韓国の自動車メーカーであるヒョンデは、電気自動車「IONIQ 5 N」(アイオニック ファイブ エヌ)の日本発売に合わせて『攻殻機動隊』とのコラボレーションを実施している。両者のコラボでどんな化学反応が起こる? 渋谷で開催中の体験型イベントに潜入してきた。
本日発売の「IONIQ 5 N」も展示!
1989年に出版された士郎正宗の原作マンガ『攻殻機動隊』(GHOST IN THE SHELL)を起源とし、さまざまなメディアミックスが展開される攻殻機動隊シリーズは、その圧倒的な世界観とビジュアル表現から全世界のクリエイターに影響を与えた近未来SFの金字塔に数えられるモンスタータイトルだ。『攻殻機動隊 SAC_2045』は攻殻機動隊シリーズが紡ぐ新たな未来像で、2020年のウェブアニメを皮切りに世界的な人気を誇る最新作となっている。
攻殻機動隊とコラボする「IONIQ 5 N」は、6月5日に日本で発売となったヒョンデの最新モデル。「IONIQ 5」をベースとするハイパフォーマンス電気自動車(EV)だ。
パワートレインには高性能デュアル駆動モーターを採用。「N Grin Boost」(10秒間、より高い出力を発揮するモード)使用時には前輪175kW、後輪303kWを発揮し、最高出力は478kW/650PS(通常時は前輪166kW×後輪282kWの448kW/609ps)、最大トルクは770Nmに達するという。まさに、『攻殻機動隊』で描かれる未来の世界からそのまま飛び出してきたようなとんでもないクルマなのだ。価格は900万円前後となる見込み。
コラボの理由は?
モンスターEVとモンスタータイトルのコラボレーションは、いかにして実現したのか。ヒョンデ代表取締役社長の趙 源祥(チョ・ウォンサン)さんによれば、両者の未来ビジョンが一致したことによるものだという。趙さんはこう語る。
「『攻殻機動隊 SAC_2045』の主人公・素子は、作中で“生きるとは何か”“人間とは何か”を追求し続けています。IONIQ 5 Nもまた、“クルマとは何か”“運転の楽しさとは何か”“EVの高性能とはどういった定義になるのか”を追求し続けて完成したモデルです。それぞれの分野で物事の本質を追求するという哲学が共通する両者の出会いは、必然のように感じています」
今回のコラボについて趙さんは、「『攻殻機動隊』という幅広い世代に愛されるIPを通してクルマを知ってもらいたいという願いがあります。そのために、『攻殻機動隊』の持つファンダム層に刺激としてコンテンツを提供し、ヒョンデやEV、そして運転自体に興味を持ってもらえたら」とも話していた。
ちなみに『攻殻機動隊』は、韓国でもとても人気の高いコンテンツだ。本イベントが盛り上がれば、韓国開催もあり得ない話ではないという。
そんな趙さんに韓国のEV事情を聞くと、「国の支援制度もしっかりしていますし、消費者の意識も『この先はEVと水素しかない』というところまで進んでいます」とのこと。では、世界に比べ遅れているともいわれる日本のEV市場は趙さんの目にどう映っているのか。
「日本という国は、方向が決まればものすごい速度で加速していく国です。EVの普及という面では、日本メーカーがどんどん参入して、みんなで底上げをしていかないと、なかなか広がっていきません。ある意味で、今の私たちは、そうした状況になるのを少し待っている状態と言えます。でも、そうした状況にさえなってしまえば、そこから日本のEV市場は面白くなると思います」
650馬力の世界をシミュレータで体感!
ここからは、実際にイベント会場でどんなことが体感できるのかを紹介していきたい。
まず、メインステージに設置された「IONIQ 5 N」には、通常とは違う仕掛けが施されている。アクセルを踏むことで、「Nアクティブサウンド」と呼ばれる3種類の音源を実際に運転している雰囲気で楽しむことができるのだ。
しかし来場者の中には、渋谷という土地柄もあって、子供など実際にクルマで体験できない人もいるはず。そうした人たちのために、Nアクティブサウンドをヘッドホンで楽しめる装置と、650馬力の世界が10秒間体感できる装置の2つが用意されている。
メインステージの反対側には3台のシミュレータが用意されている。ここではヒョンデが「N」の技術を磨く「世界ラリー選手権」(WRC)をゲーム感覚で体験できる。
会場の床に設置されている4つのQRコードを読み込み、全てのキーワードを集めて「N」の謎を解けば、コラボステッカーがもらえる。この「QRラリー」と「シミュレータ」「ヒョンデの会員登録」の全ての条件をクリアすると、A2サイズのキービジュアルポスターがゲットできる。我こそはと思う人は会場に足を運んでNの謎を解き明かし、豪華アイテムを手に入れていただきたい。