過去にはトリニダード・トバゴ人と日本人のクォーターであることから差別を受けたり、デビューしてからも好きな自分になれなかったり、自分のことを愛せなかった時期もあったという。
「今はミックスって『かっこいい』『かわいい』と言われますが、以前はレアキャラみたいな感じで、差別とも向き合ってきました。また、デビューして皆さんに曲を聴いてもらえる環境にいましたが、当時は大学との両立で目の前のことをこなしていく日々で、キャパオーバーな状態が続き、『今の自分好きじゃないな』『もっと上手くできたな』とかすごく葛藤があって、20代前半から後半まで、反省して自分を見直す期間がすごくありました」
自分と向き合う中で、「自分のことを愛していこう」という気持ちに。
「私として生まれてきて、私として死ぬわけじゃないですか。自分のことを嫌いで死ぬよりは、最大限自分を楽しんで、好きでいられる自分になって、楽しかったなと思えたほうが幸せだなと。もちろん人間なので落ち込むこともあるし、もっとこうしたいと思うこともありますが、それも含めて自分が自分でよかったなと、自分を好きでいたいなと思います」
自分が好きでいられる自分を大切に。そして、そんな自分をそのままオープンに表現している青山だが、「自分らしさという言葉は好きではない」と言う。
「自分らしさは日々変わると思っていて、この日はピンクが好きだけど、今日は青が好きとか変わるし、自分のマインドも変わっていくので、自分らしさはこうだという答えがなくて、それでいいと思っています。今好きなものが好きだし、今思っていることがすべて。モーニングルーティンとか決まったルールは何もなくて、ルールを作ることによって自分がそこにハマったら面白くないなと。できるだけ自由に柔軟性を持っていたいと思っています」
原点に戻って「音楽って楽しい!」と純粋に思えるように
歌手活動についても尋ねると、最近になって「音楽って楽しい!」と原点に戻って大切な気持ちを取り戻すことができたと明かす。
「デビュー当時は新人で、『私が一番イケている!』ってすごく自信満々だったんですけど、現実を知るというか、売れてない時期もありましたし、だけど数字を追わないといけなかったり、みんなは青山テルマにこれを求めているんじゃないかとイメージを意識しすぎたり。もちろん誰かの心に残るものが作れたら幸せですが、最近は純粋に音楽って楽しいなと思えて、原点に戻っている感覚があります」
現在アルバムを制作中で、その過程において音楽の楽しさを改めて感じたという。
「『これTikTokでバズるかな』といったマインドではなく、純粋に『これライブでやったら超盛り上がって楽しそう!』と考えられるように。『今日も頑張ろう』『いい気分になるな』と思える力が音楽にはあるんだよなと思いながら作っていて、楽しく音楽を作っているバイブスが伝わればいいなと、すごく純粋な気持ちに戻った気がします」
音楽活動に留まらず、バラエティに出演したり、近年はヘアケアブランド「mythm(ミズム)」をプロデュースしたり、女優業にも挑戦したり、活躍の幅を広げている。
「バラエティに出演させてもらったり、Netflixの番組でMCをさせていただいたり、アーティストで同じことをやっている人がいないというか、一生懸命活動する中で、自分なりに自分だけの道を切り開いてきたのかなと」
現在36歳。将来については「40代、50代、60代になった時に、頑張ってきたからこそ送れる人生を送りたい」と思い描いているそうで、「しっかり休みも取りつつ、自分が楽しいと思えることができたら」と語る。
「音楽との関わり方もたくさんあると思うので、ジャズバーで歌うのか、CDを出すのか、そのときにやりたいと思うことをやっていけたらいいなと。純粋にファンのことがすごく好きなので、みんなの幸せを願いつつも、その上で自分の幸せもちゃんと楽しめる人生を送っていきたいです」
今後も幅広い活躍に期待しつつ、音楽の魅力を改めて感じている今の青山が届ける楽曲たちも楽しんでいきたい。
1987年10月27日生まれ、奈良県出身。トリニダード・トバゴ人と日本人のクォーター。幼稚園からインターナショナルスクールに通い、10代はアメリカ・ロサンゼルスで過ごす。2007年にメジャーデビュー。翌2008年にリリースした「そばにいるね feat. SoulJa」が大ヒットし注目を集める。明るいキャラクターを生かしてバラエティ番組に出演し、NHK Eテレ『英会話フィーリングリッシュ~データで選んだ推しフレーズ』レギュラーMCや、Google Pixelの広告塔などでも活躍。ヘアケアブランド「mythm(ミズム)」のプロデュースも始め、マルチな才能を発揮している。