同居生活の中では、父親からの「自分の子だもの。かわいいからお金を置いていた」といった言葉を通して、フジタが自分に対する親の気持ちが徐々に分かっていく様子がうかがえたという。
この父親の愛情表現の仕方が表れているのが、前編で登場した、飼っていた鳥が死んでいるのをフジタが見つけ、それを聞いた父親が、転倒して救急搬送されて2日後にもかかわらず、布団から起き上がってフジタの制止を振り切り、自分でお墓を作ると言い出した場面だ。
「死んでしまうとすごく悲しんで、大ケガしてるのに自分で埋めると言って聞かない。墓標まで立てましたから、すごくお父さんの愛情を感じたんです。あそこは、小さい頃のフジタさんとの接し方と重なるものがあって、女性に夢中になって見捨てたようになってしまい、父親として世話はちゃんとできなかったんだけど、やっぱり愛情はあったんですよね」
■フジタの婚活に「逆転満塁ホームラン」
かつて自分のことを捨て、自分よりも内縁の妻が言うことを聞くという現実に直面し、怒りを抑えきれず、部屋の壁を思い切り蹴って穴を開けるフジタ。一方で、認知症を患い、年老いた父を献身的に介護し、姿が見えなくなれば懸命に捜すフジタ。これほど“愛憎”という言葉が当てはまる人間の姿は、なかなかお目にかかれないだろう。
そんな貴重なドキュメンタリーの後編の見どころを聞くと、「婚活をしていたフジタさんに逆転満塁ホームランのような、ものすごいサプライズが待っています。最初は全然ダメだったのが突然トントン拍子に行って、ハッピーエンドになっていますので、ぜひご覧いただければ」と呼びかけた。