日本テレビのドラマ『癒やしのお隣さんには秘密がある』(7日スタート、毎週金曜24:30~ ※初回は25:00~)にW主演する田辺桃子と小関裕太。一生懸命働いて実家に仕送りをするためギリギリの生活を送るヒロイン・蓬田藤子(田辺)と、イケメンの御曹司だが実は藤子のストーカー・仁科蒼真(小関)という関係性から繰り広げられる“やみキュン”ラブストーリーの今作に、どのように挑んでいるのか。

クランクイン前の2人に、役への臨み方や互いの印象、そして自身の“癒やし”などについて、話を聞いた――。

  • 『癒やしのお隣さんには秘密がある』にW主演する田辺桃子(左)と小関裕太

    『癒やしのお隣さんには秘密がある』にW主演する田辺桃子(左)と小関裕太

■人間的なホラーの要素がある

――原作コミックを読んだ感想は、いかがでしたか?

田辺:それぞれのキャラクターを俯瞰(ふかん)で見ていたはずなのに、いつの間にか友人のように見守ったり、自分のことのように物語に入り込んでいたんです。キャラクターをいろんな角度から見ることができて、こういう作品はなかなかないなと思いました。それと、やっぱり自分のストーカーがいるというのも衝撃的で、そこにハラハラ・ドキドキしつつ、癒やされる部分やキュンとくるところもすごくたくさんあったので、これを実写化するとなると、どういうふうに進んでいくんだろうと、いち視聴者としてもワクワクしました。

小関:僕は読みながら「怖っ」「えっ」「うわっ」「きもっ」ってずっと言ってました(笑)。仁科の距離感とかまとう空気みたいなのが本当に怖くて、すごく邪悪な気配がするんです。部屋の中に藤子の写真がブワーッと貼られてるシーンとか、「ワーッ!!」って叫びながら読みました。ラブの作品でありつつも、彼がストーカーとなるに至った経緯とか、性格とかバックボーンが徐々に明らかになって、人間的なホラーの要素があるんです。このドラマ化を最初に聞いたときに、スタッフの方から「“カッコいい紳士で御曹司だからストーカーが許されるのか”というところもちゃんと踏み込んで考えていきたいです」という話を、企画書を読ませていただいた上で聞いたので、深夜ドラマならではのオリジナリティある作品ができそうだなと、ワクワクしました。

――それぞれ、ご自身が演じるキャラクターについてはどう捉えていますか?

田辺:一生懸命で何事にも“頑張るぞ”っていう気持ちももちろんすてきなんですけど、内に秘めている感情がちゃんとあるというところが魅力的です。私は、何を考えているか分からないより、人間味があるキャラクターが好きになるタイプで、藤子は喜怒哀楽がちゃんとあって、感情もコロコロ変わる子ではあるんですけど、そこもまた愛おしくて。いろんな感情の中で彼女がまっすぐ突き進んでいる姿が、魅力的だなという印象を受けました。

小関:このキャラクターと向き合うにあたって、どういうふうに彼の心が移り変わってストーカーになったのか、どういう意識で普段過ごして、藤子に対してどういう愛を持っているのかというところが、第三者目線じゃなくて本人目線で明確になったら、彼に寄り添うことができるかなと思っています。今回初めてストーカー役をやるのですが、ストーカーを演じようとするのではなく、彼が信じているものとか、彼女に向けている純愛とか、そういうピュアな部分を追って寄り添っていけたら、仁科が完成するんじゃないかなと思い描いています。

■ちょっと濁った感情で土曜日を迎えるのか…

――そんな役を、どのように演じてみたいと考えていますか?

田辺:原作だと回を追っていくごとに、“実は仁科がストーカーだった”ということが分かるんですけど、ドラマ版だと視聴者の方は最初から“とんでもない人だ”と分かった状態でスタートするので、見ていただいく方に藤子は「脳天気な子」には見せたくないなと思っています。漫画原作なので、「こんなこと、本当に起きるの?」と思われることもあると思うのですが、大きなテーマである「純愛の善悪はどこなのか」というのは現実世界でも共通すると思うんです。だからこそ、漫画では描かれていない、藤子の生活の姿とか空気感、それからしゃべり方みたいなのはドラマならではの表現だと思うので、藤子の持っている愛らしさと人間味を、楽しんでもらえたらいいなと考えています。

小関:ドラマ版は逆に不気味さを演出しないほうが不気味なんじゃないかなと思うんです。ベランダでお酒を酌み交わしながら「今日こんなことがあったんだ」「そうなんだ。その上司、最低だね」みたいに仁科が藤子の心に寄り添うシーンは、漫画ではそこさえも、僕の中ではちょっと変な距離感だったんですけど、ドラマ版はお互いにとって癒やしの存在であって、リラックスできる空間であるほうが面白いんじゃないかと思っていて。そんな感じで、原作にあるヒントを大事にしつつ、ドラマの持ってるコンセプトやメッセージ性を大事にしながら撮影に参加したいなというのがあります。深夜に家に帰ってきてこのドラマを見ると、仕事の疲れを癒やせるシーンもあるし、怖いシーンもあるので、深夜ならではのテンションで見ると楽しめるドラマになったらいいなと思ってます。

田辺:もう寝れなくなっちゃうかもしれないですね(笑)。「次どうなるんだろう…」っていうところで毎話終わるので、毎回見逃せない内容になると思います。

小関:いい土曜日が迎えられるのか、ちょっと濁った感情で迎えることになるのか(笑)

  • (C)日テレ

――小関さんから見て、藤子という女性の魅力はどう感じていますか?

小関:何よりもまっすぐなところですね。彼女を好きになった理由は明確に描かれるのですが、それをきっかけに彼女が気になるようになって、彼女の存在を求めるようになって、恋をしているからこそ見えるその人の魅力的な部分がたくさん増えていったんじゃないかと思うのですが、その1つが真面目だったり、頼まれても断れないくらいの優しさがあったり、家族が貧乏という中で努力し続ける面とかが、より好きになっていく要素なんじゃないかなと想像しています。