3月8日より劇場上映、そして7月24日にBlu-ray&DVDが発売されるVシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』は、2022年から2023年にかけて放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーギーツ』のラスト・エピソードとして、多くの特撮ファンからの注目を集めている。

仮面ライダーギーツ/浮世英寿が世界を見守る「神」となり、かつて仮面ライダーだった者たちがそれぞれの「叶えたい願い」のため精一杯生きている中、ふたたび人類の平和を脅かす未曾有の脅威が訪れた。変異種ジャマトの出現をきっかけとして、バッファ、タイクーン、ナーゴたち「仮面ライダー」はふたたび激しい戦いの道を歩み出す……。

テレビ地上波では見られないバイオレンス風味のアクションや、異なる種族同士の「種の垣根を越えた愛情」といった深いテーマを追い求めた本作は、まさに『仮面ライダーギーツ』の集大成というべき骨太のVシネクスト作品に仕上がっている。ここでは、仮面ライダーギーツ/浮世英寿(演:簡秀吉)と共に物語の中核を担う仮面ライダーバッファ/吾妻道長を演じる杢代和人にご登場いただき、1年もの長きにわたる『ギーツ』撮影の日々を振り返っての感想や、熱い応援をしてくれたファンへの強い感謝の気持ち、そしてヒューマニズムにあふれたVシネクストのストーリー性、本作で初披露されたバッファ強化フォーム(バッファプロージョンレイジ)の変身に込めた思いなどを聞いた。

※本インタビューには作品内容のネタバレを含みます。

  • 杢代和人

    杢代和人 撮影:大塚素久(SYASYA)

『仮面ライダーギーツ』仮面ライダーバッファ/吾妻道長を演じる杢代和人

――まずは、『仮面ライダーギーツ』テレビシリーズの撮影が終わったときのお気持ちから教えてください。

1年という長きにわたって続いてきた作品が、今終わったんだという達成感や、ずっとお世話になったキャスト、スタッフの方々への感謝とか、いろんな感情が押し寄せました。もちろん、すぐにみんなと会えなくなるわけじゃなくて、このあとVシネクストを撮ったりもすることはわかっていましたが、1年間やってきた「節目」を迎えたという意味で、やっぱりクランクアップ(撮影完了)の瞬間は自分にとって感慨深かったです。

――道長という人物を演じたことで、杢代さんご自身がキャラクターから影響を受けたことはありますか。

杢代和人

道長は最初、デザイアグランプリのプレーヤーとして登場し、1度退場して今度は「ジャマト」側について、やがて「すべての仮面ライダーをぶっつぶす力」を手に入れて、最終的にはギーツ/英寿と一緒にデザイアグランプリの運営側に立ち向かうという、1年間の振り幅が大きいキャラクターでした。

そんな中で、道長の気持ちは最初から最後まで芯がまったく曲がっていない。デザイアグランプリで誰かが望みを叶えようとすると、他の大勢の人が幸せを奪われる。そんな「不幸」の連鎖を断ち切りたいというのが道長の考えです。演じる僕としても、自分の中にある芯は曲げてはいけないとか、どんなことがあっても意志を貫こうとか、そういう思いを持っておいたほうがいいかな、と思うようになりました。

――とてもたくさんの仮面ライダーが登場し、生き残りをかけて争う場面が多くありました。他のインタビュー記事を読んでいると、キャスト陣のチームワークがとてもよい印象です。杢代さんと共演者のみなさんとの関係性について聞かせてください。

『ギーツ』は個人戦といいますか、作品の中でキャラクター同士がずっと一緒にいるという場面がないんです。道長、英寿、景和、祢音をメインとして、個々のストーリーがしっかり描かれていて、みんなが役に向き合ったからこそ、いざ集まったときのパワーがすごい。僕はそれがとてもいいなと思っていました。芝居から離れて、みんなでいるときのチーム感もありますが、全体ではなく、一人ひとりの個性が強いというのが『ギーツ』の魅力だと思います。

  • 杢代和人

――道長が英寿に抱いていたような、ライバル同士の火花バチバチ感というのは、キャスト同士であったりしましたか。

簡(秀吉)とはふだんから仲良くしていましたが、役の上ではライバルですから、撮影では常に緊張感を持ちながら取り組んでいました。僕自身、現状に満足するのではなく常に戦っていきたいと思っていましたし、道長と英寿が一緒にいるシーンは、他よりもいろいろなことを考えていたので、どの共演シーンもすごく印象に残っています。最初は少しピリピリした緊張感もあったとと思いますが、撮影も中盤に入り、アルキメデルに2人で挑むというくだりで初めて英寿との「同時変身」をしたとき「やっと一緒に(敵を)倒せるやん」なんて言葉を交わしたことで、お互いの意識を共有できたというか、よい緊張感に変化した気がしました。

『仮面ライダーギーツ』で過酷な体験

――テレビシリーズで、杢代さんがいちばん「大変だった」と思う撮影を教えてください。

もう何年も俳優をやっていて、過酷な体験をしてきた僕が「もうツラい!」と思ったロケが『ギーツ』でありました。テレビシリーズ31話で「さいたまスーパーアリーナ」の、ここ絶対に一般の人が入れないよねっていう高さまで、螺旋階段をのぼり、ハシゴをのぼり、トタン屋根の上をカンカンと渡った場所で撮影をしたんです。この回は田崎(竜太)監督の『ギーツ』初登板だったんですが、僕が思わず「ここ、撮影する場所じゃないんじゃないですか?」と尋ねてしまいました(笑)

真冬の寒い時期、周りに高層ビルが建っているために冷たい風が吹きまくっていて、僕らは寒いというより「痛い」という感覚でした。簡と一緒のシーンだったんですけど、カットがかかったら少しでも暖かい場所へ避難するべきなのに、そんな元気もなくて2人とも思わずその場にしゃがんでしまったという(笑)。田崎監督もあまりの寒さに、途中からキツそうになって「みんなで頑張って(ここの撮影を)終わらせよう!」と言うものですから、ああ、みんなキツいんだなって思ったりして。僕のこれまでの俳優人生でトップクラスのツラい撮影でした。今でも、さいたまスーパーアリーナへ行くと、てっぺんのほうを見ちゃうんですよ。「ああ、あそこでとんでもなくツラい撮影をしたなあ」という、思い出深い場所ですね(笑)

  • 杢代和人

――Vシネクストの上映以前、昨年の12月に『仮面ライダーTHE WINTER MOVIEガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦』が上映されました。このとき『仮面ライダーガッチャード』チームと『仮面ライダーギーツ』チームのコラボがあり、道長、景和、祢音がそれぞれバッファケミー、タイクーンケミー、ナーゴケミーに変身してしまう場面がコミカルに描かれましたね。杢代さんがかわいいバッファケミーの声を演じたときの感想はいかがでしたか。

とても楽しかったです。僕はアフレコが好きなので変身後のバッファのかけ声を入れるときも、体力を使いますけど楽しんでやっていました。バッファケミーの姿がかわいいので、いつもの道長の雰囲気とケミーっぽさの「間」をとって、山口(恭平)監督と話し合いながらセリフの言い方を工夫しています。自分とは違うキャラクターの声を演じるって、もっとやりたいんです。声優のお仕事とかも憧れがあります。今度、アプリゲームの『ライドカメンズ』って始まるじゃないですか。追加の仮面ライダーが出てくるとき、僕も声を演じてみたい! この発言、強調しておいてもらえると嬉しいです(笑)