ミュージカル『テニスの王子様』(通称『テニミュ』)シリーズ20周年の集大成として開催されている、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン Dream Live 2024 〜Memorial Match〜(通称『ドリライ』)。神戸ワールド記念ホールの兵庫公演を終え、5月31日〜6月2日には有明アリーナで東京公演が行われる。
ミュージカル『テニスの王子様』は大ヒット漫画『テニスの王子様』(通称『テニプリ』)を2003年から舞台化し、2.5次元ミュージカルの先駆け的存在となっている。本公演は、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン初のライブ公演。これまでの公演で披露された楽曲の数々を、ライブならではの演出で届けていく。
このライブで、2021年5月のテニミュ4thシーズンスタートから出演してきた青学(せいがく)メンバーが卒業することも明らかになっている。今回は、3年生メンバーである手塚国光役:山田健登、大石秀一郎役:原 貴和、不二周助役:持田悠生、乾 貞治役:塩田一期、菊丸英二役:富本惣昭、河村 隆役:大友 海が座談会を行い、同シリーズへの思いなどについて語り合った。
ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン Dream Live 2024 〜Memorial Match〜 青学(せいがく)3年生メンバー集結
――まずは、長年演じてきたキャラクターについての思いをぜひ聞かせてください。
山田:自分は手塚との共通点がなくて。だからこそ、僕に足りないものを全て持っている手塚からいろいろ教えてもらっている気がして楽しかったですし、やりがいもありましたし、この役に出会えて良かったなと思っています。チームができて、公演をするたびに結束力が高まって。みんなしゃべり出すと止まらないんですけど、これも良さだなと思っていて、このパワーが同じ方へ向かった時に、どの学校よりも強いと感じました。
持田:泣きそう。いいこと言う。
塩田:(背中をさする)
持田:泣かないよ!
原:僕、(大石に)似てる?
5人:似てる似てる!
原:みんなそう言ってくれるんですけど、大石の性格や正義感は自分に足りないところだと思っているので、演じながらずっと尊敬があったし、公演があるごとに原作を読み直して「大石、すごいな」と感心していたので、ずっと近づきたいと思いながらやっていました。
持田:僕が演じる不二周助は、青学(せいがく)で唯一心の中が違う。みんな全国を目指して勝ちたいと思っている中で、勝ちへの執着がないところから始まって、立海公演までの間で心の動きがあったので、そこを演じるのがすごく楽しかったです。
塩田:姿勢とか、頑張ってこだわってたよね。
持田:え、すごいアシストしてくれる。
塩田:乾は努力の塊という存在だったので、僕も「乾だったらグリップはどこで巻き直すんだろう?」とか、「乾だったら何番目に部室に入ってくるんだろう」とか、色々考えました。かなりの確率で最初の方に入ってくるだろうなと思ったので、僕も1番に稽古場に入るように意識したり。自分自身がダンスや歌が得意ではなかったので、ずっと努力を続けて少しでも乾という素晴らしい存在に近づけるように考えながら稽古に臨みました。それで、結果、本当によくしゃべるようにもなりましたし……。
持田:もともとだね。
山田:もういいのよ、そこは成長しなくて!
持田:でも本当に、最初の頃って稽古場に入るのは僕が1番だったんです。知らないうちに抜かされてて、「いつも一期がいるな」と思って普通に行くようになったけど、そういうことだったんだ! すごいね。
塩田:テニスの技術も知識も追求し始めたらどんどん面白くなってきちゃって、実際にやりたいなと思ってきて。ここまで楽しくできたのは、自分が乾という役をいただけたからなのかなと思います。
富本:僕はメンタル的な部分で一緒に成長できたと思います。氷帝公演(ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs氷帝)で大石と組めない菊丸が成長する過程があるんですけど、僕自身も今までは「自分ができていればいいや」と思っていたところがあったんですが、「菊丸も成長するから、俺も成長しなきゃな」「1人じゃダメなんだな」と思って。チームだから、1つのものをみんなで目指さなきゃいけないんだなという精神が生まれました。
塩田:惣ちゃんはよくダンスの動画を見て、僕たちをまとめてくれて。
持田:家でもやってくれるよね。修正をまとめた動画をみんなに送ってくれる。
富本:持ち上げてくれてる(笑)。でも、僕もみんなから教わったことだったから、ちゃんと恩返しをしたいなと思って。頼りにされるのは嬉しいです。
大友:僕が演じた河村 隆は、ラケットを持っている時と持っていない時の二面性があるので、今思うと違うキャラクターを2人を演じているみたいな感じでした。性格が180度違うので、役者としていい経験をさせてもらったなと思います。
――ご自身はどちらの性格が近いですか?
大友:普段は、どちらかといえばラケットを持ってない時ですかね。
原:絶対そうでしょう。ラケットを持っている時だったら大変。
持田:でも、たまにスイッチ入るからね!
大友:ふざけたくなっちゃう時があるんだよね(笑)。だから、ラケットを持った時と、僕自身が調子に乗った時が、重なることはあるのかも。
■互いを表す言葉やエピソードにガチ照れ
――ここまで苦楽を共にしてきた仲間ということで、今お隣に座っている方についての印象をぜひ教えてください。
山田:原ちゃんは大石そのままなんですけど、途中でより頼もしくなりました。最初の方は、僕が稽古に参加できなかった時に「原ちゃん、僕この日いないからよろしくね」とお願いしたら、「どうしよう、やばい!」と焦っていたのに、手塚が治療のためにチームを離れる六角公演(ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs六角)から人が変わったかのようにまとめ出して。今だから言えるけど、僕は本当に、何もアドバイスしてないんです。原ちゃんの人柄ありきのまとめ方で、みんながついていっているんだなと、チームを離れたから気づいたことがたくさんあって、「こんなにもしっかりした副部長がいたんだ」と思いました。真面目なんです。
原:(照れる)
持田:ガチで照れてる!
原:照れるよ、これは! もっちー(持田)は、最初話しかけづらい印象だったんです。陽気な感じで。
全員:(笑)
原:でも公演を重ねるごとに情熱が強い人なんだなと思うようになってきて。他人思いだし、情に厚いけど、普通にしゃべっていたら絶対にわからないですよね。いい意味で裏と表がある、熱い男。後輩に対する面倒見も良くて、優しいし、気にかけてくれるし、もっちー好きですね、僕。
持田:(笑)
原:今でこそ家族みたいな存在と言える仲で、大体「この人はこういう人だ」とわかるけど、最初のもっちーはわからなかったから。だんだん仲を深めるごとに良さに気づいていきました。
持田:ありがとうね。次、一期。青学(せいがく)って、すごく仲いいんですよ。気持ち悪いぐらい仲いいじゃん(笑)。だけど、最初からこうだったわけじゃないんです。僕は一期のことは、最初はむしろわからなくて。でも今、めちゃくちゃ仲いいんですよ。なんでなの?
塩田:それはもう、僕が心を開放した。もっちーに心を開放してしまった。
持田:一期は最初からうるさかったわけじゃないんだよね。独り言か独り言じゃないのかよくわからないことをずっと言ってて、どう接していいかわからなかったんだけど、ある時に「あ、これ無視していいんだ」と気づいたんです(笑)。1番冗談が多いんだけど、1番真面目で努力する人だと思います。一期は乾のことを「努力の塊」と言ってたけど、一期も努力の塊で、普段から乾を意識してるのが分かったし、頑張ったよね。
持田&塩田:(グータッチ)
塩田:ちょっと、もっちー涙目?
持田:そんなわけないよ(笑)。とにかく、役者として尊敬する人です。
塩田:終わり?
持田:ほしがるね(笑)。イベントでも、一期とのやり取りは楽です。リズム感じゃないけど、間がよいというか、漫才している感じ。楽屋でも隣なのでよくしゃべるし、原ちゃんもそこに入ってるから挟まれてうるさくて (笑)
塩田:俺に対しての告白でもいいよ。
持田:でも……好きです。
塩田:ありがとう。
山田:次進もうか?
富本:僕もそろそろ褒められたい!
塩田:惣ちゃんは自分でもさっき言っていた通り、急激に精神的な成長を遂げた。最初の方は表情に出やすい場面もあったんです。でもいつからか俯瞰して見るようになっていたのが印象深いところで。ダンスに関しても芝居に関しても俯瞰して見てくれているし、青学(せいがく)の中でも人の変化とかいち早く気づいてくれるのは、惣ちゃんかな。同じ3年生の役なので話しやすいし、芝居中も絡む機会が多かったりして。俺のS3(シングルス3)での試合(ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs立海)を見て感情をガッと入れて応援してくれていたのが目に入って嬉しかった。
富本:乾が勝って、めっちゃ嬉しかったもん。
塩田:惣ちゃんともいろいろ喧嘩とかあったけど、それも逆に今となってはいい思い出というか、いい経験だったなって。
持田:喧嘩とかしたの!?
塩田:最初不動峰公演(ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs不動峰)で日替わり(アドリブ)の準備をしている時に、惣ちゃん一人に任せっきりになっちゃった時があって……本当にこっちが悪いんですけど。
富本:僕がパーンとなっちゃって(笑)。でも、楽しかったね。
塩田:それすらも本当にいい思い出だし、いい経験だなと。いろんなことを積み重ねて今に至るんだなと思います。
富本:次、海くんね。最初はマジでわかんなかったです。得体の知れない人すぎて。でも、僕が海くんを尊敬するポイントがあって……。
4人:!?
大友:……1個ぐらいあるよ、それは。1個もないみたいな顔するのやめてくれよ(笑)
富本:海くんって、自分のワールドを強く持っているんですよ。それを簡単に他人に崩されないという意志がすごい。僕はどっちかというと人に流されやすいタイプなので、海くんを見てるとかっこいいなと思って尊敬する。
大友:ありがとうございます
富本:あとはダンスもめっちゃうまいし。僕もわからない時は海くんに頼るし、みんなすごく助かってます。お芝居のバリエーションが多いし、日常生活の言葉の使い方も、引き出しが多いんだなと。おもしろいし、頭いいし。
持田:淡々とボケるもんね。
富本:淡々とボケて淡々とツッコむ、頭の回転の速い人。でもほんと、こんなに青学(せいがく)に馴染むなんて。
持田:「青春チーム」の歌詞まんまだよね。今となっては惣昭と兄弟の盃を交わしてて、最近コンビだもん。
山田:親友でしょ?
塩田:立海公演で親友にランクアップした。
富本:立海公演で仲良くなったし、最初はそんな感じじゃなかったのに、「青春チーム」で1番に泣き始めて、青学(せいがく)に愛情持って参加していたんだなと嬉しかったです。
大友:泣きまくってましたね。健登くんは最初の不動峰公演の時からいい意味で何も変わらなくて、語らずともわかる部長としてのオーラがすごくあった。手塚が声をかければみんながパッて集まるように、稽古場で健登くんが声をかければみんながパってすぐ集まるところがすごい。生まれ持った才能。
持田:カリスマだよね。
山田:(照れる)
持田:自分で思ってないだけだよ、本当に!
原:副部長の僕が「みんなやるよ!」と言っても、誰も聞いてない。で、健登くんが言ったらみんなピッて集まる。
持田:多分、声のトーンが違うんだよ。
大友:青学(せいがく)で1番男らしい要素が強いのも健登くんだと思ってるし、歌がすごく上手いから初期の頃から歌の面で引っ張ってくれた部分も大きいのかなと思います。
持田:僕からも言っていいですか? 青学(せいがく)はこれだけ仲が良いんですけど、健登がいなかったらこんなに仲良くなかった。個性が強すぎてまとまらないから、健登が全部バランスを保ってる。でも本人はそれに気づいてないんです! それがいいところなんですけど。飾らないところがまたすごい。
山田:今日、スキップしながら帰ります(笑)
大友:いや、本当に健登くんが部長でよかったなと思います。
20周年を迎えた『テニミュ』シリーズで「新しいことに挑戦」してきた
――『テニミュ』シリーズ20周年ということで、テニミュ4thシーズンに参加しバトンをつなぐ中で感じたことなどはありましたか?
塩田:『テニミュ』4thシーズンは、演出家の(三浦)香さんやプロデューサーをはじめ、みんなで新しいことへの挑戦を目標にずっとやってきて。香さんの演出はすごく素敵で好きだし、歌詞も言葉の意味がダイレクトに刺さるのが、演じていてありがたいことだし、楽しかったです。でも全部が全部新しいことではなく、今まで歴代の先輩方が作り上げて手渡してくださった、『テニミュ』1stシーズンから3rdシーズンまでのバトンをつないでいかなくてはとも感じているんです。よくプロデューサーが「これから何十年先も『テニミュ』が好きな人が増えていくようにしたい」とおっしゃっていて、僕も時代を作ることに携われたのが心の底から嬉しいし、ありがたいことだなと思います。
大友:『テニミュ』4thシーズンの先駆けになって、きっと過去とは違う部分がたくさんあるんだろうなと思うんですけど、僕たちはこれまですべてのことをかっこいいと思い、誇りを持ってやっていたので、貴重な経験をさせてもらえて良かったなと。
持田:海が言わなそうな熱いこと言った!
大友:本当にいい経験でした。
持田:『テニミュ』に出ることだけじゃなくて、こうやって家族ができる喜びを、みんなに経験してもらいたいよね。お芝居する、歌を歌う、テニスをする、ダンスを踊ることだけが全てじゃないんだなと気づかされたから、バトンをつなげるのは嬉しい。
富本:その代でしかできないことがあって、その代だからこそ歌えた歌詞とかもある。僕たちで言うと「青春チーム」とか「Best of the best!」とか。代特有の色をみんなで見つけ出そうと、いっぱい悩んで考えて喧嘩もしたりして。
山田:いい意味で、次の代の方たちには「僕たちを見ないでほしい」という気持ちがあるんです。もちろん魂はつながれていくだろうし、僕らも「卒業してから公演を観に行く」というのが、ずっと1つの夢みたいになっていて。だからのびのびと楽しくやってほしいな。
原:僕は、海がさっき言ったように『テニミュ』4thシーズンは歴代の演出と異なってスタートしたので、どんどん新しいものを作っていかないといけないと思うし、若い世代が時代を変えないといけないと思うんです。挑戦の一歩として、僕たちが青学(せいがく)でできたことがすごくありがたい。でも『テニミュ』ならではの雰囲気、『テニミュ』でしか感じられないものが絶対にあると思っています。
――それでは、最後に一言ずつ自分以外の青学(せいがく)3年生キャストの『ドリライ』の見どころをリレー形式で教えてください。
塩田:菊丸英二役の富本惣昭は、元気でガンガンにお客様を楽しませると思うので、みんな惣ちゃんのテンションに負けじとついてきてくださいね。楽しみにしていてください!
富本:副部長の大石をいろんな角度から見られると思うので、ぜひ楽しみにしていてください!
原:手塚部長はもう歌声です! 皆さん、この歌声で酔いしれてください。
山田:不二は大きな会場を、一人で焼きつくすかのように盛り上げる場面がきっとあると思うので、楽しみにしていてください。
持田:海は僕の大好きなあの曲をきっとやってくれるんじゃないかと期待しているので、僕を泣かせてください!
大友:一期くんはカチカチな乾の髪型が崩れちゃうくらい騒いでくれるんじゃないかなと思います! 楽しみにしていてください。
■山田健登
5月29日生まれ、長崎県出身。歌手、俳優として活躍し2023年にシングル「Starlight」でメジャーデビュー。男女混声ボーカルグループ・Love Harmony's, Inc.のメンバーとしても活躍する。俳優としてはほかミュージカル『新テニスの王子様』シリーズ(20年〜)に出演。
■原 貴和
12月9日生まれ、山口県出身。2021年に劇団番町ボーイズ☆NEXT第2回公演『ギブアップダンス!!!』で俳優デビュー。主な出演作に舞台『あの夏の飛行機雲-永南高校バスケットボール部-』(22年)、ミュージカル『すずらん通りの青い鳥』などがある。 また舞台『BURNS FAMILY』(24年)を控える。
■持田悠生
7月13日生まれ、埼玉県出身。2020年年にミュージカル『新テニスの王子様』テニミュボーイズとして俳優デビュー。ほか出演作に迷宮歌劇『美少年探偵団』(21年)、舞台『灼熱カバディ』(22年)、舞台『カリスマ de ステージ』シリーズ(23年〜)、舞台・ドラマ『Stray City』シリーズ(23年〜)がある。
■塩田一期
12月22日生まれ、東京都出身。保育士資格、幼稚園教諭二種免許を所持し、2021年に『ミュージカル・テニスの王子様4thシーズン』で俳優デビュー、同シリーズに出演している。
■富本惣昭
7月21日生まれ、東京都出身。2020年に映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』で俳優デビュー。主な出演作にドラマ『FAKE MOTION -卓球の王将-』(20年)、『僕らのミクロな終末』(23年)、舞台『一瞬の風になれ』(21年)、舞台『灼熱カバディ』(22年)、『ル・ゲィ・マリアージュ~愉快な結婚』(23年)などがある。舞台『劇走江戸鴉〜チャリンコ傾奇組〜』(24年)を控える。
■大友 海
6月26日生まれ、三重県出身。2018年に応募総数5,075名の応募者の中から選ばれ、2022年までHi☆Fiveとして活動。2021年に『ミュージカル・テニスの王子様4thシーズン』で俳優デビュー、同シリーズに出演している。