同じシンガーという立場だが、「私はステージに立つとき、自分が楽しんで、それがみんなに伝わってくれたらいいなと思っているので、佳子さんとはスタイルが真逆すぎて(笑)」と捉えながら、自身も歌声を聴く人に“与えている”ことがあると再確認したそう。

「自分のファンの方の中にも、闘病で苦しんでいて、私の楽曲を聴いて『生きたいと思った』と手紙をくれた方がいらっしゃるんです。その関係性を今回、映像でリアルに見られて、自分も誰かの人生に寄り添えていたらうれしいなと強く思いました」

坂田は、自分の歌声を聴いた人から「前を向いて生きていかなくちゃと思えました」という声がたくさんあることに、「私の使命」と語っている。そこで、きゃりーに自らが歌う理由を聞くと、「私がステージに立って、好きな格好で好きなように世界観を作って歌っているのを見てくれて、ファンの方が『ありのままの自分でいていいんだと思えました』と、よく言ってくれるんです。最近だとLGBTQの方とか。具体的にそういうメッセージを発信しているわけではないんですが、受け取り方は様々なので、佳子さんを通して歌の素晴らしさという部分も改めて感じました」という。

自身が歌に救われたり、勇気づけられたりした経験は、「まだ、あまりないのかもしれません。人並みに、失恋したら失恋ソングを聴いてみたり、ドライブに行ったらアゲアゲの曲を聴いたりということはあるんですが、何かこの1曲で、自分の中にズバッと何かがきたというものに、まだ私は人生で出会えてないんです」といい、「これから先に見つけられたらいいなと思います」と願った。

  • 部屋で泣く坂田佳子 (C)フジテレビ

■魂の叫びを「生で聴きたい」

今回の坂田佳子への密着を提案したように、『ザ・ノンフィクション』は毎週欠かさず見るほど大ファンのきゃりー。最近では、人力車の俥夫を目指す若者たちに密着した「東京力車」と、上京した新入社員たちの苦悩を追った「レストラン大宮」を一気に回る、浅草への“聖地巡礼”を目指し、結果としてレストラン大宮を訪れることができたそうで、「やっぱり見ていると“会いに行こう”と思っちゃうんです。だから、日光さる軍団も行かなきゃと思います」と使命感を語る。

当然、坂田にも会いたいという思いは、今回のナレーションで増したようで、「いろんなアーティストさんのライブをフェスとかで見させていただいてますが、これほど魂の叫びが聴こえる歌声はなかなか出会ったことがないので、やっぱり生で佳子さんの歌声を聴いてみたいですね」と期待を膨らませた。

●きゃりーぱみゅぱみゅ
1993年生まれ、東京都出身。11年夏、中田ヤスタカ(CAPSULE)プロデュースによるミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビュー。その後、『NHK紅白歌合戦』に3回出場し、13年に初めてのワールドツアー(8つの国と地域、13都市)を成功させ、これまでに4回のワールドツアーを行うなど国際的に活動する。デビュー10周年イヤーとなる21年、世界中を巻き込んだ新たな企みの発信地として新レーベル「KRK LAB」を発足し、22年に過去最大規模の全国ツアー『きゃりーぱみゅぱみゅ10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022』を開催。4月には米国最大級の野外音楽フェス『コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル』に出演した。音楽活動にとどまらず、現在は『世界の何だコレ!?ミステリー』(フジテレビ)、『u&i』『えいごであそぼ Meets the World』(NHK Eテレ)にレギュラー出演。今後、10月1日に『ASO ROCK FESTIVAL FIRE 2023』、10月7日に『長岡米百俵フェス2023』、また、『MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 2023』(11月3日~5日)に出演予定となっている。