日清食品ホールディングスは5月15日、「プラントベースうなぎ」の開発に成功したと日清食品グループの公式サイトで発表した。

  • 「プラントベースうなぎ」を使用した"うな重"(調理例)

古くから高級食材として知られている「ニホンウナギ」は、国際自然保護連合により絶滅危惧種IB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いとされるもの)に指定されている。

一方、ウナギの養殖は天然資源(稚魚であるシラスウナギ)に依存している。近年、シラスウナギの漁獲量は減少傾向にあり、その価格が高騰していることから、市販されるうなぎの価格も上昇。さらに、ウナギを卵から育てる完全養殖は、技術的に確立されているもののコストの問題が解決されておらず、実用化には至っていない。

そのため、このままでは「うなぎを食べる」という日本の食文化が失われてしまう可能性があり、日清食品では"栄養改善"と"持続可能な食料システム"の実現に向けたコミットメントを「東京栄養サミット2021」に合わせて策定。

豊かな日本の食文化を守ることを目的とした「プラントベースうなぎ」の開発と商品化を進めることで「持続可能な食料システム」の構築へ貢献するという。

  • 「プラントベースうなぎ」の3層構造

「プラントベースうなぎ」の開発には、動物由来原料を使用せずに本物の"うなぎの蒲焼"に近い「食感」と「見た目」を実現するという大きな課題があったという。

本物の"うなぎの蒲焼"の食感に近づけるため、「白身層」「中間層」「皮層」の3層に分けて生地を作り、「白身層」には、主に粒状大豆たん白を使用。ふわっとしながらも繊維感のある食感を再現したという。また「中間層」は、植物油脂などを使用することで、うなぎの身と皮の間にある脂身のとろっとした食感を再現。さらに「皮層」には、竹炭粉末を使うことで特有の黒さを再現している。

また"うなぎの蒲焼"特有の「見た目」は、3層の生地を専用の金型に詰めて蒸した後、タレを塗り、炙って焼き目をつけることで表現したという。