「ホビーのまち静岡」に日本の模型メーカーが一堂に会する新作見本市イベント「第61回静岡ホビーショー」(主催 : 静岡模型教材協同組合)が5月14日まで開催されている。Nゲージ鉄道模型に関係するメーカーも出展し、試作品展示や新情報発表などを行った。

  • 「第61回静岡ホビーショー」に多数の鉄道模型メーカーが出展(写真はグリーンマックスの近鉄19200系観光特急「あをによし」)

今年の静岡ホビーショーは、5月10・11日を業者招待日、5月12日を県内の小中高校生招待日、5月13・14日を一般公開日として開催。筆者は初日の5月10日に会場を取材した。ここでは鉄道模型メーカーの大手であるKATO、マイクロエース、グリーンマックスの試作品展示を中心に紹介したい。

■KATOは「ビッグボーイ」試作品など展示、211系5000番代の製品化も発表

まずはKATOのブースを見ていく。情報発表の時点で話題となっていた「ビッグボーイ」やEF55形、HOスケールの「夢空間」、211系の試作品などが展示された。

5月30日出荷予定の「ユニオン・パシフィック鉄道 ビッグボーイ #4014」(品番「126-4014」、価格4万9,500円)は、1959(昭和34)年に一度引退するも、2019(令和元)年に復活した世界最大級の蒸気機関車を製品化。「4-8-8-4」の軸配置で、総重量は507トン。全長40m(炭水車を含む)にも及ぶ車体を160分の1スケールと復活車両ならではの光沢仕様で再現しつつ、重量級の足回りもリアルに再現するという。

それほどまでに巨大な機関車であるにもかかわらず、同機はR282までのカーブを走行可能。会場では、R315の曲線を使用した線路でデモ走行も実施しており、大型の車体を内側に寄せながらカーブを通過する「ビッグボーイ」を見ることができた。非常に大きな体躯でありながら、テーブルサイズのカーブを難なく走行する迫力に、筆者も驚いた。

  • KATOが「ビッグボーイ」およびディーゼル機関車の鉄道模型を発売。デモ走行ではR315の曲線を難なく通過した

「ビッグボーイ」発売に合わせ、補機となるディーゼル機関車「EMD SD70M フラットラジエーターUP #4015 エクスカージョン」(品番「176-4015」、価格1万5,400円)も発売予定。ウォーターテンダーやエクスカージョントレイン(客車編成)も再生産される。

8月発売予定の電気機関車「EF55 高崎運転所」(品番「3095」、価格1万5,180円)は、車体全体に塗装を施した状態の試作品が展示された。前後位で形状の異なるEF55形の前面、先輪の半分を覆うスカートなどを再現しつつ、こちらもR282までのカーブを通過できるようになっている。モデルは1986(昭和61)年の復活時の仕様だが、ユーザー取付けの信号炎管・列車無線アンテナにより、2002(平成14)年以降の姿も再現できる。

展示台の下では、12系客車を牽引するEF55形のデモ走行が行われていた。公称の通り、同機はR282のカーブをスムーズに通過。実車は鉄道博物館に保存されているが、Nゲージ鉄道模型でより身近になり、さまざまな編成で楽しみやすくなることが予想される。EF55形に合わせ、当時の復活運転を再現した「高崎運転所 旧型客車」(品番「10-1805」、価格2万900円)も発売。スハフ42形・オハ47形に加え、3軸台車が特徴の「スエ78 15」も収録される。

  • EF55形の前面は流線形

  • EF55形の後位側は切妻形状となっている

  • 「高崎運転所 旧型客車」の「スエ78 15」。付属パーツで非デッキ側貫通扉の有無を変更できる

  • 「夢空間」の「オロネ25 901」。個室側はカーテンを表現

  • 「オハフ25 901」。カーテンやステンドグラス、点灯式の電気スタンドなど再現

  • 「オシ25 901」。テーブルライトが点灯する

他にもHOスケールの「夢空間」や、4月下旬に発表されたばかりの211系など、多くの試作品が展示された。「(HO)24系<夢空間>3両セット」(品番「3-522」、価格4万9,500円)は、3両それぞれ異なる外観を美しく再現しつつ、内装も細かく作り込まれている。「オシ25 901」はテーブルライトも点灯する。5月30日出荷予定とのこと。

211系は、1992(平成4)年頃の0番代10両セット(品番「10-1848」、価格3万3,660円)、2000番代5両付属編成(品番「10-1849」、価格1万8,480円)と、特別企画品として0番代国鉄仕様の15両セット(品番「10-1850」、価格4万9,720円)の3種類でフルリニューアル。いずれも東海道本線を走行した田町電車区所属編成となる。グリーン車は、10両セットに2階建て「サロ212」と通常型「サロ211」、特別企画品に通常型「サロ210」「サロ211」を組み込んでいる。

  • 東海道本線の211系0番代・2000番代をリニューアル。静岡地区の5000番代も企画進行中

10両セット・5両セットは10月、特別企画品は9月に発売予定。さらに211系フルリニューアル第2弾企画として、211系5000番代を製品化することも会場で発表された。2024年春予定として企画進行中とのことだった。

■マイクロエースの「富士山ビュー特急」、光るテーブルランプに注目

続いてマイクロエースのブースに展示された「富士山ビュー特急」とE721系1000番代、103系プラキット試作品を紹介。先月発表された「富士山麓電気鉄道8500系『富士山ビュー特急』3両セット」(品番「A1075」、価格2万2,550円)は、富士山方先頭車両「クロ8551」のテーブルランプが点灯する。展示された試作品を通して、暖かみのあるランプが車内に灯っている様子が見て取れた。物理的には小さくても、テーブルランプの存在感は十分に表れている。

JR東海371系時代とは異なる冷房をはじめ、中間車両「モハ8601」の屋根上に、371系時代にアンテナがあった部分をふさぐパーツや「クロ8551」の床下機器といった、実車では見づらい箇所も371系時代との違いを見事に再現している。水戸岡鋭治氏デザインによる鮮やかな赤色の塗装と金色のレタリングもしっかり再現されていた。

  • マイクロエースの「富士山ビュー特急」。テーブルランプが点灯し、371系時代との違いも再現

「富士山ビュー特急」と並んで、「E721系1000番台 4両セット」(品番「A7497」、価格2万8,930円)についても詳細な展示があった。同車は総合車両製作所(J-TREC)製の車体を再現しているが、過去に発売されたE721系0番代は川崎車両製の車体で製品化している。そのため、側面窓上の外板接合部の有無、屋根・妻面のリブの数に違いがあるという。1000番代と0番代における無線アンテナの違いや、ヘッドライト4灯、更新された計器用変圧器も再現する。

なお、同型車両である「阿武隈急行AB900系第一編成 2両セット」(品番「A7120」、価格1万7,160円)は、パンタグラフ周辺の一部機器を省略した屋根がJR車と作り分けられる。

  • E721系1000番代は総合車両製作所(J-TREC)製の車体を再現。103系の未塗装プラキット(右の画像)も発売予定

HOスケールの103系新製冷房車プラキットも近日中に受注開始するとのこと。一体成形の未塗装ディスプレイキットとして、4両の高運転台(ATC)車と2両の増結用中間車を発売予定。はめ込みガラスや内装部品も付属する。取材時点では価格未定だが、「お求めやすい価格とグレードアップした内容で復活!」とパネルに記載されていた。

■グリーンマックスの「コメダ珈琲店」が話題、近鉄「あをによし」も

最後にグリーンマックスの展示から、詳細な解説のあった近鉄観光特急「あをによし」と、大きな反響を呼んだ「コメダ珈琲店」を紹介する。8月発売予定の「近鉄19200系観光特急『あをによし』」(品番「50745」、価格3万250円)は、かつての12200系「スナックカー」から改造した観光特急をNゲージ化。1・3・4号車「ツインシート」と2号車「サロンシート」を新規金型で再現している。

車内の各テーブルに設置しているガラスのスタンド照明はクリアブルーの別パーツで表現。会場では、室内灯を組み込んだ状態で試作品が展示され、大型の客室窓越しに車内の様子がわかるようになっていた。スタンド照明が小さいながらも存在感を放っている。

外観を見ると、紫色(紫檀メタリック)の車体に金色のレタリング・色差しを細かく再現。正倉院の宝物をイメージした車体側面のラッピングもきれいに印刷され、目を引いた。「吉祥文様花喰鳥」を参考にしたという前面のエンブレムは別パーツで立体的に表現され、前面下部の標識灯・後部灯も点灯する。

  • グリーンマックスが近鉄観光特急「あをによし」をNゲージ化

  • 内装を作り分け、外観のラッピングも細かく再現

  • 近鉄京都線澱川橋梁のジオラマ(制作・協力 : 四八・キャスコ事業部)にも「あをによし」が展示された

「あをによし」と並んで注目された製品が、今月発表されたばかりの完成品ストラクチャー「珈琲所 コメダ珈琲店」(品番「2713」、価格5,940円)。ログハウス調のデザインで、壁面のレンガやランプ、背面の室外機等を印刷で再現するとともに、それらによる外観の微妙な凹凸も表現していた。窓ガラスに窓枠とロゴマークを印刷し、室内の客席も一部再現している。

屋上看板はユーザー選択式で、付属ステッカーを貼る部分もあるが、基本的には購入時点で完成しているという。10月の発売を予定しており、配布されたパンフレットを見ると、「鉄道模型のレイアウト・ジオラマへの設置はもちろん、インテリアとして単体で飾っても楽しめる」と紹介されていた。

会場でも、Nゲージサイズのコメダ珈琲店は多くの関係者の目に留まったようで、そのままブース担当者の解説に耳を傾ける人の姿も見られた。コメダ珈琲店にて季節限定で発売されたコラボメニュー「クロネージュ ブラックモンブラン」「シロノワール ブラックモンブラン」の話題と重なってか、SNSでも話題になったようだ。

  • コメダ珈琲店がNゲージのストラクチャーで登場(展示品には室内灯を使用)

  • 外観の装飾は印刷表現で、それによる凹凸も再現している

  • 10月には留萌本線最終日の4両編成など発売予定

その他の新製品として、3月31日に留萌本線石狩沼田~留萌間を走行した「ありがとう留萌本線セット」や、8両編成化した東急電鉄5080系(5189編成)なども発表された。瑠璃色・国鉄特急色のE653系1000番代も、仕様変更・ステッカー追加の上、再生産される。

今回紹介した製品の他にも、多数の新製品が発売予定となっている。それぞれの詳細については、メーカー各社の公式サイト等で確認してほしい。なお、KATOの「ビッグボーイ」とEF55形に関して、KATOの公式サイト内に特設ページも開設されている。