東京商工リサーチは13日、ジャニー喜多川元社長の性加害問題に揺れるジャニーズ事務所とグループ会社13社(以下ジャニーズグループ)の取引先について、調査結果を発表。大手企業との取引比率が高いため、今後は「取引の見直しが増加する恐れがある」と分析した。

  • ジャニーズ事務所

■取引先の13.2%が上場企業

1次(直接取引)・2次(間接取引)の仕入先及び販売先は、合計で226社あった。このうち、東証プライムが21社(構成比9.2%)、同スタンダード7社(同3.1%)、同グロース2社(同0.8%)で、上場企業は計30社(同13.2%)。1次取引先は未上場企業が中心で、2次では、間接的に代理店などを経由した取引の上場企業が増える。

■売上高100億円以上が35.3%

売上高別では、100億円以上が80社(構成比35.3%)で、10億円以上100億円未満の59社(同26.1%)が最多。次いで100億円以上1,000億円未満の45社(同19.9%)、1億円以上10億円未満の43社(同19.0%)と続き、1,000億円以上も35件(同15.4%)あった。仕入先では、1次は比較的規模の小さな企業が多く、2次は売上高の大きな企業が大幅に増える。一方、販売先は1次に100億円以上が2割強あり、2次では64.2%が100億円以上だった。

■資本金1億円以上が40.7%

資本金別では、1億円以上が92社(構成比40.7%)と4割が大企業だった。次いで、1,000万円以上5,000万円未満が68社(同30.0%)、5,000万円以上1億円未満が33社(同14.6%)の順。資本金1,000万円未満は個人企業などを含めて33社(同14.6%)にとどまり、資本金が比較的大きな企業との取引が多いことがわかった。

■産業別では「サービス業他」が89社で最多

産業別では、サービス業他が89社(構成比39.3%)で最も多く、情報通信業の49社(同21.6%)、製造業の33社(同14.6%)、卸売業の24社(同10.6%)が続く。細分化した業種別では、大手広告代理店など広告業が29社で最多。テレビ番組制作業の12社のほか、CM契約を結ぶ持株会社との取引も多かった。

■情報開示に消極的だったジャニーズグループ

東京商工リサーチは、今回の調査結果を踏まえ、「ジャニーズグループは、日本を代表するエンターテインメント企業の一つで、幅広い分野の企業と取引している。だが、未上場で外部のチェックが効きにくく、これまで決算の官報公告もほぼ行っておらず、財務状況などの情報開示にも消極的だ。企業は社会の公器だが、その分野で絶対的な存在になると、経営者の考え方次第でステークホルダーとの関係が歪になりかねない」と指摘。「ジャニーズグループは大株主(資本)と経営者(経営)が一体で、株主や取引先の意向に左右されることはなかった。それだけに今後、どこまでコンプライアンスを徹底できるか注目される」とコメントしている。