俳優の高橋一生が主演を務めるテレビ朝日系スペシャルドラマ『ブラック・ジャック』が2024年に放送される。
■連載開始50年『ブラック・ジャック』をドラマ化
連載開始から50年が経過し、節目を迎えた2023年からは、生成AIを活用した新作漫画の制作など特別プロジェクトも多数展開されている、手塚治虫による医療漫画の金字塔『ブラック・ジャック』。テレビ朝日では1981年、加山雄三主演で初めてテレビドラマ化し、その後、TBSでの本木雅弘主演2000年版テレビドラマなど、さまざまな実写版や舞台版が各所で制作されてきた。今回は原作から厳選した有名エピソードを凝縮し、「医療とは何か」という真髄を掘り下げていく。
■制作陣に城定秀夫×森下佳子×柘植伊佐夫
今回は、『アルプススタンドのはしの方』と『性の劇薬』(20年)でヨコハマ映画祭・監督賞を受賞し、『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』(22年)でも注目を集めた城定秀夫氏が監督を務め、『JIN -仁-』(09年、11年)、『ごちそうさん』(13~14年)、『天皇の料理番』(15年)、『義母と娘のブルース』(18年ほか)、高橋ともタッグを組んだ『おんな城主 直虎』(17年)、『天国と地獄 ~サイコな2人~』(21年)、25年放送のNHK大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』も手掛ける森下佳子氏が脚本を担当。さらに、人物デザイン監修・衣装デザインを任されたのは、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(10年)や『どうする家康』(23年)、『精霊の守り人』(16~18年)、『シン・ゴジラ』(16年)、『翔んで埼玉』(19年、23年)、高橋主演の『岸辺露伴は動かない』(20~22年ほか)を手掛け、2000年版『ブラック・ジャック』でもブラック・ジャックのヘアメイクデザインを担当した柘植伊佐夫氏。ドラマの世界観をすべて監修する。
■高橋一生「自分にできるのかと思いました」
法外な治療費と引き換えに、どんな手術も成功させる無免許の天才外科医ブラック・ジャック。神業ともいえる手術手腕を誇り、常にドライで冷酷に見えるが、その半面、患者とその関係者が置かれた状況を見据えて密かに心を痛める優しさも。さらに要所要所で壁にもぶつかり、時には滑稽な姿もさらけ出す。この令和にブラック・ジャックを演じることになった高橋は「正直なところお話を頂いた時は、自分にできるのかと思いました。幾ら彼の矜持や人情、生に対する思いが好きであっても、いざ自分が演じるとなれば、当たり前ですが話はまったく別です。好きというだけではどうしても成立しない何かがあると思うからです」と、素直な心境を吐露。果たしてどんなブラック・ジャックを作り上げるのか。
■高橋一生(ブラック・ジャック 役)コメント
――出演オファーを受け、ご自身がブラック・ジャックを演じると聞いた時、どう思いましたか?
今回演じさせていただく間黒男はブラック・ジャック「先生」ですが、僕にとっては大事な「先生」と呼ばれる人が一人、居ます。正直なところお話を頂いた時は、自分にできるのかと思いました。幾ら彼の矜持や人情、生に対する思いが好きであっても、いざ自分が演じるとなれば、当たり前ですが話はまったく別です。好きというだけではどうしても成立しない何かがあると思うからです。好きだからこそ失敗することも大いにあると思います。それでもお受けさせていただいたのは『おんな城主 直虎』等でご一緒させて頂いた脚本家の森下佳子さん、『民王』でプロデューサーをされていた飯田サヤカさんがお声掛けくださった事。それが何よりも大きな決定打でした。
撮影が始まった今も、試されている様な事が日々起きています。多くの方の心の中に居るブラック・ジャック像や基盤を大きく外すことなく、何よりも自分が思うBJ像を一瞬でも溢してしまいたくありません。これまでと同じように、お芝居をする時は、迷う事なく打ち出していきたい。演じさせていただく度に納得し、許せる瞬間を積み重ね、それが作品になっていける様、毎シーン毎カットお芝居をさせていただいています。
観てくださる皆さんも是非厳しい目線で観ていただき、願わくば楽しんでいただけるとありがたいと思います。
――森下佳子さんが書かれた脚本を読んで、どんな感想を持ちましたか?
森下さんが書かれる脚本は、表現が非常に豊かなんです。読み進めていくごとに「さあ、この場面はどうしたら、より素敵に立体化していけるだろうか?」と、感覚が具体的になっていきました。
――人物デザイン監修・衣装デザインを柘植伊佐夫さんが担当されていますが、ブラック・ジャックになったご自身を見てどう思いましたか? 新しいアイデアや感情は湧いてきましたか?
僕は基本的に柘植さんが「大丈夫」と言ったら、大丈夫なんです。柘植さんは嘘をつかない方で、ダメだったら何度でもやり直す方。その柘植さんが、僕がブラック・ジャックの扮装をした時に「うん」と言って頷かれたので、きっと大丈夫だろうなと思っています。と同時に、この姿にいかに説得力をもたせながら、原作を愛する視聴者の皆さんの前に存在できるか…という点も大事だな、と。また、今回初めてブラック・ジャックと出会う方々にも、その人となりを分かってもらわなければなりません。このダブルスタンダードを成立させるためには、演者とスタッフの総合力が大きく関わってくるので、常に針の穴に糸を通すような感覚の撮影になるかもしれないなと思ってます。単純に「わーい! 『ブラック・ジャック』の世界にいる!」という気持ちには、決してなれないですね。
――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
『ブラック・ジャック』の世界や、手塚治虫さんの漫画がとても好きな方々に「うん、アリだわ」と言っていただかないと、失敗だと思っています。僕も自分自身が納得し許せる瞬間を求め、常に厳しい視線でお芝居を模索しているので、視聴者の皆さんにも厳しく観ていただきたいです。
【編集部MEMO】高橋一生
1980年12月9日生まれ、東京都出身。ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍。近年の主な出演作は、映画『ロマンスドール』(20)、『スパイの妻』(20)、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(21)、『シン・ウルトラマン』(22 ※声の出演)、ドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズ、『天国と地獄~サイコな2人~』(21)、『恋せぬふたり』(22)、『雪国-SNOW COUNTRY-』(22)、『インビジブル』(22)、『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』(23)など。