• 志田彩良

――『消せない「私」』が地上波連ドラ初主演で、同じクールにこちらも主演の『こんなところで裏切り飯』がスタートします。なかなか異例のことですが、ご本人の心境としてはいかがですか?

びっくりしすぎて、最初はあまり実感がわかなくて、「あぁ、次2本主演やるんですね」と他人事みたいな感じだったんですけど(笑)、時間が経つにつれて「えっ、同クールに2本主演ってちょっとヤバいな。自分で大丈夫かな…」という気持ちになりました。でも、役を頂いたからには精いっぱい、どちらに偏ることもなく熱量を注げたらと想って臨んでいます。

――さらに、『アオハライド Season2』(WOWOW)も同じクールに始まりますが、切り替えというところではいかがですか?

撮影時期はバラバラですし、どれも全く違う役柄なので大丈夫でした。3作品、一気に見ていただけるのはうれしいです。

――『消せない「私」』の中でも、いろんな役を演じることになります。

カットがかかると割とすぐ自分に戻るタイプなので、切り替えはできるのですが、復讐相手に硝子とバレないようにしなければいけないので、そこで視聴者の方に「いや、これ気づかれるでしょ」と思われないように気を付けています。声やしゃべり方で、どう違いをつけたら全く違う役柄に見えるかなというのを、常に考えています。

――これまで様々な作品で主演の方を見てきたと思いますが、参考にしたい“座長”の姿勢はどんなところでしょうか?

今までご一緒した皆さんは、スタッフさんへの声かけもそうなのですが、私が「ちょっと今のシーン、やりづらかったな」と感じたときにも声をかけてくださる方が多かったんです。主演になるとセリフ量も多くて、役を作るのもすごく大変なので、自分のことだけでいっぱいいっぱいになってしまいそうなんですけど、それでも周りへの気配りを欠かさない方々でした。実際に自分がその立場になってみて、改めて参考にしたい姿勢だなと実感しています。

――そこを受け継いで、志田さんも意識的に周囲の方に声をかけたりしているのですか?

いやあ、どうでしょう…(笑)。こういう作品ですが、やっぱり現場はみんなで楽しく作りたいと思っています。なるべく自分も楽しみたいという気持ちがあるものの、まだ周囲にまで気配りできる余裕はないので、撮影が進む中で頑張っていきたいです。

  • 志田彩良

少しずつステップアップしていけている実感

――2014年に映画『サルビア』で役者デビューされてから、ちょうど10年になります。ここまでを振り返ってみて、いかがですか?

いろんなことがあった濃密な10年です。お仕事が全くない1年もありましたが、どれも自分に生かされているなと感じます。だからこそ今、毎日お仕事をさせていただける環境に本当に感謝だなと、年々思います。自分が演じてみたいと思っていた役を頂けたり、すごく重要な役を頂けたり。ちょっとずつですがステップアップしていけてるのかなというのを、最近、特に実感しているので、自分の引き出しをもっともっと増やして、30代に突入するこれからの10年も頑張らないといけないなと思っています。

――ご両親から「辞めたくなったらいつでも辞めていいよ」と言われている中で、お仕事が全くない1年も経験されたということですが、それでも続けられた原動力というのは、何でしょうか?

やっぱり楽しいからです! 好奇心旺盛な性格で、両親が何でも挑戦させてくれるので、習字、フラダンス、英会話など、習い事をいろいろやってみたのですが、どれも長続きしなくて、1カ月ほどで辞めてしまっていたんです。でも、この仕事だけは10年間ずっと続けられているので、すごく好きなんだろうなと自分自身で思います。

――その楽しさは、どんなところにあるのですか?

まず準備段階が楽しくて、「この役はどんな役かな」と台本を読んで考える時間が楽しいですし、洋服が好きなので衣装合わせの時間も好きですし、人とおしゃべりするのが好きなので現場でスタッフの方々とお話しする時間も楽しいです。自分が楽しいことをして、それが見てくださる方に届いて「良かったよ」と反響を頂けるのもうれしいですし…

――もう全部ですね(笑)

そうですね(笑)

――この10年を振り返って、ターニングポイントとなる作品を挙げると、いかがですか?

全部の作品が自分にとって本当に大切なのですが、その中でも私自身のことを知っていただけたなと思うのは、『ゆるキャン△』(テレビ東京)と、日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS)ですね。放送から何年も経っていますが、今でも「見てたよ」とか「あの役の印象が強いよね」と言っていただけることが多くて、そこはターニングポイントと言える作品なのかなと思います。

――連ドラ初主演ということで、今回もそういった作品になるといいですね。

そうですね。なれるように、頑張りたいです。