「秘密」を持った少年たちが残酷な運命に抗う――日本テレビの深夜ドラマ枠「金曜ドラマDEEP」で6日にスタートする『秘密を持った少年たち』(毎週金曜24:30~ ※初回は24:40~)を、映画『リング』『スマホを落としただけなのに』などで知られるジャパニーズホラーの名匠・中田秀夫氏が監督する。

人を襲いその血をすする人ならざる存在「夜行(やこう)」に、望まずしてなってしまった少年と少女の残酷な運命を描く、衝撃的な“エロティクサスペンス”。これまで数々のホラー映画を世に送り出してきた中田監督だが、実は“ヴァンパイアもの”を手がけるのは初めてで、アメリカ映画の『トワイライト』など見て研究したという。そんな本作の裏側と見どころについて聞いた――。

  • (前列左から)中田秀夫監督、佐藤海音、大原優乃、大谷亮平 (後列左から)伊藤圭吾、冨田侑暉、西田至、米尾賢人、竹内黎、齋木春空=『秘密を持った少年たち』制作発表会見より

    (前列左から)中田秀夫監督、佐藤海音、大原優乃、大谷亮平 (後列左から)伊藤圭吾、冨田侑暉、西田至、米尾賢人、竹内黎、齋木春空=『秘密を持った少年たち』制作発表会見より

■“寝かせないぞ”という信念で刺激ある作品に

――本作は「金曜ドラマDEEP」枠の第3弾になります。深夜だからこそ描けるディープな人間関係や緊迫するサスペンス、大人の恋愛などをテーマに、18歳以上の女性層をメインターゲットにした枠ですが、オファーの経緯からお願いします。

「金曜ドラマDEEP」枠というものがあって「中田さんにぜひお願いしたい」とオファーを受けたのですが、オリジナルストーリーで映画を作れることが少なくなっているので、大いにやりがいのある脚本開発になりました。日本テレビ側とキャッチボールしながらなんですけど、企画自体もこっちから提案させてもらって。

詳細を話すと、僕の助監督を十年来やってくれていた目黒(啓太)くんが深夜ドラマ用に自分でプレゼンしようと思っていたアイデアがベースになっています。その目黒くんに脚本チームに入ってもらい、スタッフ全員で打ち合わせをしながら今の形になったという流れです。

――深夜のディープな時間帯に放送されるということで心がけた点は?

僕は映画でもお客さんを常に考えるタイプなので、深い時間だとリアルタイム視聴の方々はどんどん寝ていってしまう。僕なんか23時台には寝ちゃいますからね(笑)。それを「寝させないぞ」と。30分ドラマとはいえ、見てもらうためには刺激性がかなり重要であろうと。そういったところでエロスとバイオレンス、と言っていいか分かりませんが、情愛とある種のアクション性を持たせて制作しています。

――その情愛、またアクションの部分について教えてください。

例えば、ヴァンパイアものといえば『トワイライト』というアメリカの映画がありますけど、それには青春だったり主人公とヒロインのラブのようなものが入っています。そういう愛情、あるいは情愛は色濃く出さなきゃいけないと。相手の血を求めるということは相手そのものを求めるということで、性行為そのものとは言わないけど、そのメタファーは利いているように考えて撮りました。

もう一つの見せ場としては「夜行狩り」という対立勢力の存在ですね。大東立樹さんがそのリーダー役を演じているんですが、そこでの対立アクション。さっきも言った「寝させないぞ」という意味では、そこでの強いアクション性も看板として意識しました。

――そこには中田監督特有の怖さのようなものも入っているのでしょうか?

実は以前、『恐怖新聞』(東海テレビ)というドラマを撮ったのですが、僕の担当話ではなかったものの血みどろシーンがあり、物議をかもしたんです。その余波が僕にまで来ちゃって(笑)。だから、「ちょっと突き抜けた」といった残酷シーンになっていると思います。刺激はあるけど目を背けたくなるほどではないというバランスですね。