阪急電鉄は16日、京都線の新型特急車両2300系と座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」の報道内覧会を実施した。「PRiVACE」の車両は2300系の大阪方から4両目に連結され、車内は横3列(1列+2列)の座席配置に。7月のデビューを予定している。

  • 阪急京都線の新型特急車両2300系。座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」のヘッドマークを掲出した

同社は今夏から、京都線に新型特急車両2300系、神戸線・宝塚線に新型通勤車両2000系を順次投入。ともに日立製作所が製作するアルミダブルスキン構造の車両(8両編成)で、2300系はセミクロスシート仕様、2000系はロングシート仕様となる。

開発コンセプトは「安心と快適、そして環境に配慮した新しい阪急スタイル」。伝統のマルーンカラーや木目調の化粧板、ゴールデンオリーブ色の座席など「阪急電車」のイメージを継承しつつ、前面の窓ガラスに曲線を取り入れ、疾走感を醸し出すデザインとした。

京都線の新型特急車両2300系において、大阪方から4両目に座席指定サービス提供車両を連結。サービス名称の「PRiVACE(プライベース)」は「PRIVATE(プライベート)」と「PLACE(場所)」を掛け合わせた造語で、「“自分時間”が過ごせるプライベート感」を表現した。車両デザインも「“自分時間”にこだわる、阪急らしい特別な一両」という考え方にもとづき設計され、とくに内装はプライベート感と快適性を兼ね備えた上質な空間づくりをめざした。

  • 「PRiVACE」の車両は大阪方から4両目に連結。窓下にゴールドのラインをあしらい、客室窓は座席1列ごとの配列とした

「PRiVACE」車両の外観はマルーンカラーを基調としつつ、ゴールドのラインを施し、一般車両とは異なる特別感を演出。乗降ドアは車体中央部に1カ所のみ設け、ステンドグラスをイメージしたデザインで「特別な空間への玄関口」として存在感を強調した。客室窓は座席1列ごとの配列とし、車窓の景色をより楽しめるようにしている。マルーンカラーの車体色も相まって、外観だけでも格調高い車両との印象を受けた。

横3列(1列+2列)の座席はゴールデンオリーブ色の生地で伝統的なデザインを踏襲しつつ、座面幅と足もとの前後スペースを広く取り、リクライニングに座面が連動する機構を採用。周囲の視線が気にならないように座席頭部側面の形状を工夫し、2列シートにパーテーションを設けるなど、「自分だけのプライベート空間」を感じられる座席とした。収納式テーブル、ドリンクホルダー、荷物用フック、マガジンラック、読書灯、コンセント等を設置し、車内無料Wi-Fiサービスも利用できる。

  • 「PRiVACE」の座席は横3列(1列+2列)の配置に

  • リクライニングに座面が連動する機構を採用。読書灯も備える

  • 収納式テーブルも用意している

  • 各座席に電源コンセントを設置

  • 車いすスペースも用意されている

  • 出入口部も上質な空間を演出

車いすスペースに隣接する座席は車いす利用者の優先席に。客室端部にスーツケース等を収容できる共用荷物コーナーも設けた。車内の状況を確認できる防犯カメラと、車内環境を快適にする空気清浄機も搭載。床面にカーペットを採用して車内の静粛性に配慮するとともに、間接照明を採用し、荷棚の素材を半透明とすることで、手もとにも十分な光が届くようにした。出入口部は壁面下部と床に落ち着いた木目調の素材、壁面上部に大理石調の素材を施し、ダウンライトでやわらかく照らして上質な空間を演出する。

座席指定サービス「PRiVACE」は2300系だけでなく、既存の特急車両9300系も一部編成の大阪方から4両目に連結する予定。乗車の際、運賃に加え、1乗車あたり500円の座席指定料金が必要となる。専属のアテンダントが添乗し、座席への案内等を行う。京都本線の京都河原町駅から大阪梅田駅まで運行される特急・通勤特急・準特急を対象に、7月から1時間あたり2~3本でサービス開始。その後も編成を順次増やし、2025年頃には1時間あたり4~6本へ拡大するとしている。