2020年春のビデオリサーチによる視聴率調査のリニューアル以来、各局で「コア層」(13~49歳など)を重点指標の1つに設定してきたが、日テレはついに、編成戦略目標を「個人全体視聴率・コアターゲット視聴率両方3冠」から「コア」に振り切ると宣言した。

TBSは「新ファミリーコア(4~49歳)とALL(個人全体)を共に獲得できるタイムテーブルを目指します」とし、フジは「“共視聴”No.1のテレビ局を目指します」と方針を定め、「テレビを1人で見る人が大半になっている現代でも、たまには誰かと一緒にテレビを見て、笑顔になって幸せを感じていただきたい」(中嶋部長)と狙いを述べた。

そして、2023年の年間視聴率で開局以来初めて、個人全体が全日・プライムの2冠、世帯がゴールデンを含む3冠を達成したテレ朝は、2015年10月クール以来、8年半ぶりのGP帯バラエティ無改編。河野部長は「特定のターゲットを排除することなく、あらゆる年代の視聴者の皆さんにテレビをご覧いただきたいと考えております。もちろんファミリーターゲットも重視していますし、深夜は若年層をターゲットにした番組を多数編成しておりますが、今後の人口のボリュームゾーンを考えますと、高年齢層の皆様にもしっかりと番組をお届けすることが重要だと思っていますので、様々な時間帯に様々な年齢層の方に楽しんでいただけるコンテンツを供給していくことになります」と、“オールターゲット戦略”の堅持を打ち出している。

先述した各局ゴールデン帯で音楽番組の編成が増加する背景には「コア」獲得という狙いもあるが、テレ東の工藤部長は「うちで言うと、若い層だけに見ていただくような番組の構成や歌にするつもりはないです。視聴率で言うとALL、ご家族で安心して見られるように制作のプロデューサー陣が味付けをして、全体で見てもらえる番組を作りたいと思っております」と、音楽番組コンテンツへの考え方を述べた。

  • タモリ(左)とビートたけし

今改編では、タモリの『ブラタモリ』(NHK)が終了し、ビートたけしも『奇跡体験!アンビリバボー』(フジ)を卒業。これでレギュラー番組は、タモリが『ミュージックステーション』(テレ朝)の1本、たけしが『世界まる見え!テレビ特捜部』(日テレ)と『ビートたけしのTVタックル』(テレ朝)の2本のみとなる。

40年にわたりテレビ界のトップに君臨してきた“お笑いBIG3”の2人のほかにも、1987年の番組スタートから『サンデーモーニング』の司会を務めてきた関口宏が勇退し、草野仁は『世界ふしぎ発見!』が38年の歴史に幕を下ろすなど、昭和の時代からテレビを支えてきた司会者たちからの世代交代の流れが、「コア重視」の促進もあいまって引き続き進んでいる印象だ。

なお、テレ朝で不定期に放送されている『タモリステーション』について、河野部長は「その時々のテーマでお届けしていますが、今後も旬な話題や深堀りしたい話題があるときに編成してまいります」と方針を語っている。