンボール』シリーズ(86~)のクリリン役、『忍たま乱太郎』(93~)摂津のきり丸役、『ONE PIECE』(99~)のモンキー・D・ルフィ役など。声優のほか、女優やナレーターなど幅広く活躍している。

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