金(ゴールド)続き、今回は「ブランドバッグ」にフォーカス。

というのもここ数年、ラグジュアリーブランドにも「ヴィンテージ」カテゴリーが生まれつつあり、かなり状態の良くないバッグでも驚くべき値段が付くこともあるのだとか……。

ということで、今回も大手買取専門店「買取大吉」の新宿東口店を訪問。鑑定士の木村健一さんに話を聞いてみた!

■昔は定価10万円のヴィトンのバッグも今では30万円に上昇!

――まず、ブランドバッグを高く買い取ってもらえる時期などがあれば教えてください。

基本的には相場の影響を受けるジャンルなので、年間を通じて価格が上下することはありません。しかし、強いて言えばモノが動く時期、つまりボーナスが支給されるタイミングやクリスマスシーズンは購買意欲が高まるので、その期間などは多少は変わるかもしれません。

――なるほど……!

あとはブランドの現行品が価格改定されるタイミングですね。各ブランドとも定期的な価格改定を行っていますが、価格改定の直前には駆け込み需要が発生します。

価格改定の背景には物価上昇の影響などがあって、特に今は原材料や人件費が上がっているので、それが価格にもダイレクトに反映されています。コロナ禍の時期は、工場は停まっているのに需要は変わらないこと、作れる数が減る分、価格を上げないと経営が成り立たないことなども価格の見直しに影響を与えていました。

ロレックスなどは直近で2度も価格改定を行っています。ルイ・ヴィトンの定番ボストンバッグも、昔は定価が8~10万円程度だったのが、今では25~30万円と4~5倍にも上がっていますから、相場によってかなり左右されますね。

  • 「買取大吉」鑑定士 木村健一さん

――現在、ブランドバッグはどれくらいの頻度で持ち込まれているのでしょうか?

ざっくりですが、年間で30万点くらいでしょうか。

――どんなブランドバッグだと価値が高いと見做されるのでしょう?

具体的には「ルイ・ヴィトン」、「エルメス」、「シャネル」です。

この3ブランドはセールを行いませんし、アウトレットも存在しません。ブランディングの観点から、一切の安売りをしないので、ブランド価値を落とさないんです。そもそもモノの製造数も多くないですし、ブティックへ行っても人気のバッグがなかなか買えないという実情もあります。

エルメスのバーキンが入手困難というのは有名な話ですが、今はシャネルのバッグもかなり人気が高まっていて、定価での購入が難しくなっています。ルイ・ヴィトンも限定品のバッグなどはかなり買いにくくなっていますね。

――ハイブランドの中でも、特にルイ・ヴィトン、エルメス、シャネルが強いんですね。

この3ブランドについては、デザイナーがほとんど変わらないというのも強みですね。他のラグジュアリーブランドはデザイナーが変わることが多いですが、デザイナーが変わるということは、ブランドイメージが変わるということも意味します。つまり、昔のアイテムが型落ちのように見えてしまうんですね。

たとえば、昔はトム・フォードというデザイナーが「グッチ」のデザイナーを務めていたのですが、今になって見ると、一昔前のデザインだというのが一目でわかります。だったら「トム フォード」(現在トムが手掛けるハイブランド)のバッグを買ったほうがいいよね、と多くの人は考えますから、どうしても昔のグッチのバッグは価値が下がってしまいます。

しかし、ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネルの定番品には普遍性があり、いつの時代に使っても違和感がないので、いつまでも高い価値を保てるというわけです。

ちなみに、エルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンの順番で価値が落ちにくいとされています。

■ラグジュアリーブランドにも「ヴィンテージ」カテゴリー登場!

――中古品のほうが、新品より価値が上がることもありますか?

よくありますね。ここまでやはりエルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンは価値が上がる傾向にあって、最近ではラグジュアリーブランドにも「ヴィンテージ」(古くて価値が高いもの)というカテゴリーができ始めています。

近年、海外セレブたちの間で、「最新ファッションを身にまといながら、バッグだけはあえて昔のシャネルを持つ」といったスタイルがトレンドになっていて、世界中の若者を中心に注目を集めているんですよ。

ここにあるシャネルのバッグも、定価は約20万円ですが、状態があまりよくないので、7~8年前なら3~4万円で売り出されていたはずです。しかし、ヴィンテージというジャンルができたことで、現在は28万円の高値がつくようになりました。

  • ヴィンテージのシャネルのバッグ。はっきりと折れ目が付いているが、現在は28万円の高値が付けられている。8年前なら3~4万円で販売されていたはずなのに……

シャネルのバッグならダブルフラップ仕様が特に人気で、素材はラムスキン、またはボコボコしているキャビアスキンが評価される傾向にあります。

もちろん、保存状態はいいほうが高値がつきますし、箱や袋、保証書、保証カードなどの付属品もあればあるほどいいですね。

――これだけ値上がりしているということは、今が売り時でもありますか?

そうだと思います。日本は物価が上がっている割に収入は増えていませんが、世界的には物価の上昇とともに収入も増えているので、金銭感覚も上がっています。売り時としてはかなりいいタイミングだと言えそうです。

――ブランドバッグを少しでも高く売却するために、おすすめの保管方法などがあれば教えてください。

湿気がなくて風通しがいいところでの保管をおすすめします。日本は高温多湿な国ですし、押入れなどは特にカビが繁殖しやすい環境なので、定期的に風を当てて、陰干しする必要があります。

また、レザー製品は日焼けして変色すると価値が下がるので、日光を遮断した場所に保管するようにしましょう。ビニール合皮やナイロンのバッグなどは暑さで溶けてしまう場合もあるので、クローゼットの換気も大切です。

型崩れにも気をつけてください。レザーのバッグは特に、一度型が崩れると直らないので、中に新聞紙などを詰めて型をつくり、できるだけ立たせたまま保管するのがよいかと思います。

――バッグ以外に価値がつきやすいアイテムはありますか?

やはりバッグが最も価値がつきやすいですね。

というのも、靴は人によってサイズが違いますし、服にはトレンドがあります。財布やカードケースなどは毎日使うものなので、どうしても劣化しやすく、中古品が好まれにくい傾向にあります。

一方で、バッグであれば毎日使うわけでもないですし、直接肌に触れ続けることも少ないので、投機的な意味でいえば、やはりブランドバッグが最も向いていると考えられます。