――一条天皇の人物像をどのように捉えていますか?
博識高く、竜笛や猫が好きだったり、定子との関係性が最初に出てくるので、そこに対してすごく愛情深い帝だなと思いましたし、定子との関係性、彰子との関係性について調べれば調べるほど、とても人間的だなと思う部分もたくさんありました。もちろん帝に最終決定権はあるのですが、道長が勢力を持っていた時代の中で自分の意志をしっかりと示して政をしようとしていて、真っすぐな思いもあったのかなと感じました。
――脚本の大石先生と役についてお話はされましたか?
撮影中もその前にもお会いしました。その時に、定子とは一条のほうが年下なので、甘えるような関係性、彰子に対しては、一条のほうが年上になるのでお兄さん的立ち位置でよろしく! とお言葉をいただきました。つい最近またお会いし、僕がお芝居したあとの編集段階のものを確認されて「いいじゃない!」と言ってくださり、すごくうれしかったです。
――初登場時の一条天皇としての年齢は14歳。塩野さんご自身は29歳ですが、若いシーンを演じる際に意識したことを教えてください。
最初は若く作ろうと思いましたが、そこまで意識しなくていいということだったので、気持ちの部分では青さや若さは持ったままですが、14歳、15歳を演じているぞ! という心持ちではなかったかもしれません。昔の人たちは今の14歳、15歳より大人びていたと思いますし、年齢というよりも、とにかく真っすぐさを意識して演じました。
――定子役の高畑充希さんとの共演はいかがですか?
高畑さんと以前共演したことがあって、そのときにすごく素敵な女優さんだなと思い、それからいろいろドラマや映画を拝見させていただいていて、一種の憧れをずっと持っていたので、そんな高畑さんとご一緒できるのはうれしいなと。本人にも「好きなんですよ」と伝えたら「告白?」と言われました(笑)
――一条天皇と定子との関係性についてはどのように感じていますか?
お互いを思い合っているだけでは成立しないものがお互いの身に降りかかってくるので、そういった葛藤もあり、一緒にお芝居していて愛おしいけど、どこか苦しかったです。定子のほうにも家のことがあると重々承知しているし、自分も帝として公卿たちに後ろ指を指されないようにしっかりと芯を持っていかなければいけないという思いもあり、楽しく愛し合えたシーンは一瞬だったなと思います。
――定子と彰子という2人の女性の間で揺れ動く一条天皇ですが、そのあたりは演じていていかがですか?
定子への寵愛ぶりは一条の中で大きく膨れていたと思いますが、彰子と触れ合うにつれてどう変化していくのか、僕自身もまだわかりません。ただ、シーンを重ねていくたびに、一条はこういう思いだったのかもしれないなと感じる気持ちが多いです。一条の中では御簾の存在が大きくて、孤独で寂しいんです。みんなが自分の昇進や家を守るためにと動いている中で、ダシにされているという思いもあったと思いますし、欲望が渦巻いている中にずっとさらされていたんだなと。