日本テレビ系ドラマ『新空港占拠』(毎週土曜22:00~)で、主人公・武蔵三郎(櫻井翔)のバディ・本庄杏を演じる瀧内公美。デビューから単館系映画を中心にキャリアを重ね、近年はテレビドラマの出演が増える中、どの作品でも抜群の存在感で好演している。昨年から放送されているAmazonプライムのCMで、バスの車窓から見せる穏やか表情が印象に残る人も多いだろう。
そんな彼女は1月1日に発生した能登半島地震を、故郷・富山で被災した。命の危機を感じた経験から、「自分の人生で本当にやりたいことは何だろう」と見つめ直し、“勝負の年”と位置付ける2024年に懸ける思いを強くしたという――。
監督に直談判「自分から行かなければ」
瀧内の演じる本庄杏は、「行動力があり、正義感が強い」という役柄。自身も、大学で教員免許を取得したにもかかわらず、自分が本当にやりたいことを諦めきれずに演技の道を進んだ経歴を持つだけに、“行動力”という点では役に負けていない。
「学費を払ってもらって大学まで行かせてもらったのに、親に対して申し訳ないですよね(笑)。それでも、背中を押して今もすごく応援してくれるので、そこに関して親には本当に感謝しています」
俳優活動を本格的に開始して半年後に、オーディションで映画『グレイトフルデッド』(14年)の主演を勝ち取った。その後も順調に作品を重ねるが、春本雄二郎監督に自身の出演作のDVDを持って直談判し、映画『由宇子の天秤』(21年)に主演したことなども、その“行動力”を裏付けている。
「自分が今どういうふうにやっていったらいいかというのを考えていた時期で、やりたい作品があって、ご一緒させてもらいたい監督がいたら、自分から行かなければと思ったんです。やっぱり自分の人生ですから」
「水のように柔らかく、目の前のことに全力を傾ける」
その行動力が、自分中心主義に陥ることはない。彼女は、自らの信条を「水のように柔らかく、目の前のことに全力を傾けること」であると掲げている。
「作品は自分1人で作るわけではなく、みんなで作る総合芸術ですから、“これがベスト”と言われたらそれを信じてやっていく。だから、自分から頑なに“こうじゃなきゃできません”というのはなしで、とにかくみんなと話し合って作っていくという思いを、表現した言葉です。水ってどこに流れていくか分からないけど、その道筋はちゃんと作られていくじゃないですか。そんな水のように自分が柔らかく、どこにでも飛んでいけるように存在できればいいかなと、いつも思っています」
そうした姿勢が、前作『大病院占拠』ですでに完成された本作のチームへ飛び込む際に、生きたようだ。数々の作品からオファーが絶えない理由もうかがえる。
デビューから単館系映画を中心にキャリアを積んできたが、近年はテレビドラマの仕事が増えたことで反響もより多く届くようになっているそうで、「自分の活動の軸が、ちょっと変わってきたかなという感じがしています」という。
反響の大きさで言うと、会社から帰宅するバスの車窓から様々な人たちの風景を見つめる姿が話題となったAmazonプライムのCMは、「どこに行ってもすごく言われます(笑)」とのこと。「撮影現場でお会いする人にも、“今日も電車の広告で会ったから、全然久しぶりな感じがしないよ”と言われて(笑)」と、広く知れ渡ったことを実感した。