ミュージカル『町田くんの世界』の公開稽古&記者会見が5日に都内で行われ、川崎皇輝(※崎はたつさき)、長澤樹、湖月わたる、吉野圭吾、演出のウォーリー木下が取材に応じた。

  • 川崎皇輝

    川崎皇輝

同作は安藤ゆき氏による人気コミックの初ミュージカル化作。物静かで、頭が良さそうな外見とは裏腹に成績は中の下、アナログ人間で不器用なのに運動神経は見た目どおりの町田くん(川崎)が、周りのみんなを変え、みんなに愛されていく新感覚人間ドラマとなる。ほか神里優希、斎藤瑠希、礒部花凜、大月さゆ、浜崎香帆、岩橋大、鶴岡政希、スウィングの伊藤理沙、成海亮が登場した。

■ミュージカル『町田くんの世界』公開稽古&記者会見にキャスト陣登場

公開稽古では同作のメインテーマである「Colors of Our Herrts」、朝が始まる「おはようありがとう」を披露。主演の川崎を中心としつつ、キャストは街のさまざまな人を演じ、回転するセットも動かしていく。稽古中にキャストが歌いにくいキーが変更になったり、セットを動かす人数を調整したりと柔軟に進んでいき、同級生とのシーンでは神里に演出のウォーリーから「もっと芸能人ぽく」といった指示が飛ぶ一幕も。神里はターンで応えていた。

  • 川崎皇輝、長澤樹、神里優希、斎藤瑠希、礒部花凜、大月さゆ、浜崎香帆、岩橋大、鶴岡政希、湖月わたる、吉野圭吾、ウォーリー木下、伊藤里沙、成海亮

    フォトセッションの流れで生まれた『町田くんの世界』ポーズ

会見では、同作についてウォーリーが「『本当にこんな子(町田くん)がいるのかな』と思うような子が『いるんだ』と信じたい気持ちにさせてもらえる作品。最初は普遍的なお話だなと思ったんですけど、今の日本に置き換えて読むと、いろんな分断や差別や争いがたくさんあって『どうやって解決できるんだろう』と思っていたところに、『1人の男の子の存在で変わるのかもしれない』と思えて、とても面白い。日本人が演じて歌って作るミュージカルとしてはぴったりな題材だなと、今のお客様に観ていただけるのも意義を感じています」と語る。

主演の魅力について聞かれると、逡巡するウォーリーに川崎が「めっちゃ詰まるじゃないですか!」とツッコミ。「(川崎を)見て言うか、見ないで言うか悩んだ」と釈明したウォーリーは「第一印象は『地頭がいい』。戯曲をたくさん読んだり、この作品に向き合うまでに経験したりしたことが大きいと思うんですけど、どうやったら自分がこの作品に貢献できるか、楽しくハッピーでみんなが前向きになれるような空間を作るか(考えている)。そのためには厳しいこともしなくちゃいけなくて、その場で決めなくちゃいけないことがたくさんあるけど、瞬時にパパパッと決めてやって見せて、今まで『できない』と言うことがない。そういう準備をしてきたんだなという印象があります。あとはこれからもっともっと(稽古が)大変になってくので、また新しい川崎皇輝くんが出てくるような気もしていて楽しみです」と絶賛した。

川崎は「こうやって言っていただけることが本当に嬉しいなと思いますし、『これから出てくる新しい川崎皇輝』というのはなんなんだろうと、全然わかっていないので、ウォーリーさんについていきながら、皆様で見つけていただけたら嬉しいな」と期待する。

シアタークリエで主演ということについては「シアタークリエはミュージカルを語る上で外せない劇場だと、勝手ながら認識をしているんですけど、そこでミュージカルの主演をすることに驚いたと記憶していて」と決定時の心境を振り返る。一方で「劇場自体にはとても馴染みがあって、事務所の主催のライブで毎年伺ってましたし、僕が所属する少年忍者が初めて単独ライブをやったのもシアタークリエなので、思い出もあり馴染みもある劇場。実際にこの劇場でミュージカルで主演となると、馴染みのある楽屋、舞台袖、舞台上、きっと見え方が変わるんじゃないかな」と予想。座長という点については「あんまりまだ深く考えていなくて、座長という立場である以上、自分らしくカンパニーを楽しもうと思っているので、楽しい空気づくりに一役買っていけたらと思いながら、日々稽古させていただいています」と語った。

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■吉野圭吾「演劇の限界を超えようとしている」

長澤は同作の“町田くん”について「いてほしいなと思います。町田くんみたいな人で溢れたら世界が素敵になっていくんじゃないかなと思うくらいに素敵な人だなと思います」と表す。「お稽古が始まってから、“ちょい町田くん”みたいな人がいっぱいいることに気づいて。電車で席を譲ったりとか、色々含めてちょっとした“町田くん”が心の中にいるんだなと思う」と気付きもあった様子。

また“町田くん”の母役の湖月だが、主役も含めた5人の子供達をキャストが兼役で演じるため「幼稚園生までいるんですけど、5番目の『けーご』というのが、吉野圭吾さんでございます」と紹介し、周囲に笑いが起きる。「これぞウォーリーさんマジックと言いますか、素敵な手法で。きっとみなさん観たら愛おしいと感じていただける家族になっていますから」と太鼓判で、川崎も「みんなで『かわいい〜』と言いながら」と明かした。

「演技力が試される」という吉野は、同作の稽古について「今、演劇の限界を超えようとしているんですよ。演劇の次へ行こうとしている。新しい演劇を見せようとみんなで奮闘しているんです。ウォーリーさんが『演劇はスポーツだ! みんなでボールを回すんだ』と言って。その感じでみんな楽しくやってます」と説明。ウォーリーはたじたじになりながらも「全員で物語を語る形式の演劇なので、自分の役だけをやるというより、全編通して2時間ほど舞台上に基本出ずっぱり」「生身を感じてもらいながら一体どこまでがフィクションで、どこまでが吉野さんなのかなとか、そんなことを楽しみながらやれるミュージカルはなかなかないので。それが『町田くんの世界』の物語とグルグル回るような仕組みになっています。グルグル回るっていうのが、まさにこの舞台ですね」と、表現。キャスト陣が感心すると「自分でもしゃべりながら初めて(出てきた)」と照れていた。

東京公演はシアタークリエにて3月29日〜4月14日、大阪公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて4月19日〜4月21日。

  • 川崎皇輝、長澤樹、神里優希、斎藤瑠希、礒部花凜、大月さゆ、浜崎香帆、岩橋大、鶴岡政希、湖月わたる、吉野圭吾
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