第49回「放送文化基金賞」が7日に発表され、ドラマ部門最優秀賞を『エルピス ―希望、あるいは災い―』(カンテレ)が受賞。同ドラマ主演の長澤まさみが演技賞に選ばれた。

  • 『エルピス ―希望、あるいは災い―』主演の長澤まさみ

同賞では『エルピス』について、「映像、演出、演技、ストーリー、あらゆる点でこれまでとは違う一段レベルの高いドラマが出現したとして高く評価された。渡辺あやの脚本、大友良英の音楽、大根仁の演出という手練れのスタッフに支えられ、冤罪と政治権力という実際の社会問題をえぐる批判性の高いドラマとなった。長澤まさみ、眞栄田郷敦、鈴木亮平、三浦透子、岡部たかし等が演じる主要人物の激しい葛藤と変貌とが視聴者の心を深く捉え、見事、最優秀賞に輝いた」と選考理由をコメント。

長澤については、「ニュースキャスターとしての凛とした佇まいと、弱い人間としてもがく苦闘の振れ幅を打ち出し、視聴者の心をしっかりとつかんだ。その魅力が作品の大きな力となった」と評価した。

『エルピス』は第60回ギャラクシー賞のテレビ部門大賞、長澤は同賞の個人賞、第31回橋田賞の橋田賞なども受賞している。

第49回「放送文化基金賞」のドラマ部門は、優秀賞に『ドラマ10 大奥』(NHK)、奨励賞に『ふたりのウルトラマン』(NHK)、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)が決定。

エンターテインメント部門は、最優秀賞に『~この後どうする? 密着TV~ 終わりが始まり』(読売テレビ、中京テレビ)、優秀賞に『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(NHK)、奨励賞に『NHKスペシャル 超・進化論「第1集 植物からのメッセージ ~地球を彩る驚異の世界~」「第2集 愛しき昆虫たち ~最強の適応力~」』(NHK)、『THE 闘牛アワー』(琉球放送)。

ドキュメンタリー部門は、最優秀賞に『性別は誰が決めるか ~「心の生」をみつめて~ 』(北海道放送)、優秀賞に『NHKスペシャル「海辺にあった、町の病院~震災12年 石巻市雄勝町~』(NHK)、奨励賞に『ETV特集「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」』(NHK)、『こどもホスピス~いのち輝く“第2のおうち”~』(ABCテレビ)、『にっこり笑って~山あいの写真館 10年の物語~』(高知放送)。

ラジオ部門は、最優秀賞に『講談風大河ラジオドラマ「弁慶記」』(FM TANABE)、優秀賞 に『きたやまおさむ「イムジン河」スペシャル~音楽は時代(とき)を超える~』(ニッポン放送)、奨励賞に『音で綴る復帰50年「民の謡 島に息づく琉球民謡」「沖縄のお笑い ~そこに込められた想いを辿る~」』(琉球放送)。

また、演技賞に満島真之介(『ふたりのウルトラマン』)、出演者賞に相原啓介氏(『ETV特集「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」』)、脚本賞に森下佳子氏(『ドラマ10 大奥』)、脚本・演出賞に藤井亮氏(『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』)、企画・演出・脚本賞に大崎健志氏(『講談風大河ラジオドラマ「弁慶記」』)が決まった。