2024年の幕開け早々、話題作に続けざまに顔を見せる注目の若手俳優がいる。

元日21時放送のテレビ朝日『相棒 season22』元日スペシャル、1月5日スタートの連続ドラマ『消せない「私」―復讐の連鎖―』(日本テレビ系)、1月8日放送の『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』(時代劇専門チャンネル)。これらに全て出演しているのが、2022年にデビューしたばかりの阿佐辰美(23)だ。

俳優を目指して大阪から単身上京し、ワークショップに2年間通ったうえで事務所に所属した阿佐。2023年は『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ系)へのレギュラー出演などを果たした。「2024年は、みなさんに知ってもらえる俳優になります」と宣言する阿佐が、『相棒』で共演した水谷豊や寺脇康文に始まり、「俳優に挑戦したい」と決意したきっかけや今後の目標などを語った。

  • 阿佐辰美

    阿佐辰美 撮影:望月ふみ

水谷豊と寺脇康文は“リアル相棒”

――2024年、すごくいいスタートを切ります。まず元日は『相棒』が放送です。

出演が決まった時は「え! 『相棒』に!?」と、本当にビックリしました。しかも、それが元日スペシャルで。これは家族も親戚も、みんな喜んでくれるなと本当に嬉しいです。

――撮影を終えてみての実感と、杉下右京を演じる水谷豊さんとの共演の感想を教えてください。

それが本当に『相棒』に出演したんだという実感があまりなくて(苦笑)。放送を見てから感じられるのかなと思っています。1日の夜は実家にいると思うので、ドキドキしながら家族と一緒に見たいです。水谷さんは、右京さんが目の前にいるんだと思うとやっぱりどうしても緊張してしまったのですが、カットがかかった瞬間、本当に気さくに話しかけてくださるんです。『相棒』の現場は、本当に“仲間”の空気感があって、みなさんいつも挨拶がグータッチなのですが、僕にもそうしてくださって。これが23年続くシリーズの空気感なんだと思いました。

――最初に挨拶されたときはどんな感じだったのですか?

水谷さんにお会いする前に、寺脇(康文)さんにお会いしていたんです。水谷さんにご挨拶に行ったときに、一緒にいた寺脇さんが、僕の役名の「真士(もとし)じゃん」と声を掛けてくださって、水谷さんも「写真で見ていたから、もう会ったつもりになってたよ」と本当に気さくに話しかけてくださいました。お二人とも本当にウェルカムという感じで接してくださって、僕はそこに飛び込むだけでした。それから「僕も親戚もみんな見ています」とお伝えしたら、お二人のほうから「一緒に写真撮ろう。送ってあげて」と言ってくださったんです。撮った写真を見たら、僕は完全に緊張している顔でした(笑)。水谷さんと寺脇さんは、いつも2人一緒にいらっしゃって、本当に相棒なんだなぁと思いました。僕自身、まだ出来上がりの映像を見ていないので、放送がすごく楽しみです。

  • 阿佐辰美

松本幸四郎の素顔「チャーミングでかわいらしい方」

――その1週間後には『鬼平犯科帳』の新作が放送されます。プロフィールに殺陣が得意とありますが、本作への参加とは関係ないんですよね?

『鬼平犯科帳』の出演が決まる1年くらい前から殺陣の稽古をしていました。伊藤英明さんが行ってらっしゃる道場があって、そこに誘っていただいて通っていたんです。『鬼平犯科帳』に出演が決まって、京都太秦の撮影所にも行くことができました。ただ今回は、道場での稽古の場面はあるのですが、斬り合うようなシーンはありませんでした。

――阿佐さんは、鬼平こと長谷川平蔵の青年期・銕三郎(市川染五郎)の親友・左馬之助を演じました。染五郎さんと、鬼平役で主演の松本幸四郎さんはどんな方でしたか?

染五郎さんは人見知りだと現場の風のうわさに聞いていました。染五郎さんは実際に仲良くなくてもお芝居でできてしまう方だと思いますが、僕は不器用でそれでは不安なので、お芝居以外でもきちんとコミュニケーションを取れるようになっておきたくて、結構ガツガツいかせていただきました。しんどいと思われないように探りながらでしたが、関係性が築けたかなと思います。

――染五郎さんにもお話を聞きましたが、ベテランの方たちとの共演はもちろんのこと、若い方たちとの共演がすごく刺激になって良かったとお話しされていました。

嬉しいです。役の関係性もありましたが、染五郎さん自身に興味もあったので。やっぱり歌舞伎という伝統芸能の世界に育った染五郎さんと、高校まで普通に過ごしてきた僕とでは、物事の見方も違うでしょうし。実際にお話ししてみると、すごくいい方で、もっともっと知りたくなりました。撮影では最初の染五郎さんの殺陣のシーンも見学させていただきましたが、すごくお上手でした。でも左馬之助と銕三郎は道場で競い合っている仲だったので、そこをちゃんと出せるように演じました。

  • 阿佐辰美

――幸四郎さんとお話しする機会は。

ありました。染五郎さんの現場を何回か見にいらしていて。その時に、幸四郎さんが染五郎さんにちょっかいをかけていて、それがなんだか素敵でした。

――こちらから見ているイメージでも染五郎さんが落ち着いていて、幸四郎さんがかわいらしくてお茶目な印象がありますね。

そのままのイメージです。染五郎さんは、何をされても崩れないし、幸四郎さんは僕が言うのもすごくおこがましいですがチャーミングでかわいらしい方で(笑)。現場でもみんなをすごく笑顔にしてくれる方でした。それから実際に共演させていただいた火野正平さんもとてもステキな先輩でした。撮影が始まる前も、撮影中も後もすごく自由なのですが、その自由な感じが素敵でしたし、「これアドリブだろうな」と思うようなところが、のちのち意味のあるシーンになっていたり、きちんとキャラクターを生かしていらっしゃるんです。出来上がった映像を見ると「火野さんのお芝居がもっと見たい」と思うくらい魅力的で憧れます。