参加したのは、日本テレビ『ぐるぐるナインティナイン』、テレビ朝日『あざとくて何が悪いの? 特別編』、TBSテレビ『ラヴィット!』、テレビ東京『緊急SOS! 池の水ぜんぶ抜く大作戦』、フジテレビ『全力!脱力タイムズ』の5番組だ。

バラエティで放送された映像素材は各局の著作物になるため、ドラマに使う映像素材は、ドラマ用のカメラで独自に撮影。しかし、タレントの動きに合わせて縦横無尽に動くバラエティのカメラがスタジオに複数台ある中で、ドラマのカメラが入り込むスペースは限られるため、定点カメラなども設置して対応した。それでも、『ぐるナイ』では5台のドラマカメラが入り、「今、スタジオでマルチのカメラでドラマを撮ることも少なくなっているので、5台というのはなかなか珍しい形になりました」という。

  • 田村真子アナ(左)と川島明

    『ラヴィット!』MCの田村真子アナ(左)と川島明

ドラマ側からすると、バラエティに“お邪魔する”スタンスだが、実際に受け入れるバラエティ側は、いつもとは違う新たな要素が入ることを、スタッフも出演者も面白がってくれたのだそう。

『ラヴィット!』には、今作の発表前に松下が生出演したが、「『普通はこういうドラマを作るので、今度この番組に出ます』と言うほうが番組にとっても宣伝になるのですが、『ラヴィット!』さんから発表前に出演してもらいたいというご提案を頂いたんです。そして、発表後の週末に『夜明けのラヴィット!』で振り返って取り扱っていただくという形になりました」ということで、“番宣なしで松下洸平がバラエティのスタジオに登場する”という不思議な状況が生まれた。

『脱力タイムズ』では、松下がハリウッドザコシショウとの漫才でムチャぶりを受けるくだりがあったが、「最初に予定はなかったんですけど、有田(哲平)さんをはじめ、番組の方が面白がってくれて、松下さんにサプライズで行われました(笑)」とのこと。この番組はもともと、フィクションのようなバラエティなだけに、ドラマというフィクションがさらに一枚乗ることで、「我々も収録までどうなるのか見えませんでした」と振り返る。

また、有田らが参加して撮影されたドラマシーンは、「思いの外面白すぎたので、本当は1シーンだったのですが、何シーンかに分割して入れることになりました」と急きょ変更も。1回の放送尺が、放送のように細かく決まっていない配信ドラマのメリットを生かした判断だった。

  • 『全力!脱力タイムズ』のドラマシーン

■1年間のゴチメンバー経験も生きる

今作がドラマ初主演となる松下の魅力を聞くと、「コメディにしてもシリアスにしても、ナチュラルな感じがいいんですよね。『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』の松下さんは、まさに今回のドラマで求めていたテイストなので、カンテレさんに先にやられちゃったなという思いもありつつ(笑)、あの作品を見て、やっぱり松下さんにお願いして良かったと確信しました」と話す。

「バラエティでも本当に自然ですし、振り切ったら思い切りやってくれるんですよね」といい、『ぐるナイ』に「ゴチになります!」メンバーとして1年間レギュラー出演した経験も、今作の座組で生きたようだ。

  • (左から)岡村隆史、松下洸平、矢部浩之

    (左から)岡村隆史、松下洸平、矢部浩之

『潜入捜査官 松下洸平』というタイトルが決まってから松下本人と対面すると、第一声は「本当にこのタイトルで行くんですよね?」という確認から。内容については「面白い企画ですね」と捉えつつ、「やったことがないので、自分でもどうなるか分からないですね」という感触だったが、撮影に入った時点で完璧につかんでいたという。

脇を固めるドラマキャストも、佐藤浩市、馬場ふみか、古田新太など豪華な面々がそろう。特に佐藤について、小原氏は「松下さんと対立軸にある方はやっぱり大物俳優でないと説得力がないと思い、昔『鍵のかかった部屋』でご一緒させていただいた浩市さんに、“大物マフィアの幹部かもしれない本人役”というのをダメ元でお願いしました」といい、無事快諾してくれた。

  • 佐藤浩市

    佐藤浩市

『鍵のかかった部屋』当時も、撮影現場でアイデアを出していたそうだが、「今回もいろんなアイデアを頂きました。『ここで、あの人の名前出していい?』と、実際の俳優さんの名前を出すことでリアル感が増して、ご本人にも仁義を切ってくれているんです」と大きな役割を果たしたそうだ。