THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ/COCOON PRODUCTION 2023『少女都市からの呼び声』の初日前取材が8日にTHEATER MILANO-Zaにて行われ、安田章大、咲妃みゆ、三宅弘城、風間杜夫、金守珍(演出・出演)が登場した。

  • 左から金守珍、風間杜夫、安田章大、咲妃みゆ、三宅弘城

    左から金守珍、風間杜夫、安田章大、咲妃みゆ、三宅弘城

同作は東急歌舞伎町タワーに誕生する新劇場「THEATER MILANO-Za」のオープニングシリーズで、7月の演目としてアングラ演劇の巨匠 唐十郎の名作を上演する。1969年初演の『少女都市』を改作し、1985年、新宿スペースDENにて劇団状況劇場が初演、1993年には劇団状況劇場出身でもある金守珍が、自身が主宰する新宿梁山泊公演で上演し、文化庁芸術祭賞を受賞した。フランスのアヴィニョン演劇祭をはじめ、カナダやアメリカ、オーストラリアなどでも上演され、海外でも高い評価を受けている。

安田は「唐十郎さんの作品を、ほぼ真逆であるジャニーズ事務所の安田がお届けできる。そして(HEATER MILANO-Za)オープニングシリーズ第3弾目ということなのでみんなで整えて、唐さんの作品を日本だけでなく世界へ届けられるべく頑張ってきました」と振り返る。上演に際しては「嬉しい限りですよ。幸せですね。何より金さん、風間さんと先輩たちが受け継いでる唐さんのエネルギーを、中間の年齢、受け継がなきゃいけない年齢に至ってると思うので、次に繋ぐという意味で入れている自分は、とても幸せな状況になるんだなと実感しています」としみじみとしていた。

一方、難しさも感じているようだが、安田は「なんて素敵な戯曲なんですか、という話ですから。理解しきれない部分も、誤読してしまう部分もあるでしょうし。なんせ唐十郎さんの脳みそをのぞいているわけですから。でもそれが楽しいです。世界観を覗ける」と喜ぶ。「充実してますね、どう考えても。ジャニーズ事務所ってすごく大きな事務所ですから、唐十郎さんという世界を広げていくためには、大きな場所であり、届けられる立ち位置にいるんだなと考えていて。これから関わっていく僕たちで、唐さんのすごさや大切さを途切れさせないようにしていこうと、今回改めて決めました。今回の作品で終わるのではなく、すぐ先にやってやろうなんて思ってます」と今後の展望も明かした。

金は「嬉しいですね。唐十郎作品はアングラとして世の中に伝わってますが、唐さんはアングラを名乗ったことないんですよ。世間がアングラとちょっと揶揄してたところがあって、風俗として消えるものだと。それが文化として残る出発点に、安田くんがいる。『少女都市からの呼び声』は40年くらいやってきて、やっと答えが見つかって、完成品です」と太鼓判。「唐ワールドはファンタジックホラーの中にアングラがあって、これからの若い人たち、次の世代に伝わったら僕の役目は終わるのかな。あとは安田くんに任せて思いっきり羽ばたいていただきたいと思っています。次の世代という意味では、安田くんがこれを受け入れたことが大きな転換期となります」と今回の上演は大きなポイントだったという。

安田と久しぶりに共演する風間は「『やっさん』と呼んでます。9年前は親子をやってるので。一回りも二回りも大きくなりました、体は大きくなってないけど」とからかい、安田も「体はちっちゃいままだなあ」と苦笑する。「芝居に対する構え方が本当に素晴らしい。頼もしいです」と成長を認めていた。

三宅は「初演は唐十郎さんが麿赤兒さんに当て書きしたという、フランケ醜態役なんですけど、その後ほぼ40年くらい金さんが(演じ続けていた)」と明かし、金も「やっと受け継いでもらえます。すばらしいです」と称える。三宅は「その重圧にほぼ押しつぶされてたんですけど、安田さん、咲妃さん、風間さんのお力もお借りしながら、金さんの演出のもと、なんとかちょっとだけ僕なりのフランケができたのかなと」と自負した。

咲妃は安田について「もともとすごくストイックな方という印象を抱いていたんですけど、その印象は変わらず、目配り気配りが大変に行き届いていらっしゃり、妹役を演じさせていただいていても感じますし、お稽古場で他の共演者の方、スタッフの方への何気ないお声がけにもあたたかみが感じられて、お人柄としてもすごく尊敬しています」と絶賛。「健康管理をきちんとされていらっしゃるんだなと感じて、お稽古場でも早くからいらっしゃって体作りをなさって、挑まれている姿をよくお見かけしますし、体調を整えるグッズをたくさんお持ちです。マットとかがゴロゴロとか」と稽古の様子を披露すると、安田は「体を壊したこともあるので、ケアしとかないと、100%120%のパフォーマンスができない。来てくださる方に申し訳ないと思う部分もあるからじゃないですか」と自己分析していた。

今回は急遽、安田が劇中歌を披露するというスペシャルな演出が増えたということで、金は「今日稽古しまして、お披露目はゲネプロでやる。唐さんが歌ってるくらい素敵なんですよ。『さすらいの唄』という、昔、根津甚八さんが歌ってたんですけど、唐さんが1番愛していた歌です。歌を受け継ぐのも大事。唐十郎といえば劇中歌ですから。僕も今日初めて見るから」と説明するも、安田は「金さん、ダメですよ! 通し稽古が終わってから決まったことなんです」とツッコミ。金は「風間さんが、『(安田は)あんなヨタヨタして出ちゃダメだよ』と言うから、そうかとピンときて、歌を送ったら(安田が)『うん、歌います』と。本業が歌手ですから、ファンがイチコロになりますよ」と楽しみな様子を見せる。1日で歌を入れたという安田は「ハードルをあげちゃだめですよ」と注意し、風間は「僕の一言で。『やっさんはもっとかっこよく、りりしく出なきゃだめだ』って」と満足そうにしていた。