ボルボの新型電気自動車「EX30」が日本にやってくると聞いたので、急遽、実物にお目にかかってきた。狭いところでも乗ったり駐車したりしやすそうなサイズ感、クールな外観、海外での価格設定などから考えると、日本にジャストフィットしそうなEX30。ボルボ・カー・ジャパンの社長も、このクルマにはかなりの期待を抱いているようだ。

  • ボルボ「EX30」

    ボルボの新型EV「EX30」が日本に!

ボルボ史上最速! 日本ではいくらになりそう?

EX30はコンパクトSUVタイプの電気自動車(バッテリーEV=BEV)だ。2023年6月7日にイタリアのミラノでワールドプレミアされたモデルが、その1週間後に日本に登場したわけだから(ミラノに登場したEX30と同じ個体ではないらしいが)、EX30の市場としてボルボが日本にかける期待の大きさが伝わってくる。日本発売は2023年夏の予定。欧州を含む一部のマーケットでは注文を取り始めている。

  • ボルボ「EX30」

    東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」に現れた「EX30」。EX30を載せた船がたまたま日本近海を通りかかったから展示したのではなく、日本で見せるためにわざわざ空輸したそうだ

  • ボルボ「EX30」

    「EX30」はボルボがBEV専用プラットフォームで作ったクルマだ。つまり、EX30のガソリンエンジン搭載モデルといったようなクルマは出てこない。ボルボは2030年に新車販売の100%をBEVにすると宣言している

実際のところ、EX30とはどんなクルマなのか。日本仕様についてはスペックも価格も非公表だが、欧州仕様についてわかっていることを押さえておこう。これから掲げる数値データは全て欧州仕様のものだ。

まず、最も気になるボディサイズは全長4,233mm、全幅1,837mm、全高1,549mm。ボルボのSUVで最も小さく、EVバージョンもある「XC40」よりもひと回り小型だ。何よりうれしいのは、車幅がXC40と比べてずいぶんとすっきりしているところ。これなら都市部でも取り回しがしやすそうだ。

  • ボルボ「EX30」

    近年のボルボ車ではおなじみの「トールハンマーヘッドライト」はデジタル表現を取り入れて先進的なデザインに

バッテリーとモーターの組み合わせは全部で3種類。詳細は以下の通りだ。ちなみに、どのタイプが日本に入ってくるかは現時点で判明していない。

  • リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー搭載のシングルモータータイプ。最も価格の低いエントリーグレードで海外でのスターティングプライスは3.6万ユーロ(日本円だと540万円強くらい)。「市街地での移動が多い方や充電間の移動距離が短い方に」オススメのタイプだそう。

  • リチウムイオンバッテリー(NMC)搭載のシングルモーター・エクステンデッドレンジ。フル充電での航続距離(WLTP)は全タイプの中で最長の480kmとなる。

  • NMCバッテリーに2基のモーターを搭載する全輪駆動のハイパフォーマンスモデル。最高出力は315kW(428hp)。0-100km/h加速はボルボ史上最速の3.6秒!

値段は3.6万ユーロから。ボルボとしては、似たようなサイズのガソリンエンジン搭載プレミアムカーと同程度の価格で購入できるEVである点をアピールしている。日本での価格設定は不明だが、補助金を使えば400万円台後半から購入可能になるかもしれない。

  • ボルボ「EX30」
  • ボルボ「EX30」
  • ボディカラーは「ヴェイパーグレー」「オニキスブラック」「モスイエロー」「クリスタルホワイト」「クラウドブルー」の5色展開。個人的には黄色いボルボが珍しくて気になる

  • ボルボ「EX30」

    実物の車内は撮影NGだったので、ボルボ提供の画像素材を掲載しておきたい。インパネ中央に縦長のタッチパネルがあり、速度表示も含めさまざまな情報が集約される。運転席の目の前にメーターパネルはないが、これはテスラ車も同じ作りだ。テスラを実際に運転してみると、目の前にメーターがなくても意外に違和感がなく、すぐに慣れてしまったので驚いた

  • ボルボ「EX30」

    内装は北欧の自然をイメージした「ブリーズ」「ミスト」「パイン」「インディゴ」の4種類を設定。シート素材とデコラティブ・パネルには再生可能な素材やリサイクル素材を使っている

「Volvo Studio Tokyo」にはボルボ・カー・ジャパン社長のマーティン・パーソンさんがいたので、EX30について話を聞いてみた。

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    「EX30」とマーティン・パーソン社長

「EX30」日本導入への期待は?

――日本が待っていたサイズのクルマですね?

おっしゃる通り! やっと、日本にちょうどいいサイズのクルマが入ってきます。すごく期待しています。

――あまり競合となるクルマもいないように思えますが?

BセグメントでBEVというと、ほとんどいません。だから、チャンスだと思っています。EX30にはボリューム(販売台数)も期待したいですし、マーケットシェアも取っていきたいと思っています。

――プレミアムブランドの小型SUVで、なおかつBEVというとほかに選択肢がないように思えますから、ほかのブランドからEX30に乗り換える人も多くなるのでは?

そうです! EX30では、できるだけ新規のお客様を獲得したいと思っています。

――ボルボの小さいクルマといえば、日本では「V40」の人気が高かったと聞いています。V40からEX30に乗り換える人も増えそうですね?

もちろん、ロイヤルオーナーはとっても大事なのですが、とにかく新規のお客様に来ていただいて、ブランド自体のパイを増やしたいです。

――EX30のサイズ感、特に、欧州仕様ではありますが全高が1,550mmを切っているところなど、すごく日本市場を意識しているような感じがします。本社に日本から要求を出したんですか?

本社への説明は、ずっとしています。日本の駐車場のこととかですね(笑)。やっと、それに答えてくれるクルマが来ました。嬉しいです。

――価格競争力も高そうです。

そうですね。ICE(内燃機関搭載車)と似たようなプライシングですから、台数もシェアも期待できます。

プレミアムカーのBEV市場は急速に成長していて、2023年5月までのデータでは前年比80%くらいの伸びを示しています。そこでミスをしないようにしたいですし、ボルボは高いポジションを狙っています。そもそもボルボは2030年にBEV100%という目標を掲げているわけですから、なんとしてもBEVで成功しなくてはいけません。EX30はいいタイミングで入ってくると思います。

  • ボルボ「EX30」
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