俳優の森田剛が4日、東京・渋谷のNHKで行われたNHKスペシャル『アナウンサーたちの戦争』(総合 8月14日22:00~)の会見に、橋本愛、高良健吾、安田顕とともに出席した。
太平洋戦争では、日本軍の戦いをもう一つの戦いが支えていた。ラジオ放送による「電波戦」。ナチスのプロパガンダ戦に倣い「声の力」で戦意高揚・国威発揚を図り、偽情報で敵を混乱させた。行ったのは日本放送協会とそのアナウンサーたち。本作では、戦時中の彼らの活動を、事実を元にドラマ化して放送と戦争の知られざる関わりを描く。
主演の森田は、戦前から全国的人気があった伝説のアナウンサー・和田信賢役を熱演。和田アナは、1934(昭和9)年に日本放送協会に入局し、相撲や野球の実況放送、ニュース、朗読、演芸番組など幅広い分野で活躍し“不世出の天才”と呼ばれた。太平洋戦争では、開戦の臨時ニュースと終戦の玉音放送の両方に携わった人物だ。
森田は「和田信賢さんは自分の言葉でしゃべる。とにかく調べて自分の言葉で表現する人だったので、そこにすごく魅力を感じたし、僕がやっている仕事にも通じるのかなと。戦争にすごく左右されて影響されて、信念と信念がぶつかっていく日々はすごくつらかったですが、それと同時にすごく誇らしくて、和田さんは最後は自分の言葉で責任を持って収めるということができたのですごく幸せな時間でした」と撮影を振り返った。
出陣学徒を勇ましく送り出す実況を任され、苦悩する和田の姿も描かれるが、森田は「あそこのシーンの前に学徒の方とコミュニケーションがあったので余計にグッとくるものがありました」と吐露。
そして、「何よりこの作品は現実に基づいているということが大きい。本当にあったことで、経験した人がいるということを今この時代にやれるというのは、今の若者が見たらどう感じてくれるのかと思いますし、そのきっかけになればいいなとすごく思っています」と願いを込め、「今この時代だから意味があると信じている。より多くの人に届けたいし、見てほしいなと思っています」と語った。