ミュージカルや演劇の舞台を中心に活躍していた、元ジャニーズJr.で俳優・ダンサーの橋田康。旧ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏からの性被害を告白し、昨年12月には被害補償について合意したが、これをきっかけに生活が激変したという。

過去の出来事に一区切りつき、新たな道に進もうとする彼の前に立ちはだかったのは、性被害の告白者というイメージに起因すると思われる仕事の激減や、数多くの誹謗中傷。それでも、告白したことを「後悔」にしたくないという強い思いを胸にもがく橋田に、話を聞いた――。

  • 俳優・ダンサーの橋田康

    俳優・ダンサーの橋田康

ここまで仕事がなくなるとは思わなかった

仕事が激減した現状について、橋田は「僕自身の実力や魅力の問題もあると思うので、一概に性被害を告白したからではないと思います」とした上で、「予想外でした」と率直な心境を打ち明ける。

「ここまで本当に仕事も何もなくなってしまうとは思いませんでした。テレビやラジオ、ミュージカルやお芝居ができないのであれば、“こういう形はどうでしょう?”とアプローチもいっぱいかけてきたんですけど、それも全部ダメだと言われてしまう。この告白を経たからこそできることもあると思って、そういうオファーもあると思っていたのですが、正直皆無です」(橋田、以下同)

一部の被害者が提示された補償額を公言したが、昨年12月に被害補償について合意した橋田は「僕はお金について戦わないと決めたので、世間で言われているような額は全然もらっていないです。仕事がなくなって、生活すらも危うい状態というのが実際のところです」と吐露。

その上、「告白したことによって性被害者というイメージが付いて、知名度だけが残ってしまっている状態なんです。歩いてたら名指しされる顔なので、アルバイトをしようにも、何かを耐えながらやらなければいけない」と厳しい状況に追い込まれているが、「このままだと、告白したことが“後悔”になってしまうので、何とか今の苦悩が報われる状態にまで持っていきたいです」と決意を語る。

固定概念があることに気付かされた

その突破口の一つとして注力し始めたのが、SNSでの発信。そこで、引きこもり生活を送りながらツイキャス生配信の投げ銭収入で稼ぐ「どりーちゃん」と、5月19日に東京ビックサイトで行われた「デザインフェスタ(デザフェス)vol.59」の会場で生配信対談を行った。

どりーちゃんは、趣味でぬいぐるみの装飾品やドット絵を製作しており、そこに着目したフォロワーが「デザフェス」での出店を提案。今回は初めてのイベント出店だったが、ブース内に普段の引きこもり部屋を再現することで“外出”可能となり、橋田との対談が実現した。

  • どりーちゃんとの生配信対談の様子

彼女の話を聞いて、「普段の活動では関わらない方とお話ができたので、貴重な時間でした。今のこの状況からどう脱却すればいいのかという未来が、少し明るくなったのかなと思います」といい、多くの学びがあったという橋田。

「どりーちゃんは、“働かずに引きこもってたい。でもお金は必要”という姿勢がすごく明確ですよね。それをツイキャスでちゃんと実行できていたのに驚きましたし、僕は38歳ですが、“お金はこうやって稼がなきゃいけない”という固定概念があることに気付かされました。だから、“性被害者でたくさん名前が出ちゃったから、旧ジャニーズ事務所を追い込んでしまったから、こんなことはできない…”と殻に閉じこもるのではなく、いろんな視野を持って、自分のやりたいことをいろいろ集結させて、自分の道を一つにつなげられたらいいのかなと思いました」