新NISAだからといって誰でも儲かるわけではない

お金に興味を持つことは決して悪いことではありません。実は、今はタイミングが必ずしもいいとは言えないと思います。なぜなら、日経平均が最高値を更新しているということは高掴みをする恐れがあると言わざるを得ません。

実際4万円台に乗ったかと思えば連日続落しています(2024年3月12日時点)。

ここで需要になるのはタイミングなのです。多くの人は高くなっているところで購入し、下がり始めたところでビビッて売ってしまっている。ここに大きな問題があるのです。

短期の値動きで売ってしまうのは個人投資家がすることではなく、機関投資家やヘッジファンドのやることです。株式投資で成功する人というのは、多くの人とは逆の動きができる人なのです。株が最安値更新しているときに株を買い、今のタイミングで売っている方が一番儲けているのです。

個人で投資を始める方にまず必要なのはお金の「IQ」を高めること。なぜなら、まず、利益が出なければ税金は発生しないからです。

利益が出る前から税金対策をするのは順番が逆です。なので「新NISA」をすれば、必ず儲かるわけではありません。

ここ30年で、バブル崩壊と失われた時代が来ました。その中で儲けた時も損をした時もありました。海外に例を取ると、中国の不動産市場でしょう。

10、20年かけてお金持ちになる方はローリスクです。しかし1年などの短期間で手っ取り早くお金持ちになるのはハイリスク。ローリスクで長い目で見て、できる限りの資産形成をするときに「新NISA」が初めて活きてくるのです。

ここで私の提案は、ゆっくりお金持ちになろうということです。時間を味方につけるが普通の人にとっては最良の道なのです。

足るを知る

次に重要になるのは足るを知ることです。自分の器を知り、その中でできうる限り最良な道を取ることが、「無形資産」につながります。自分の器を知らないで変な気になると大抵損をする。そのような例を山ほど見てきました。

自分の器を見誤った人が損をしている。ではここで、「有形資産」と「無形資産」とはどのようなものか分類しておきたいと思います。

「有形資産」とは不動産や車などの目に見えるモノのことを言います。お金や株など、モノにすぐ変換できるものも有形資産だと考えています。次に、「無形資産」とは人脈や信用、ブランドを築いていくこと、言い換えれば「歴史」です。

長期の付き合いが大切であって、一瞬でお金持ちになろうという人の多くはすぐ消えていくものなのです。そういう方は最終的には成功しないのです。その上で重要になるのは人生を長期戦に捉えることです。

10年前より自分の活躍具合が徐々に上がっているのか、下がっているのかを見極めておきましょう。そのような無形資産が上がっていくことを見ることが重要なのです。

無形資産には、お金になる無形資産とお金にならない無形資産があります。お金になる無形資産とは信用やブランドなのですが、もっと大事な「無形資産」はお金にならないのです。

例えば、夫婦の愛や友情などはお金に変えてはいけないし、変えられないものです。なぜなら、心の平安をもたらすからです。

価値が付けられないこれらには、子どもとの時間なども含まれます。恋人や友人とワイワイする時間が大切なのであって、そのために仕事をするという意識が必要なのです。そういうことをないがしろにして仕事に追われてしまうというのは、本当に本末転倒です。

そういう意味でも、お金にならない無形資産を一番にすることが重要。次にゆっくりとお金に積み上がっていく無形資産である、信用などが大切になってきます。

同時に有形資産である不動産や株なども形成していくべきだと思います。これには理由があって、ある程度それらがないと、自分が本当にやりたいことができないからです。

また本人が幸せでないとお金儲けに走る。それこそFXや暗号通貨で「億り人」になろうとしたり、友人関係を犠牲にしたりするネットワークビジネスでお金を稼いで幸せになれると思っている……そういう判断をする人が一定数います。

しかし、自分の友情を犠牲にしてでもお金持ちになろうとする人は失敗するものではないでしょうか。自分にとって何が一番大切かという優先順位を考えた上で、お金に関わることが大切です。

お金にならない無形資産を如何につくるか?

自分の人間関係のどこに重きをおくか、整理する。そこにお金と時間を費やすべきです。とはいえ、家族を高額な旅行に連れて行かなければいけない訳ではなく、手作りのサンドウィッチを持って公園でピクニックに行くなどでもいいのです。

またライフプランを考えることが重要です。例えば、どこまで仕事をして、どこまでプライベートな時間を作るといったバランスを考える必要があります。その中で、どういった仕事をするかという点で、どこまで自分でリスクを取れるかの選択をしなくてはいけないのではないでしょうか。

得意なことを仕事にすれば、お金にはなるけれどもつまらない人生になるかもしれない。得意でもなくお金にもならない仕事をやれば悲惨な人生になってしまう可能性もある。好きなことだがお金にならないと、売れないミュージシャンのように結構大変な人生になってしまうかもしれない。

プログラミングが好きでも、IT企業に就職できない可能性もありますし、ましてやエースエンジニアになるのはIT企業の中でも狭き門です。

なので、どこまで自分がリスクを取れるかを考えて選択をするべきです。ただリスクマネジメントはあまり考えすぎないことも重要です。何故なら私が見てきた多くの成功者は、自身の直感を信じていましたから。

なので、自身の成功を求めるのならば、自分のライフプランのなかでバランスを取り、どこまでのリスクがとれるかを考えたら、後はとにかく、自分の直感を信じてその道に飛び込んでみてください。そこにはまだ見ぬ景色がきっと見えることでしょう。

著者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)

神戸生まれ。経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」。独自の経営アドバイスで、いままでに多く のベンチャービジネスの成功者を育ててきた。育児セミリタイア中に書いた小冊子「幸せな小金持ちへの8つのステップ」は、世界中130万人を超える人々に 読まれている。