東京国立近代美術館は、10月1日から「ハニワと土偶の近代」を開催する。古(いにしえ)の地層から出土するハニワや土偶のイメージは広く浸透し、奇怪な形態をした縄文土器も広く愛されている。近代美術では、こうした出土遺物に着想を得た作品も少なくない。

考古学の資料として扱われていた出土遺物の“美的な価値”が、戦後、岡本太郎やイサム・ノグチによって「発見」されたというエピソードは伝説化しているが、近代以降、地中から掘り出された遺物に着目した人物は、彼らだけではない。出土遺物は美術に限らず、工芸、建築、写真、映画、演劇、文学、伝統芸能、思想、教育番組にいたるまで、幅広い領域で文化現象を巻き起こしてきた。

出土遺物を“美的に愛でる”という視点はいつから芽生え、一体いつから出土遺物は美術作品のなかに登場するようになったのか。出土遺物は一時期に集中して注目を浴びたのか。その評価はいかに広まったのか。作家たちが異物の掘り起こしに熱中したのはなぜか――同展では美術を中心に、文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を、明治から現代にかけて追いかけながら、ハニワや土器、土偶に向けられた視線の変遷を探るものになるという。期間は10月1日から12月22日まで。