1月5日スタートの日本テレビ『消せない「私」―復讐の連鎖―』(毎週金曜24:30~ ※初回25:10~)と、同18日スタートの中京テレビ『こんなところで裏切り飯』(毎週木曜25:04~ ※中京ローカル)で連続ドラマに同時主演し、かつこれが連ドラ初主演となる志田彩良。役者デビュー10年という節目での躍進に、本人は驚きと不安を抱えながら、「どちらに偏ることもなく熱量を注げたら」と意欲を語る。
この10年の間、仕事が全くない1年も経験したというが、ここまで続けられた原動力とは。仲睦まじい家族とのエピソードも含め、話を聞いた――。
実際の事件もモデルに…「生半可な気持ちでは挑めない」
――日テレの深夜ドラマ「金曜ドラマDEEP」枠の第4弾となる『消せない「私」』では、高校時代にいじめに遭い、人生を台無しにされたヒロイン・灰原硝子を演じられます。濃密な復讐を遂げるストーリーということですが、この作品の印象を伺わせてください。
最初にマネージャーさんから「今までで一番演技力が必要になるから頑張ってね」と言われて、「どんな作品なんだろう?」というのが第一印象としてありました。台本を読ませていただくと、これまでにやったことはないけど、演じてみたいと思っていた役柄だったので、初めは楽しみだったのですが、読み進めていくうちに、「いや、これ、自分にできるかな…」と同時に不安も生まれて。
――どんなところが難しいと思われたのですか?
もう全てですね(笑)。これまでも何かしらの悩みを抱えている役柄は多かったのですが、ここまで背負っている過去が重い役柄は初めてです。復讐相手に会うときは変装して全く違う人間になり切るので、1人で何役も演じることになるんです。そこがすごく難しいです。
――そこがマネージャーさんのおっしゃっていた「今までで一番演技力が必要になる」というところだったんですね。
そうですね。それと劇中で起こる事件は現実でも起きていることなので、実際に被害に遭われて苦しんでいる方々がいらっしゃると思うと、生半可な気持ちでは挑めないと思いました。
――そうした役を演じるにあたり、どのように準備してきたのですか?
そういった被害に遭われた方々が書かれた手記を読ませていただきました。つらい体験をして生活が大きく変わってしまったという話を知り、「苦しい…」と胸が締め付けられました。自分が演じることにプレッシャーもありますし、すごく責任感を覚えます。
――撮影現場の雰囲気は、いかがですか?
復讐劇で怖いシーンも多いのですが、スタッフの皆さんが本当に温くて、復讐シーンが終わると、「いやぁ怖かったねー!」と笑ってくださるので、和やかな雰囲気に救われています。本番中はもちろん、皆さん集中して緊張感があるのですが、カットがかかった瞬間、ガラッと空気が切り替わるんです。
――演じる役柄とご自身の共通する部分は、いかがでしょうか。
学生時代にモデルを始めて注目されるというところは、私自身も最初の仕事が中学生の時に務めていたファッション誌のモデルだったので、硝子と共通しています。自分からその仕事をしてるとは言わなかったんですが、同級生の世代が読んでいる雑誌だったので、気付いたら自然と広まっていて、良くも悪くも注目されるというのは、同じですね。
――硝子のように妬まれるということもありましたか?
同級生は、小学校からの友達が多くて私自身を知ってくれていたので、妬まれることはなかったんですけど、先輩たちが教室に見に来て、ひそひそ話をされたり(笑)。でも、同級生に恵まれて、みんなが助けてくれたので、全く気にすることなく学校生活を送れていました。
――ご両親も支えになって。
この仕事を始めたいと言ったときから、「やりたいならやればいいし、辞めたくなったらいつでも辞めていいよ」という感じで、今も変わらずそう言ってくれています。
ちょっとした言葉で他人の人生を変えてしまう
――「デジタルタトゥー」というのが1つのテーマになっている今作ですが、その恐ろしさは感じますか?
私はInstagramをやっているのですが、うれしいメッセージもあれば、時には悪いメッセージも届いて、知らない人にこんな簡単にメッセージが送れる時代は怖いなと感じる瞬間が、すごくあります。ちょっとした言葉で炎上してしまうこともあると思うので、本当に他人事(ひとごと)ではないと感じます。
――今回の作品を演じることで、発信の仕方も変わるかもしれないですね。
これまでも気をつけていましたが、きっかけ一つで人生が変わってしまうことがあるというストーリーを目の当たりにして、より気をつけなきゃと思います。見てくださる方々にも、ちょっとした発言で人を傷つけたり、他人の人生を変えてしまったりすることがあるんだと伝わればいいなと思います。