テレビ朝日系ドラマ『家政夫のミタゾノ』(毎週火曜21:00~)が10日にスタートする。同作は女装した大柄な家政夫の“ミタゾノさん”こと三田園薫(松岡昌宏)が、派遣された家庭・家族の内情を覗き見し、そこに巣くう根深い汚れまでもスッキリと落としていく、痛快覗き見ヒューマンドラマシリーズ。2016年10月クールにテレビ朝日の金曜ナイトドラマ枠でスタートし、第6シリーズを迎える同作が、初のゴールデン帯へ進出する。

今回は主演の松岡、第3シリーズからの続投となる村田光役の伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、そして今作から加わった新人家政婦・矢口実優役の桜田ひよりが9月某日にテレビ朝日本社で行われた取材会に参加。今作への意気込みや、ゴールデン進出での変化はもちろん、伊野尾と桜田からは「僕が何をしても怒らないと思う」「“生命”を感じる」という松岡の座長ぶりについても話を聞いた。

  • 『家政夫のミタゾノ』=テレビ朝日提供

■長く続く作品になり「こんなに幸せなことはない」

――2016年にスタートし、昨年は舞台化もされた人気シリーズ『家政夫のミタゾノ』ですが、長く愛されている魅力はどんなところにあると思いますか。

松岡:長く愛していただけて、作品に携わる人間としてこんなに幸せなことはないですね。昨年の春から今年の夏までの間に第5シリーズと第6シリーズの撮影、舞台をやって、約15カ月の中で約8カ月もミタゾノをやっているのですが、すっかり女装に違和感を覚えなくなり、新鮮さが失われているという意味では非常に良くないことです(笑)。作品が始まったときは、こんな姿の人間はほかにいないので、「なんなんだ、ミタゾノって」「松岡が女装?」というインパクトがあって、その注目度で引っ張っていたと思うのですが、今は皆さんが慣れてきてくださって、その慣れが親しみに変わっているのであれば、受け入れていただけてうれしいなと感じます。

伊野尾:僕が魅力に感じるのはミタゾノさんの懐の深さです。毎回いろいろなゲストの方がいらっしゃいますが、現場に来てミタゾノさんを見ると、「何をやっても大丈夫なんじゃないか」と安心感を覚えると思うので、ゲストの皆さんの普段見られない表情やお芝居を引き出せているんじゃないかなと。

桜田:私は今シーズンから参加させていただいたんですけど、最初にミタゾノさんを見たときは「テレビで見るより迫力がすごいな」と(笑)。そんな現場でゲストの方々がのびのびとしたお芝居をされていて、その中に自分が入れるのが幸せですし、普段のドラマや映画とまた違った、舞台のようなお芝居ができる感覚もあって。視聴者の方だけではなく、ゲストの方々からもすごく愛されている作品だなと感じました。

■ゴールデン進出に「何を馬鹿な話を…」

――ゴールデンに進出すると聞いたときの率直な感想と、意気込みを教えてください。

松岡:前回「シーズン5」が終わる頃に「次はどうしようか」と話をしたのですが、そこでゴールデンという言葉がチラチラと出始めて「何を馬鹿な話をしてるんだ」「何がゴールデンだ」と言わせていただいた記憶がありますね(笑)。僕と、このドラマを一番最初から手掛けてくれているプロデューサーの「ちょっとした悪ノリを真面目にやることで笑える作品になるといいよね」、という思いがどんどん形になっていったのが『ミタゾノ』なので、いつからか大女優さんがゲストに出てくるようになって「いやいや、こんな方が出てくださるドラマではないんじゃない」と戸惑ったこともあります。でもそれが長く続いたということで、ここで挑戦というのも1つの道なのかなと。第1話の中でもミタゾノが言うのですが、「レベルアップすることもなく、落とすこともなく、上げることもなく」というのがモットーです。「時間帯が上がって丸くなる」という方向にはしたくなかったので、金曜ナイトドラマ枠で見せてきた“攻めの姿勢”を変えることなく見せていきたいです。

伊野尾:僕は……出られると思ってなかったので(笑)。

松岡:出すつもりもなかったです(笑)。

伊野尾:昨年舞台を見に行かせていただいたときも、松岡くんから「もう前回が最後かもな」と言われたりしていて、マネージャーさんも「出るよ」とはっきりと言ってくれなくて。今シーズンのクランクインの日にやっと「ゴールデンのミタゾノに出られるんだ」「良かった」とすごくうれしい気持ちになりました。撮影初日は、車で牽引するシーンから始まって、「ゴールデンにふさわしい、豪華な作品になっていくんじゃないか」というワクワク感があって。変わらない部分もありつつ、これまで見れなかったようなミタゾノさんや僕ら家政夫の姿も見られると思うので、楽しみにして見ていただけたらと。

桜田:私もまさか出られると思ってなかったので。

松岡:いやいや、ひよりちゃんには出てほしかったよ(笑)。

桜田:お話をいただいたときには「まさか自分が」という思いでした。私自身「ゴールデンのヒロイン」という役どころでの出演も初めてだったので、そのドキドキもありつつ、撮影まで『ミタゾノ』の世界にどっぷりと浸かれる日を心待ちにしておりました。

■桜田ひよりは「“お芝居の芯”が強い」

――そんな桜田さんが加わることが今作のパワーアップにもつながると思うのですが、桜田さん、そして演じる実優というキャラクターにはどんな印象を持ちましたか。

松岡:歴代いろいろな方々に演じていただいたこのポジションなので、あとはどんなアプローチがあるんだろうと思っていたんです。何せ前回が山本舞香でやりたいようにやっていきましたから、さぁどうすると(笑)。でもひよりちゃんが作ってきた実優というキャラクターは、初めましてなんですけど、半年ぐらい一緒にやってきたんじゃないかと思えるほど、初日から違和感のないナチュラルなトーンで加わってきたんです。まだこんな新しいベクトルがあったのかと気付かされました。子どもの頃からお芝居をしてるから、“お芝居の芯”が強いんです。畳みかけるような長台詞も淡々とこなすのでビックリしました。伊野尾の場合は、ちょっと舌っ足らずにごまかすこともあるんだけど(笑)。ひよりちゃんはそこにギャップがあって素敵でした。

伊野尾:たにかに……すみません、噛んじゃいました(笑)、確かに、初日から出来上がっていましたね。僕なんか続けて出ているのに、初日どころか1カ月ぐらい「光ってどんな役だったっけ?」と思い出しながら演じている中、実優というキャラクターをしっかりと作り上げていて。あとやっぱりすごくかわいくて、唇がぷるっぷるで。

松岡:潤いがすごくて、グミみたいな。

伊野尾:でも光もかわいいキャラクターなので、そこはちょっと負けられないなと思って、いつもよりちょっとリップを多めに塗って頑張りました。

松岡:そこじゃないんだよ。もっと頑張るところがいっぱいあるだろ!(笑)

桜田:歴代、素敵なヒロインの方々が出演されていたので、実優のアプローチとしては、視聴者の方にとって、また違ったヒロインが出てきたけど、すごく馴染みがあって、3人のコンビネーションをすぐに想像できるような人物像にしたいと思っていました。新人らしさがありながらも、どこか大人びている部分もあって、行く先々の方々と自然に距離を縮めることができたり、身振り手振りが多くて感情豊かなキャラクターにすることで、視聴者の方が違和感なく受け入れられるかなという点を重視して役作りをしていきました。