13日のテレビ朝日系ドキュメンタリー番組『テレメンタリー2023』(テレビ朝日4:50~、地域により放送時間が異なる)では、長崎文化放送制作の「軽傷ではない~飲酒事故被害者の10年~」を放送する。

  • 前川希帆さん=テレビ朝日提供

2013年11月3日午前9時11分、長崎県佐々町の片側1車線の国道204号で無免許と酒気帯び運転の土木作業員の男(43)が普通乗用車を運転中、携帯電話の会話に気を取られ道路左の縁石とガードレールに衝突、はずみで対向車2台と衝突し、4人に傷害を負わせる事故が起きた。衝突された2台のうち正面衝突された軽乗用車には、将来プロのトランペット奏者になる夢を抱き、母の運転で県外の大学の音楽学部の推薦入試を受けるため駅に向かっていた県立佐世保東翔高3年の前川希帆さん(18)が乗っていた。母親は全治約10日の胸骨骨折、希帆さんは全治約1カ月の前額部・頬部・上唇裂傷等の傷害を負った。唇や頬が裂け、前歯4本を失ったが、警察庁は交通事故によって負傷し1カ月(30日)未満の治療を要する場合(人)を「軽傷(軽傷者)」と定義。事故後地元報道機関も「軽傷事故」「軽いけが」と報じた。

しかし希帆さんの夢は“致命傷”を負うことに。当時県の高校生ソロコンテストで優勝し将来を期待された音色が出せなくなった。日々練習を続けたが取り戻せず、模索した大学時代、夢は「高校の音楽教師」「吹奏楽部の指導者」に進化し、挑み続けてきた。事故から今年で10年。希帆さんは、「諦めないこと、一日一日一生懸命大切に過ごしていくことが大事だと思う。日々ニュースなどを見ていると当たり前の毎日は約束されていないと感じるが、音楽ができることの幸せ、家族がいることの幸せ、友達と過ごせることの幸せなどを実感し生きてほしいと思うし、私はそれを伝え続けていきたい」と語る。

テレメンタリー2014「軽傷ではない」、2018「軽傷ではない~奪われた夢 希望の帆~」の続編となる、幾多の壁や試練に挑み、夢を諦めず不屈の思いで人生を切り開き続けた10年の記録。ナレーションはEXILEのTAKAHIROが務める。