円谷プロ史上最大の祭典「TSUBURAYA CONVENTION2023(ツブコン)」が11月25・26日の2日間、東京ドームシティと東京ドームホテルにて行なわれ、円谷プロ作品を愛する大勢のファンによって大盛り上がりを見せた。ここでは1967年10月に放送を開始した空想特撮シリーズ第3弾『ウルトラセブン』の55周年記念プロジェクトの締めくくりとして、東京ドームホテル「天空」にて開催された『ウルトラセブン55thグランドフィナーレ』のもようをご紹介したい。

  • 左から、青柳尊哉、毒蝮三太夫、ひし美ゆり子、ウルトラセブン、森次晃嗣、古谷敏、関智一

司会進行を務めるのは、大の特撮ファンで『平成ウルトラセブン』にも出演経験のある関智一と、『ウルトラマンオーブ』『ウルトラマンZ』でおなじみ・青柳尊哉。2人は東京ドームシティアトラクションズ・ジオポリスゾーンB1で12月1日よりスタートしたMX4D+VR+強風エフェクトによる体感アトラクション「ウルトラセブンTHE ATTRACTION 史上最速の作戦」でも声で共演を果たしている。

関、青柳の呼び込みにより、ウルトラセブン=モロボシ・ダンを演じた森次晃嗣がステージへ登場。昨年から『ウルトラセブン』55周年プロジェクトのいくつかのイベントに参加している森次は、印象深かった出来事として「東京国際映画祭のレッドカーペットを、ウルトラセブンと一緒に歩いたこと」を挙げた。55周年記念のコンセプトムービー『ウルトラセブンIF STORY「55年前の未来」』(YouTubeにて現在配信中)では、最新の「バーチャルヒューマン」技術を用いて、あのころのモロボシ・ダンを現代に甦らせたことが話題になった。バーチャルヒューマンについて森次は「ダンを演じてくれた神田穣くんは、当時の僕の動きをよく研究していて感心しました。僕からは、ウルトラアイのかけ方を直々に伝えました」と、本家本元のダンからバーチャルヒューマンのダンに「変身のコツ」を伝授したことを明かした。

ここで、アンヌ隊員役のひし美ゆり子、フルハシ隊員役の毒蝮三太夫、アマギ隊員役の古谷敏がステージに現れた。

毒蝮は『ウルトラセブン』でフルハシ隊員を演じていた当時をふりかえり「『ウルトラマン』の科学特捜隊をやっていたころは、オレンジ色の制服を着るのが恥ずかしくてね、外を歩くときはレインコートを着ていたなあ。でも『ウルトラセブン』でウルトラ警備隊になると制服がカッコよくなってね、白手袋、白ブーツが気に入っていた。ポインターっていう車もカッコよかった。でもよく故障する車でね、動かなくなるとダンやアマギが押していたよな(笑)」と、見た目とは裏腹にあまり性能のよくないポインターの苦労話を懐かしく語った。

『ウルトラマン』では約1年間にわたってウルトラマンを演じ、『セブン』で晴れてアマギ隊員役に抜擢された古谷は「隊員役に選ばれて、とにかく嬉しかった。ポインターを運転するため、すぐ教習所に通いました」と、過酷なスーツアクションの現場から、輝かしい隊員になれた嬉しさを改めて噛みしめるように語った。

ひし美は『ウルトラセブン』にアンヌ隊員役で出演した際のことをふりかえり、森次とはテレビドラマ『天下の青年』以来二度目の共演だったことを話した。アンヌについて毒蝮は「地谷子(ひし美の本名)はブリジット・バルドーかマリリン・モンローを思わせる抜群のスタイルで、水泳が得意なスポーツウーマン。後で聞いたらお酒も強い(笑)。飾らない性格だったから、俺たちの輪に入ってきやすい人だった。ウルトラ警備隊はみんな仲がよかったね」と、惜しくも故人となったキリヤマ隊長の中山昭二、ソガ隊員の阿知波信介を含めたウルトラ警備隊メンバーのチームワークのよさを、懐かしそうに回想した。

毒蝮は中山昭二の思い出として「新東宝から来た映画スターらしく、カッコよかったね。日劇で踊っていたからスタイルもよかった。階段をスッスッと上がっていったりしていた。生粋の江戸っ子で、よく俺も浅草あたりで飲みに連れていってもらったなあ」と語り、役を離れても隊長として、隊員たちの面倒を見ていた中山の人柄を偲んだ。

撮影中の忘れられないエピソードとして、毒蝮は第41話「水中からの挑戦」での裏話を披露。撮影の空き時間がかなり長かったため、スタッフ行きつけのスナック「ファニー」で待機していた毒蝮は、次の出番で自分のセリフがないと思いこみ、満田かずほ監督のキープしていたウイスキーをかなりの量、飲んでしまったという。撮影が始まって現場に集まったとき、酔っぱらってしまった毒蝮は台本のセリフが言えず、そのセリフは森次が引き受けることになった。「あのときのマムシさんは、顔が真っ赤になってたね」と森次が冷やかすと、毒蝮は「だからいつも俺はあちこちで、お前の良い話をしてるじゃないか」と、バツが悪そうに返し、ステージを笑いに包んでいた。

続いて、森次が最終話「史上最大の侵略 後編」でのダンの名セリフを再現するコーナーに突入。

「明けの明星が輝くころ、1つの光が宇宙へ飛んでいく……」に続けて「来てくれたみなさん、また会う日を楽しみにしています……」とファンサービスの一言を添えた森次は、ウルトラアイをかざして「デュワッ!」とセブンへの変身を行った。

暗転後、ウルトラセブンがさっそうと登場。現れた「最後の敵」改造パンドンを相手に、アイスラッガーを手にして迫力の戦いを繰り広げた。

古谷は「だいぶ長い3分間でございました。僕はこれからM78星雲へ帰ります。本日はどうもありがとうございました!」と、アマギ隊員ではなくウルトラマンになりきってファンの熱い視線に応えた。ひし美は「セブン60周年まで頑張りまーす!」と元気よく挨拶し、客席にいる幼いお孫さんにニッコリ笑顔で手をふった。毒蝮は「ウルトラセブンが55年、円谷プロが60年。こんなに長く、俺たちが元気でいられるとは思いませんでした。これからも、ウルトラマンやウルトラセブンに関わったいろんな人の話をしていきたいね。元気じゃなきゃ、しゃべれないもんな。よくしゃべって、よく笑って、元気で行こう!」と豪快な笑顔で挨拶した。

最後にマイクを手にした森次は「ウルトラ警備隊のみんなに会うのも久しぶりです。何年たっても、会ったとたん精神があのころに戻りますね。今日は懐かしい同窓会みたいな集まりで、とても楽しかったです!」と、年齢を経ても変わらぬ仲間同士の友情を噛みしめつつ、晴れ晴れとした表情でファンの方たちに熱い言葉を贈って、ウルトラセブン55周年イベントをしめくくった。

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