「電気自動車のF1」とも呼ばれるモータースポーツ「フォーミュラE」の東京開催が決定した。東京都はどんな狙いがあって同大会の開催を決めたのか。東京都の「ゼロエミッションビークル」(ZEV)普及イベント「E-Tokyoキックオフ」で担当者に話を聞いてきた。
歩いて見に行けるモータースポーツ?
「フォーミュラE」は2014年9月に始まったモータースポーツ。日本国外ではベルリン、ローマ、ロンドン、モナコなど世界の主要都市で開催されている。
「FIA フォーミュラE世界選手権東京大会」の開催は2024年3月。東京の市街地でクルマのレースを開催するのは今回が初めてだという。コースの予定地は臨海ベイエリアの東京ビッグサイト周辺を予定。東京都の担当者によると、世界各国の例では大体1周2~3kmのコースが多いそうだ。ビッグサイト周辺はしっかりと区画が整備されている印象なので、厳しいシケインやヘアピンカーブなどを備えたコースを作れるのかどうかは不明だが、東京の街中を最高速度300km/h超のレーシングカーが走る姿はきっと壮観なはずだ
ところで、なぜ東京でフォーミュラEを開催するのか。東京都としてはZEVの普及と都民の意識改革に向けた起爆剤として、このビッグイベントを開催することを決めたようだ。
東京都は2050年にCO2排出実質ゼロ、2030年に温室効果ガス排出量50%削減(2000年比)の目標を掲げている。自動車については、2030年に都内で新車販売される乗用車を100%非ガソリン化することを目指しているそうだ。ちなみに非ガソリン化とは内燃機関のみで走るクルマの新車販売をゼロにする目標なので、ハイブリッド車の新車販売までなくそうというわけではない。
東京都の担当者によれば、モビリティ分野でのCO2削減に向けては以下の3つの柱を立てて取り組みを進めているという。
補助金:自動車とバイクのZEV購入に補助金を支給。
充電インフラの整備:電気自動車(EV)などの4輪車には充電スポット、電気で走るバイクにはバッテリーステーション(駆動用バッテリーを交換する場所)といった充電インフラを整備。
ZEVの普及啓発と都民の意識改革。
フォーミュラE開催は3本目の柱「ZEVの普及啓発と都民の意識改革」に即した取り組みだ。クルマのレースは普通、サーキットに出かけないと観戦できないが、フォーミュラEの東京大会は都民であれば場所的に割と気軽に出かけられるし、人によっては歩いて見に行けるかもしれない。そもそも、街中でのレース開催が可能となったのは、フォーミュラEに参戦する車両が電気自動車(EV)であるため、騒音も排ガスも出さないからだ。
なお、フォーミュラE東京大会の主催者は「Formula E Operations Limited」であり、東京都は安心・安全な大会に向け協力していくという立ち位置。東京都が観戦チケットを売るという形にはならないそうだ。