2番目に注目されたのは20時40分で、注目度75.0%。安倍晴明が、左大臣・藤原道長に長女の藤原彰子を中宮に立てるよう勧める場面だ。

「よりにもよって女御宣下の日に御子が生まれるとは…わが運も傾きかけておる」道長はため息まじりに弱気な言葉をこぼした。傍らにいた安倍晴明はすかさず、「傾いてはおりません。なんのさわりもございません」と言い切ったが、いつになく弱気な道長は「この頃、体調も良くないのだ」とさらに気落ちした様子で続けた。「ならば、女御様を中宮になさいませ」晴明は耳を疑うような提案をさらりと言ってのけると、道長は「え?」と、疲れた顔を晴明に向けた。

晴明は広げた扇の上に小石を拾って並べると、「太皇太后昌子様が、先ほどお隠れになりましたので、皇后の信子様と皇太后に祭り上げれば、皇后の座は空きます。そこに中宮・定子様を入れ奉り、そして彰子様が中宮になられれば、皆もひれ伏しましょう」と、淡々と状況の説明をした。「ひとりの帝にふたりの妃などあり得ぬ…!」強い剣幕で否定する道長だが、晴明は平然と「やってしまえばよいのです」と言ってのける。「なんということを…!」道長は晴明をにらみつけるが、晴明はまったく動じる気配もなく「国家安寧のために、あなたは彰子様を差し出された…一帝二后は、彰子様の力をより強めましょう。左大臣様のお体も回復されます」と、道長を圧倒した。「一帝…二后…」道長は噛みしめるようにそうつぶやくと、あまりにも現実味を感じられなかったこの提案を、吟味しはじめている自分に気がついた。

当時の朝廷では考えられない「一帝二后」

ここは、安倍晴明のうさん臭過ぎる表情と提案に、視聴者の関心が集まったと考えられる。「一帝二后」とは、1人の天皇に2人の正室が存在するというこれまでの朝廷では考えられない事態。当時の常識や先例に照らし合わせると、非常に突拍子もない提案だが、彰子が正室となれれば、道長の朝廷での権力はより盤石なものとなる。晴明のうさん臭い表情から発せられたうさん臭い提案だが、道長は次第にその提案が放つ魅力に気づいてしまったようだ。

ネット上では、「もはや影のドン」「親父は晴明を使ってたのに道長は晴明に使われてる」「晴明の大胆不敵な献策は、論理的な側面もある」などと、清明の暗躍ぶりに言及するコメントが多く投稿された。登場回数は決して多くないが、抜群の存在感を示している。今まで道長や道長の父・藤原兼家(段田安則)は、清明の助言や提案によって躍進してきたが、晴明との関係性は親子それぞれで変化が見られるところも面白い。

史実ではこの後、一帝二后を実現するために、道長の懐刀である藤原行成が東奔西走することになる。当然今まで前例のない事態のため、一筋縄ではいかないことは予想に難くない。数々の障害をどのように乗り越えていくのか。行成の活躍も見どころとなりそうだ。