俳優の反町隆史が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『グレイトギフト』(毎週木曜21:00~)が現在放送中だ。今作は、『ラストマン-全盲の捜査官-』(23年、TBS)、『マイファミリー』(22年、TBS)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(21年・23年、TBS、映画)、『グランメゾン東京』(19年、TBS)など、ヒット作の脚本を次々と手掛ける黒岩勉氏による完全オリジナル作で、「完全犯罪の殺人」を可能にする未知の殺人球菌「ギフト」をめぐるノンストップの“サバイバル医療ミステリー”。

先週放送された第6話では、警部補の神林育人(尾上松也)までもが理事長・白鳥稔(佐々木蔵之介)の支配下にあると判明。逃げられないことを悟った藤巻は「もういっそのこと殺してください」と告げるが、そこへ“ギフトの創造者”と名乗る人間から電話があり――。黒幕は一体誰なのか、ギフトが明鏡医科大学付属病院に持ち込まれた理由とは。いよいよ真相に迫る後半戦が展開されていく。

きょう29日放送の第7話を前に、今回は主演の反町と脚本家の黒岩氏の対談が実現。50歳と同い年の二人が、演じる者、描く者の視点で今作について語った。

  • 反町隆史、黒岩勉

    左から俳優の反町隆史、脚本家の黒岩勉氏=テレビ朝日提供

反町隆史、『グレイトギフト』は「海外ドラマのよう」

――同じ医療を取り扱ったドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室』では医療従事者の“光”を描いた黒岩さんですが、今回は権力争いにまつわるダークサイドの部分を描いています。構想のきっかけを教えてください。

黒岩:過去に医療ドラマ執筆のために病院へ取材した際、たまたま病理部を見せていただく機会がありました。病理部の中に、院内感染が起きたときに球菌を調べるための、密閉された、バイオハザードマークの付いた個室があって。「中に入ることはできますか?」と聞いたのですが、「ここは見せられないんです」と断られて、無性に興味が湧いたんです。病院内で危険なものに立ち向かう病理医という職業があるんだと衝撃を受けたことが、病理医にフォーカスを当てたきっかけです。

反町:僕も、医者と比べるとイメージできない職業だったので、どんなお仕事なんだろう、奥が深そうだと興味を持ちました。病理医の先生にお話を聞くと、「『これが何の病気なのか』と最終的にジャッジするのは、医者ではなく自分たちだ」とプライドを持っておっしゃっていたのがすごく印象的でした。

――そんな病理医にフォーカスを当てた点でも新鮮な『グレイトギフト』ですが、反町さんは黒岩さんの書いた脚本にどんな印象を持ちましたか。

反町:展開がすごく速くて、先の読めないところが、海外のドラマのようで。日本のドラマは、もう少しゆっくりと時間が流れていく作品が多いと思うんです。黒岩さんの脚本は、展開の速さや、その回で起きたことを次の週で回収する緻密さが面白くて、新しいと感じました。

黒岩:反町さんがおっしゃる通り、日本のドラマは、日常を丁寧に描いたり、風景をのんびり眺めたり、会話を楽しんだり、そういった作品が多くて、それはそれで素晴らしいと思っています。でも僕が書きたいのは、スポーツ中継を見ているような気持ちになれるドラマ。今作も、常にストーリーに動きがあって、視聴者の皆さんに、リアルタイムで起こっていることを目撃している感覚になっていただけたらと思って書いています。

黒岩勉氏、反町隆史のイメージは「ギラギラ?(笑)」

――反町さんが演じる主人公・藤巻達臣は、人とコミュニケーションを取るのが苦手で、うだつの上がらない病理医という役どころです。視聴者の方からは「反町さんの猫背が新鮮」「ポンコツでかわいい」という反響もありますが、黒岩さんはどんなキャラクターにしようと思って書いたのでしょうか。

黒岩:反町さんが藤巻を演じると分かったうえで脚本を書かせていただいたのですが、反町さんと同世代の僕にとって、反町さんといえばキラキラ、いや、ギラギラ?(笑)、そんなイメージだったんです。でも以前、バラエティ番組『人生最高レストラン』(TBS系)で、海老のお料理がおいしいからと、一度にすごい量を注文しようとして、娘さんに「お店の海老がなくなっちゃうよ」と止められたお話をされていて、反町さんにも人間らしい、お茶目な一面があるんだなと知って。そのエピソードのように、これまでとは違った反町さんを見せられたらという思いで藤巻像を作っていきました。藤巻は、たとえ周りから「変人」「残念なヤツ」だと思われても、自分では不幸だと感じていないんじゃないかと。反町さんの持っている陽のオーラが強いので、ポンコツなキャラクターをやっても、あまり不幸せに見えないところがハマり役だと思います。第1話の藤巻は、人と目線を合わせなかったり、目力が弱かったり、声も張っていなくて、かなり低いトーンだったので、最近第5話を拝見したときには、変化の振り幅に驚きました。これぞ連続ドラマの面白さだなと勉強になりましたし、反町さんは逆算して演じているんだろうなと感動を覚えました。

反町:僕は、初めて台本を読んだときのインスピレーションを大事にしているんです。繰り返し台本を読んだり、台詞を覚えていくうちに、どうしてもその人物に慣れていってしまうので、最初に受けた新鮮な印象で役作りをしています。特に今回の藤巻は、役を自分に近づけるのではなく、自分が役に対して向かっていかなきゃいけないキャラクター。川の反対側にいて、泳いで渡って、そこで芝居をしなきゃいけないような役なので、なおさら最初の印象がすごく大事になりました。主人公の変化や成長は、黒岩さんがしっかりと描いてくれているので、僕は反映させていけばいいだけです。