静岡市のツインメッセ静岡にて、5月10~14日に開催された「第61回静岡ホビーショー」(主催 : 静岡模型教材協同組合)。鉄道模型メーカーも多数出展し、それぞれ試作品展示や新情報発表などを行った。筆者は業者招待日の5月10日に取材を行った。

  • 「第61回静岡ホビーショー」にトミーテックとタカラトミーも出展。「プラレール リアルクラス」の試作品も展示された

前回紹介したKATO、マイクロエース、グリーンマックスに加え、トミーテックも「TOMIX」「ジオコレ」の試作品を多数展示し、製品化決定情報も公開していた。トミーテックのブースを一部間借りする形で、タカラトミー「プラレール リアルクラス」や「トランスフォーマー」などの展示も行われた。今回はトミーテックとタカラトミーの展示から、発売の近づいている製品や新たに発表された新製品をおもに紹介する。

■TOMIXが試作品を多数展示、221系と「ロマンシング佐賀」も発表

まずはTOMIXの製品を見ていく。実車も大きな話題となった「特別企画品 JR E2-1000系東北・上越新幹線(J66編成・200系カラー)」は5月中に発売予定。品番は「97954」、価格は3万4,320円。E2系1000番代の初期編成に見られた、車体側面の行先表示が小さい車体を新規製作する。このタイプの車体はTOMIXとしても初の製品化だという。会場では特別デザインのパッケージが展示された。

国鉄時代の常磐線急行「ときわ」に使用された「国鉄 453系急行電車(ときわ)」も5月発売予定。4両の基本セット(品番「98520」、価格2万240円)、3両の増結セット(品番「98521」、価格1万2,100円)に分けられている。特徴的な常磐無線アンテナと配管を別パーツで選択でき、クモハとクハで異なるスカート形状を作り分けられる。「モハ452」片側側面にあるルーバーも新規で再現され、455系とは異なる形状の水タンクも再現するという。

  • TOMIXが新幹線200系カラーのE2系1000番代を発売

  • 国鉄時代の常磐線を走った453系の急行「ときわ」

  • SR1系100番代「しなのサンライズ」。実車のリーフレットのレプリカも付属

しなの鉄道の新型車両SR1系のうち、ライナー用の「しなの鉄道 SR1系100番代電車(しなのサンライズ号)セット」(品番「98819」、価格3万1,680円)も5月発売。座席パーツはクロスシートを再現しており、しなの鉄道のロゴマークや車番が印刷済みとなる。しなの鉄道の車両はTOMIXだけでなく、KATOからも発売されており、両方並べて楽しむこともできる。

JR東海の最新鋭車両として中央本線(中津川~名古屋間)に投入された315系が、Nゲージ鉄道模型「JR 315系通勤電車セット」(品番「98820」、価格2万8,050円)として6月に発売予定。いままでのJR東海車両にはなかった前面・側面形状を的確に再現しつつ、オレンジ色のラインも細かく塗り分けている。車体とドアでステンレスの質感が異なり、塗り分けることで見事に再現されていた。

4月10日の特別運行をもって惜しまれながら引退したJR北海道キハ183系(後期型車両)のうち、かつて存在したキハ183系のお座敷車両を「JR キハ183-6000系ディーゼルカー(お座敷車)セット」(品番「98523」、価格1万6,170円)として6月発売。赤色を塗装した試作品が会場に展示された。このセット単体でも楽しめるが、既存のキハ183系を持っていれば、お座敷車両を1両単位で組み込んでも実車さながらの編成になる。

  • JR東海の最新鋭車両315系がNゲージ化。キハ183系のラインナップもさらに充実

JR四国で2000系に代わり、非電化区間を走る特急列車の主力を担う2700系も鉄道模型化され、TOMIXが発売。「特別企画品 JR 2700系特急ディーゼルカー(南風・しまんと)セット」(品番「97950」、価格2万8,160円)は7月発売予定。通常版の基本セット(品番「98491」、価格1万7,600円)と増結セット(品番「98492」、価格8,360円)は8月発売予定となっている。

同じく7月発売予定の「国鉄 165系急行電車(草津・ゆけむり)セット」(品番「98823」、価格3万2,670円)は、緑色の塗装を行った状態で展示された。小型のユニットサッシ窓に改造された「サロ165」や、「クモハ165」のスカートが新規製作で再現される。高額だが、東北・上越新幹線上野延伸(1985年)前の東北本線・高崎線系統のコレクションに適した車両といえるだろう。

  • JR四国の特急形気動車2700系と、国鉄時代に運行された165系の急行「草津」「ゆけむり」

6月11日に最終運行を迎える予定の「SL銀河」も、TOMIXが11月に発売。会場では、「SL銀河」を牽引する「JR C58形蒸気機関車(239号機)」(品番「2009」、価格1万7,600円)が試作品として展示された。キャブ窓・ドア窓が開いた状態を再現し、前面・テンダーのライトも作り分けられる。専用客車のキハ141系も同時発売となる。

取材当日に発表された新製品として、JR西日本221系の試作品も展示された。4両編成の基本セットA(品番「98466」、価格1万8,700円)、6両編成の基本セットB(品番「98467」、価格2万4,200円)、中間4両の増結セット(品番「98468」、価格1万1,000円)の3種類を用意し、11月発売予定。いずれもリニューアル前の仕様で、スカートが延長され、一部台車にヨーダンパが取り付けられた状態を再現する。基本セット単体、またはそれ同士で最大12両編成を再現でき、基本セットAと増結セットを組み合わせると8両貫通編成になる。

  • 「SL銀河」実車の運行終了後もNゲージで楽しめる

  • 関西圏の各線で活躍中の221系がリニューアル前の仕様で製品化

  • 「ロマンシング佐賀列車」がNゲージに。写真は「大川内山号」「トンバイ塀号」

スクウェア・エニックスのRPGシリーズ『サガ』と佐賀県のコラボ企画として、唐津線・筑肥線で活躍するキハ47形8000番代にラッピングを施した「ロマンシング佐賀列車」も発表された。「吉野ヶ里歴史公園号」「トンバイ塀号」「大川内山号」のセットA(品番「98537」、価格2万6,400円)、「清水の滝号」「ロマ佐賀マンホール号」のセットB(品番「98538」、価格1万7,600円)がそれぞれ12月発売予定。個々のラッピングはもちろん、車両の側面ルーバー、トイレ窓、屋根上水タンクの有無も作り分けられる。

■「鉄道コレクション」DMVやライトライン、「ロマ佐賀」ラッピングも

TOMIXの鉄道模型試作品とともに、「ジオコレ」の新製品も多数展示された。世界初の本格営業運転として話題となった阿佐海岸鉄道DMV(デュアル・モード・ビークル)も製品化され、5月中の発売予定とされている。

「阿佐海岸鉄道DMV-931(未来への波乗り) モードインターチェンジ付」(価格5,500円)は、実車同様に鉄道モード・バスモードの切替えが可能(床下のレバーを手動で操作)。専用のレールも付属する。独特な構造であるがゆえに動力化はできないが、珍しい車両を身近に楽しみやすくなるだろう。

1月19日の臨時貸切列車をもって運行を終了した長野電鉄3500系(元・日比谷線3000系)は、「長野電鉄3500系N8編成引退記念2両セット」(価格4,400円)として6月発売予定。引退直前の3500系N8編成の姿を再現し、パッケージも実車の写真を用いた特別仕様となっている。

  • 阿佐海岸鉄道のDMVが「ジオコレ」で登場

  • 長野電鉄3500系のうち、最後まで活躍したN8編成が発売

  • ライトラインが「鉄コレ」に。島式電停も付属

8月開業予定の宇都宮ライトレールの車両「宇都宮ライトレールHU300形HU301 LIGHTLINE」も、実車の路線開業に合わせて8月発売予定。明るいカラーリングや流線形の前面など再現しており、緩急接続の可能な島式電停も付属する。単品の価格は5,500円だが、動力ユニットとレール・コントローラーもセットになった「宇都宮ライトレール 運転セット」(価格1万6,500円)も発売される。

ブラインドパッケージ「鉄道コレクション第32弾」(価格1,760円)も8月発売予定。キハE131形500番代・キハE132形500番代、EV-E801系、キハE120形(グリーン)、キハE130形0番代、キハ126形10・1010番代、BEC819系が収録され、その未塗装サンプルが展示された。

  • 「鉄道コレクション第32弾」は非電化ローカル線の主力車両。キハ125形の「ロマンシング佐賀列車」も(写真は「多久聖廟号」「SAGAサンライズパーク号」)

キハ47形8000番代「ロマンシング佐賀列車」の発売に先行して、「鉄道コレクション」でもキハ125形「ロマンシング佐賀列車」を10月発売。価格は1万2,320円。「唐津城号」「SAGAサンライズパーク号」「海中鳥居号」「多久聖廟号」がNゲージサイズで再現される。過去にも「ロマンシング佐賀」ラッピングのキハ125形が製品化されたことがあったが、今回は当時より豪華なラッピングとなった。鉄道ファン、ゲームファン両方の注目を集めそうだ。

■「プラレール リアルクラス」185系とNSE(3100形)の試作品を公開

タカラトミーが6月22日の発売を予定している「プラレール リアルクラス」から、185系と小田急ロマンスカー・NSE(3100形)を取材した。従来の「プラレール」よりさらにリアルな造形・塗装となっており、内装表現にも力が入っている。冷房とパンタグラフはハイタイプ・ロータイプで交換可能。レールは枕木を表現しつつ、従来の青色のレールと互換性があるという。なお、レール単品の販売は公式通販サイト「タカラトミーモール」でのみ扱われる。

「プラレール リアルクラス」第1弾として登場する185系は、特急「踊り子」で活躍した緑ストライプの編成を再現。「踊り子」ヘッドマークが印刷され、その上にある国鉄特急シンボルマークや、下部のタイフォンカバーも立体的に表現されている。車体側面の窓枠に銀色の色差しも入っており、そこにワンランク上のグレードの高さを垣間見た。

会場では、公式YouTube動画に登場したジオラマも展示され、185系が走行している様子を見学できた。「プラレール」らしさを残しつつも細部までこだわりのある造形・塗装は、専用のジオラマによくなじむ。なお、一部の情景やレールではハイタイプのクーラーとパンタグラフが使用できないとのこと。購入後、各自で調整してほしい。

  • 「プラレール リアルクラス」185系が製品化

  • 小田急ロマンスカー・NSE(3100形)もよりリアルに

  • ジオラマで185系の展示走行も。伊豆急行線が思い浮かぶ

185系と同時発売される小田急ロマンスカー・NSE(3100形)。ヘッドマークは「はこね」と印刷され、前に突き出たライトケースの形状は前面・側面ともに再現。窓枠およびワイパーとして銀色の色差しも入っている。185系より客室窓が大きいからか、こちらは内装表現が外側からも見やすい。クーラーを交換する際、運転席ごと交換するしくみになっている。

185系、NSE(3100形)ともに価格は7,700円。走行させる際は、別売の単3形乾電池が1本必要。従来の「プラレール」を思えば少々高めに設定されているが、ディテールの作り込みや懐かしのラインナップを見るに、大人世代にも受け入れられる可能性は高いだろう。当日取材した担当者によれば、まだ車両は発表できないものの、第2弾の発売も予定しているとのことだった。

■「トランスフォーマー」の「トレインボット」に485系が登場

最後に、「トランスフォーマー」の鉄道テーマ「MPG」シリーズの試作品を取材した。「MPG」は、最上位シリーズ「マスターピース」をさらに発展させたシリーズ。昨年6月に発売した第1弾「MPG-01 トレインボットショウキ」を皮切りに、1987年に放送されたアニメ『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』に登場した6体のロボットを順番に発売している。

各機は、列車の姿をしたビークルモードからロボットモードに変形し、さらに「トレインボットライデン」へ合体する際の合体モードへの3段階に変形。6体すべてそろえると、「トレインボットライデン」に合体できる。ビークルモード時のスケールは、トミーテック協力の下、HOスケール(80分の1)で再現している。

会場では、5体目のロボットとなる「MPG-05 トレインボットセイザン」が初めて展示された。特急形電車485系から変形するロボットで、「トレインボットライデン」への合体時は右腕と右足のレッグビームに変形する。9月下旬発売予定で、価格は2万2,000円。ロボットモード時は専用武器の「ブレインレーザー」や「ライデン」用光剣・キャノンを装備し、劇中の多彩なアクションを再現できる。ちなみに、ビークルモード時の前面に「白鳥」のヘッドマークが装備されている。これに懐かしさを覚える人も多いだろう。

  • 「トレインボットショウキ」(写真左)と「トレインボットユキカゼ」(同右)

  • 485系が「トレインボットセイザン」に変形

  • 153系が変形する「トレインボットスイケン」(写真左)は6月発売。「トレインボットゲツエイ」(同右)は発売済

「セイザン」に先駆け、6月下旬には、急行形電車153系から変形する「MPG-04 トレインボットスイケン」が発売。価格は1万9,800円。「トレインボットライデン」への合体時は左腕と左足のレッグビームに変形する。ロボットモード時は自身の専用武器「ストームレーザー」と、「ライデン」用の「トレインバズーカ」を装備し、フルポーザブル仕様でアクションを再現できる。

今回、トミーテックは非常に多くの試作品を展示していたため、ここでは掲載できなかった製品も多数あった。今後発売予定となっている各新製品の詳細は、各社・各ブランドの公式サイトで確認してほしい。