俳優の東山紀之が主演を務めるスペシャルドラマ『必殺仕事人』の最新作が、12月29日(21:00~)にABCテレビ・テレビ朝日系で放送されることが12日に明らかになった。16年ぶりに誕生する新たな“女性仕事人”として、女優の松下奈緒が出演する。
■東山紀之主演『必殺仕事人』に松下奈緒参戦
渡辺小五郎(東山紀之)、経師屋の涼次(松岡昌宏)、リュウ(知念侑李)、花御殿のお菊(和久井映見)ら仕事人たちが、世にはびこる悪をスカッと成敗する痛快エンターテインメント時代劇『必殺仕事人』。1月に放送した前作では、遠藤憲一演じる瓦屋の陣八郎が壮絶な最期を遂げ、4人の仕事人は再編を迫られることに。
■陣八郎(遠藤憲一)が亡くなり4人になった仕事人たち
仕事人稼業に悩みながら敵に討たれ、壮絶な最期を遂げた陣八郎。大きな存在を失った4人の仕事人たちにも予期せぬ事態が巻き起こる。リュウは、慕っていた陣八郎亡き後、気が抜けた状態でぼんやり。陣八郎の形見である鏨(たがね)を手に仕事に挑むも、慣れない道具の影響か、反撃されて絶体絶命の窮地に。そんな状況でも江戸の町では事件が相次ぎ、仕事人が手に掛ける的も後を絶たない。ただでさえひとり少ない状況で裏稼業をこなしていく中、すっかり抜け殻のようになり、仕事にも影響が出始めたリュウを見かねたお菊は……!? さらに、お菊の家で偶然、髪結い師の棗と出会った涼次は、その美しさにすっかり心を奪われてしまう。
2007年以来、16年ぶりとなる女性仕事人として加わることになるのが、松下演じる髪結い師・棗(なつめ)。夫が商売相手にだまされ自ら命を絶ったというつらい過去をもち、ひっそり生きている。芝居小屋の踊り子たちから指名の途切れない腕利きだが、胸に秘めた恨みが消えることはない。そんな彼女のつらい心情をよく知るお菊は、同じように無念を晴らしたいと願う人のために、一緒に“仕事”をしないかと持ちかける。しかしそんなお菊を横目に小五郎は、棗には本当に裏稼業に身を投じるほどの覚悟があるのかを疑問視していて? 葛藤の末、仕事人として生きる決意を固めた棗の得物は、髪結い師ならでは、髪の毛を束ねる紐・元結(もとゆい)。「これでどうやって仕事をするんだろうと、想像もつかなかった」と語った松下が、元結や、刀などの武器を手に、美しく、激しく、そしてド派手な立ち回りを披露する。
■東山紀之(渡辺小五郎・役)コメント
今回仕事人として登場する松下さんは、ピアノも素晴らしいと思っていましたし、清楚なイメージをもっていました。仕事人は、やはり汚れ役なので、きっと覚悟をもってこの撮影に臨まれたんだと思いますので、僕はその思いも受け止めていきたいですね。劇中でも、小五郎が“棗はそういう覚悟をもてるのか”と試していくことになりますので、そういった関係性にも注目していただきたいです。松下さんが殺しをするシーンを拝見したんですが、激しくもあり、かっこよくもあり、とてもハマッていました。また、撮影現場で拝見していると、見事に適応されているなという印象でした。最初は誰もが熱の高いこの現場の雰囲気に戸惑うと思うんですが(笑)、松下さんは、いろいろなことをきちんと受け止めてらっしゃったので、安心しました。
そして石原監督とのタッグも16年目になります。監督はカメラマン出身で、数々の女優さんを美しく撮ってきた方なので、画が本当に素晴らしいんです。なので、僕らはその画の中にきちんと収まるようにする、ということが一番大事だと思っています。そういった先輩たちが築き上げてきた『必殺仕事人』が50周年を迎え、さらに新しい仕事人を迎えます。新たな局面を迎える今作も、ぜひご覧ください。
■松下奈緒(棗・役)コメント
初めて『必殺仕事人』に参加することができて、“ずっと見てきた世界の一員になれるなんて!”という驚きとうれしさでいっぱいです。ファミリーの中に入れていただくことは、大変光栄ではありましたが少し不安でもありました。長年一緒にやってこられた東山さんはじめ、キャストの方やスタッフの方に温かく迎えて頂きました。ご一緒するシーンの多い松岡さんは、さりげなく「必殺」についていろいろと教えてくれました。初めてアジトのセットで撮影したときは、あまりのかっこよさにニヤニヤが止まりませんでした。東山さんをはじめ、皆さんの去り方もかっこよくて、私もこんなふうに演じたいと思いました。
そして、早めに殺陣や立ち回りのお稽古もさせていただきましたが、初めてのことばかりなので、本当にイチから教わりました。普段しない動きや姿勢など、想像以上に大変で驚きましたが、監督がかっこよく見える瞬間を切り取ってくださるので、必死に食らいついていこうと思って撮影に臨みました。
私が演じる棗は、抱えているものが多く、ミステリアスな女性です。最初は喜怒哀楽もはっきり出さないんですが、普段の髪結い師としての顔と、仕事人として“覚悟”したときの顔は、目の動きひとつにしても違う。監督とお話しながら演じさせていただけてありがたかったです。監督をはじめ、バイタリティーにあふれたスタッフの皆さん、キャストの皆さん……『必殺仕事人』を愛して熱い気持ちをもった方々と一緒にいられるというぜいたくな撮影現場では、発見と勉強の連続で、充実した日々を送ることができました。
1カット1カットがすごく美しいですし、誰かを思う気持ちや、抱えている悲しみなど、時代劇であっても必ず寄り添えるところがあるのが『必殺仕事人』の魅力だと改めて感じました。その世界の中で、棗がどんなふうに物語に絡んでいくのか、ぜひ楽しみにしていてください。
【編集部MEMO】あらすじ
押し込み強盗や、残忍な手口で人を殺める“人斬り牛鬼”の犯行が連続し、江戸の町は騒然。渡辺小五郎(東山紀之)ら仕事人たちは、日々裏稼業で悪人たちを成敗していた。しかし、慕っていた瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)亡き後、喪失感でいっぱいのリュウ(知念侑李)は、形見の鏨(たがね)を手に仕事に挑むも、反撃されて窮地に陥ってしまう。そんなリュウの様子を見かねたお菊(和久井映見)は、密かにある策を講じることに。一方、芝居小屋で踊り子たちの絵を描くという絵師としての表稼業に勤しむ経師屋の涼次(松岡昌宏)は、物価上昇の余波で絵の道具を買うこともできず、金の無心をするためお菊の家に向かう。すると、たまたま髪結い師の棗(松下奈緒)と居合わせ、その美しさに息を飲む。そっけなくあしらわれたものの、その後も芝居小屋で日々顔を合わせ、棗のことが頭から離れなくなった涼次は、お菊から棗の過去を聞き出す。そして、棗が、商売相手にだまされた夫が自ら命を絶つというつらい経験をし、決して消すことのできない恨みを胸に抱えていることを知る――。棗の壮絶な過去に言葉を失うも、芝居小屋に通い、踊り子たちの絵を描き続ける涼次だが、ふと、ひとりの踊り子の姿が見えないことが気に掛かる。すると、棗も同じく彼女の身を案じていて……!?