第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦が進行中。12月20日(水)には3・5・6組の1回戦計6局が東西の将棋会館で行われました。このうち、東京・将棋会館で指された3組の千田翔太七段―金井恒太六段戦は86手で千田七段が勝利。本戦出場に向けて好スタートを切りました。

たったひとつの出場枠

今期のランキング戦3組は本戦出場に向けた1枠を16名で争うもの。本戦入りには4連勝が必須です。振り駒が行われた本局は先手となった金井六段の誘導で矢倉の出だしへ。後手の千田七段が中住まいに構えたのは近年流行の急戦志向です。

右桂を跳ね出し先攻した千田七段に対して金井六段は飛車の活用で対抗。手順に5筋で銀交換を果たしたのは確実な戦果に思われましたが、ここから千田七段の反撃が冴えわたりました。先手玉のすぐそば、タダのところに桂を成ったのがその手始めです。

後手番矢倉の快勝譜

この成桂を取っては注文通りと見た金井六段は辛抱の歩突きで受けに回りますが、千田七段の攻めは止まりません。自陣に眠る飛車をスパッと切って質駒の角を入手したのが決め手。直後の角の打ち込みが事実上の飛車金両取りとなって後手優勢が確立されました。

終局時刻は20時36分、自玉の詰みを認めた金井六段が投了。中盤で指した桂の成り捨てを起点に最後まで攻め倒した千田七段の快勝譜となりました。勝った千田七段は次戦で西川和宏六段―澤田真吾七段戦の勝者と顔を合わせます。

  • 千田七段は2期ぶりとなる2組復帰を目指す

    千田七段は2期ぶりとなる2組復帰を目指す

水留 啓(将棋情報局)