NHKの番組『映像の世紀 バタフライエフェクト』(総合:毎週月曜22:00~)が、第60回ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)のテレビ部門・特別賞を受賞し、31日、都内のホテルで行われた贈賞式で、同局の岩田真治ディレクターが喜びを語った。

  • 『映像の世紀 バタフライエフェクト』

蝶の羽ばたきのような小さな動きが、世界を動かす大きな変化につながる=バタフライエフェクトという視点で、膨大な映像資料を番組化する『映像の世紀バタフライエフェクト』。この番組が生まれたきっかけについて、岩田ディレクターは「寺園慎一プロデューサーが、小さな新聞記事を見つけたところから始まっています」と切り出した。

「2001年に新大久保駅での転落事故で(線路に落ちた人を助けようとした)韓国人の留学生が亡くなったという悲しい出来事があったんですが、その6年後にまた同じような出来事があったときに、今度は救うことができたんです。それは、韓国人の留学生のお母さんが書いた本がきっかけになって、その本を読んだ人が、この場面ではどういうふうに行動したらいいかということが書いてあって、プロデューサーの言葉としては『1人の勇気というものが、その時には報われなかったとしても、時空を超えて見知らぬ誰かに大きな影響を与えて、時には奇跡を起こすことがある』と。世界というのは、そういう豊かさや愛しさの小さな小さな積み重ねであるということを番組でやっていこうというコンセプトで、去年から始まりました」(岩田ディレクター)

昨年4月にスタートして、すぐに同月度のギャラクシー賞を受賞した同番組。岩田ディレクターは「いち早く評価を頂いて、自分たちがこれからどういう方向で番組を作っていったらいいのかというときに、大きな励ましを頂いたということがあります」と感謝した。

同賞では「2022年4月から『映像の世紀』の新シリーズとして始まったこの番組は20世紀の世界史を斬新な視点で見つめ、視聴者に新たな感動と驚きをもたらしました。バタフライエフェクトとは片隅で起きた蝶の羽ばたきのような小さな動きが、世界を動かす大きな変化につながるという事情を示しています。世界各国で発掘・収集した貴重な記録映像を駆使して、20世紀の歴史を捉える新しい視点を提示した功績を高く評価して、特別賞を贈ります」と講評している。