女優の若村麻由美がこのほど、フジテレビ系ドラマ『この素晴らしき世界』(7月スタート、毎週木曜22:00~)のクランクインを迎えた。
若村演じる、平凡な生活を送る“主婦”が、ひょんなことから芸能界で活躍する“大女優”になりすましながら二重生活を強いられる同ドラマ。クランクインは、主人公・浜岡妙子(若村)が働くス-パーマーケット・ラビットマートの野菜売り場のシーンとなった。
初日は白いカットソーにラビットマートのエプロンというラフないでたちで、若村は収録現場に到着すると、制作スタッフよりも大きな声で「これから(1クール)よろしくお願いします!」とあいさつ。撮影の合間には監督と共に熱心に、そして時には談笑を交え話し合いながら初日の収録が順調に進んでいった。今後は真逆な性格の持ち主でもある若菜絹代(若村)のシーンも撮影予定だ。
この役は鈴木京香が演じる予定だったが、体調不良のため降板し、若村が緊急登板することになった。プロデュースを手がけるフジテレビの鈴木吉弘氏が、台本の修正などについて明かした。
――今作の企画の成立について教えてください。
「実はこの企画は、僕がまだ駆け出しのプロデューサーだった頃からやってみたかった企画なんです。その頃ご一緒していた制作のプロデューサーの方と、あれこれと考えていました。失踪する女優と、その身代わりを演じることになる一般人のコメディーです。それを、30年くらい経った今、引き出しの奥から引っ張り出した感じです。もちろん一緒に考えていたプロデューサーさんにも許可をいただきました。今回は、大人の俳優さんたちを集めたいという企画でしたので、まずキャスティングを始める前に、物語の全てのプロットと脚本を概ね完成させて、それを読んでいただいた上でキャスティングのお願いをさせていただきました」
――台本の進行としてはずいぶん早いですね。
「僕の担当した連ドラでも、一般的にはクランクインの段階で半分くらいの台本ができていて、あとは撮影をしながら順次作っていくことが多かったです。実際の撮影やお芝居を見ながら内容を作って行くというような。それも連ドラの醍醐味(だいごみ)ではあるのですが、今回は2月には最終回まで全ての台本が出来上がっているという形でした」
――キャストの変更によって内容の変更はあったのですか?
「若村麻由美さんに主演を引き受けていただけることになって、ご本人とお会いしていろいろお話をしまして、主婦と大女優という二役を演じていただくにあたって多少セリフの言い回しや語尾などを変更して、脚本を書き直して新しい決定台本を作りました。物語全体については全く変わっていません」
――“なりすまし”、“一人二役”という今作の軸を成立させるために主演に求めていたことは?
「この役は、“平凡な主婦”と“大女優”という二役だけではなく、“主婦がなりすました女優”という中間の一面もあり、とても多彩な表現が求められます。若村さんとご一緒させていただくのは今回が初めてなのですが、さまざまな作品を拝見していて、役柄ごとに見事に違いを演じ分けて表現されているので、この難しいキャラクターも面白く見せてくださると確信しています」
――今作の魅力、物語に込めた思いは?
「今作は荒唐無稽なコメディーなのですが、主人公が異世界に飛び込んでしまって、純粋な目線だからこそ見えるその異世界の奇妙なことに気づき、それを“世直ししていく”という物語でもあります。これは、私たちの生きる社会の中のどこにでもあるような問題についても同じで、目を背けずに無関心にならずに、純粋な目線で見て、自分のできる範囲でできることから直していこうよというメッセージになればと思っています」
――多彩な方々が出演しますが、期待することはありますか?
「最初に企画があって、それにもっともふさわしいと思う方々をキャスティングさせていただき、その後にさらにキャラクター造形が“当て書き”という形になるように脚本を修正していきました。これから発表させていただくキャストも含めて異次元の豪華さとなっていて、演技のぶつかり合いが楽しみです。それぞれの俳優の個性がいきる、“どのシーンを切り取っても面白い組み合わせ”のキャスティングになっていると思います」
(C)フジテレビ