どりーちゃんの誹謗中傷の捉え方にも感心したという橋田。メディアなどで性被害の話をするたびにアンチの声が届いてくるそうで、「自分の経験を話すことに需要があって講演などに呼んでいただけるのであればぜひ行きたいと思いますが、このことについて発信すると、全部が誹謗中傷に変わっていくので、自分から積極的に発信する勇気はないんです」と苦悩をにじませる。

このテーマについてどりーちゃんが提唱するのは、「嫌いでも好きでも、私のことで頭がいっぱいになってくれることで承認欲求が満たされるから、嫌われてもいいんです。私の人生のモットーは、“他人の人生の主演を張りたい”なので、アンチされるのは、どちらかと言えば気持ちいいタイプなんです(笑)」という考え方。

それを聞いた橋田は「僕の発想にはなかったので、すごく勉強になりました。“誹謗中傷をするのはやめましょう”という一点張りだったので、メンタリティの強さというよりも視点を変えるということが大事なんだと気付かされました」と受け止め、SNSでの活動について、「僕はまだ触り始めで、1つ投稿するのにも勇気を出して“よしっ!”という気持ちなので(笑)、まずはそこを取っ払いながら柔軟に取り組んでいきたいと思います」と意欲を示した。

マスメディアの沈黙…ここあで終わってほしくない

「演劇や表現の世界に入り浸っているのが僕の普段のスタイルだったので、そこに戻れるように頑張りたいと思います」という橋田。初めて来場した「デザフェス」は、多くの“表現者”が集まるイベントだけに、刺激を受けた部分も大きいようだ。

「お金も知名度も関係なく、6,000というオリジナルのブースが集まって、それが一つ一つ全部違うのを見ると、表現者が生きてるんだなと思いますし、夢があるなと思いました。僕はジャニーズ事務所を辞めて、やっと手に入れた表現の世界での生計を、今回全部崩してしまったので、『デザフェス』で刺激ももらいましたが、自分がまたゼロからのスタートだという現実を改めて見せられた感じもあります」

旧ジャニーズ事務所をめぐる問題を大きくした背景として、同事務所の再発防止特別チームは「マスメディアの沈黙」に言及した。これを踏まえ、橋田は今後の自身の活動についても、忖度なく発信してほしいと願う。

「僕が自分の生活をしていくために、自分のことを発信してほしいという気持ちももちろんありますが、それを取っ払っても、この問題に関して沈静化して風化されることにならないでほしいんです。もしそうなったら、“結局あの時、ワーッと盛り上がって報道したけど、その後は何もしないじゃん”と思われてしまうじゃないですか。取り上げやすいものばかりを取り上げていたら、きっとまた同じことが起こってしまうので、やっぱりメディアの皆さんには、ここで終わってほしくない。だから、僕の今の生活がダメになっていくことすらも、こうして取材して発信するスタンスでいてくれたらうれしいです」

●橋田康
1985年生まれ、東京都出身。ダンサー・俳優として、舞台『ロミオとジュリエット』『王家の紋章』『イヴ・サンローラン』『ガイズ&ドールズ』などに出演する。