今回は「お察しします」の意味や使い方を解説します。相手にトラブルや身内のご不幸があった際に、相手の気持ちに寄り添うことを表すフレーズです。ビジネスシーンでもよく使用されるからこそ、使い方や例文、目上に使える丁寧な表現、言い換えなども覚えておきましょう。
【結論】「お察しします」は相手の気持ちに寄り添う言葉、使い方は「心中(お気持ち)お察しします」など
「お察しします」は、「気持ちわかりますよ」と相手の心に寄り添う意味を持つ言葉です。相手にご不幸や悪いことがあった際に、「心中お察しします」「お気持ちお察しします」「胸中お察しします」と使うのが一般的です。
詳しい意味や使い方をチェックしていきましょう。
「お察しします」の意味
「お察しします」は「相手の気持ちを理解できる・推し量る」などのように、相手の心に寄り添う意味を持つ言葉です。好ましくない状況に置かれている相手に、「それは大変でしたね」「辛いですよね」といった共感の気持ちを伝えられます。
「お察しします」の使うときの注意点
「お察しします」を使用する場合、相手は非常にセンシティブな状況に置かれていることがほとんどです。使い方を誤らないように注意しましょう。
ここでは「お察しします」を使用する際の注意点をピックアップしました。
ポジティブな使い方はしない
「お察しします」は相手にトラブルや身内のご不幸があったときに使われる言葉のため、結婚や出産などの慶事に使うことは厳禁です。
「私事になるのですが、最近妊娠が発覚して……」
「心中お察しします」
このような使い方はしないということを覚えておきましょう。
目上に使う際は関係性を考慮する
「お察しします」は相手の気持ちを推測し、いたわりの気持ちを伝える言葉ですが、ときには上から目線に捉えられてしまうこともあるようです。
そのため相手が目上の人の場合、関係性次第では「お察しします」をさらに丁寧な言葉に言い換えて使用するのがおすすめです。
「お察しします」のさらに丁寧な表現はのちほど紹介するので、チェックしておきましょう。
「お察しします」の目上に使える丁寧な表現
「お察しします」はすでに相手を立てた敬語表現である一方、場合によってさらに丁寧な言葉に言い換えて使用することがあります。
ここでは、「お察しします」のさらに丁寧な表現を紹介します。
お察しいたします
「お察しいたします」は「お察しします」よりもやや丁寧な表現として使用されます。
会社での直属の上司や友人の親御様など、比較的近い間柄ではあるものの、自分よりも相手を上に立てる際に適した言葉です。
目上の人に限らず、通常「お察しします」を使う場面では、単に「お察しいたします」に言い換えても問題はありません。
お察し申し上げます
「お察し申し上げます」は相手をさらに上に立たせる、より丁寧な言い回しです。そのため、相手が目上の場合に使用する表現です。
さらに、「心のなか」という意味の「心中」を文頭に付けて「心中お察し申し上げます」とすることもできます。
「お察しします」の使い方・例文
「お察しします」はビジネスにおいても使用する場面が多い言葉です。
ここでは、「お察しします」のビジネスシーンでの使い方・例文を紹介します。。
心中お察しします
「心中お察しします」の表現は、病気や事故など不幸な出来事によって人が亡くなったときに多く使用されます。非常にセンシティブな状況のため、声をかける際にはできる限り相手の気持ちに寄り添って伝えましょう。
「この度は突然のことに心を痛めておられることでしょう。心中お察しいたします」
「奥様に先立たれ、ご主人様やご家族のみなさまがどれだけお辛いことか、心中お察しいたします」
胸中お察しします
「心中お察しします」と同じように、「胸中お察しします」も相手に何かご不幸があった際などによく使用されます。「胸中」は男性に対してのみ使用した方がいいという意見もあるので、迷った際は「心中お察しします」と伝えた方が無難です。
「突然の訃報に接し、〇〇様の胸中お察しいたします」
「これからの生活や仕事について、さぞご心配なさっていることでしょう。胸中お察しいたします」
お気持ちお察しします
相手にトラブルや悲しい出来事、残念な出来事があった際に「お気持ちお察しします」ということで、「あなたの残念な気持ち、わかりますよ」と寄り添うことができます。
- 「この前の失注の件、お気持ちお察しします。次こそ成功できるよう、私も協力しますよ」
お察しください
社内で想定外のトラブルが発生し、思うように業務が進んでいない状況で、相手に対して「こちらの現状をわかって欲しい」と伝えたい際にも使用できます。このケースでは「お察しください」「お察しいただく」などの形で使用します。
「この度の突然の出来事に対し、私どもも戸惑いを隠せず、対処を行っている状況です。お問い合わせをいただいても対応もままならない状況が想定されるため、大変恐縮ですがそのような際にはお察しいただけると幸いです」
「現在、弊社の経営状況は大変厳しく、全力を尽くして対応しております。何卒お察しください」
「どうか、私どものやむを得ない事情をお察しいただきたく存じます」
「お察しします」と言われたときの返事
長い人生においては「お察しします」と声をかけられる場面にも何度か遭遇します。
誰かに「お察しします」と声をかけられた際、どのような言葉を返すのがよいのかを状況に応じてピックアップします。
お心遣いありがとうございます
「お心遣いありがとうございます」は相手の配慮に感謝する意味で使用します。丁寧な表現であり、取引先や上司に対しても使用できる便利な言い回しです。
また「お気遣いありがとうございます」も同様に使われます。
恐縮です
「恐縮です」はビジネスや社会において多用される言葉です。
「申し訳ない」気持ちと「感謝する」気持ちのどちらの意味でも使用されます。
痛み入ります
「痛み入ります」は「相手からの好意がもったいないと感じるほどありがたい」という意味があります。へりくだった表現のため、目上の人や上司、取引先に対して、丁寧にお礼を述べたいときに使用します。
「お察しします」の類語・言い換え表現
「お察しします」は慣用句として形式的に使用する機会の多い言葉です。また、同じ意味を持つ言葉や言い換え表現も多く存在します。
いくつかの言い換えを学び、TPOに合わせて適切に使い分けましょう。
わかります
「察する」「察している」気持ちを、比較的フランクに伝えられる言葉です。それほど重要でない場面を含め、幅広い用途で使用できます。
そのため、同僚や友人などの対等な立場の相手に使用することが多く、上司や取引先の相手などに使用すると、失礼な印象を与える可能性が高いため注意しましょう。
拝察します
「拝察します」は「お察しします」からさらにへりくだる場面で使用します。ただし「お察しください」のように、文頭に「ご」を付けて「ご拝察ください」とは言わないので気を付けましょう。
また「拝察します」は必ずしもネガティブな場面で使われる言葉ではなく、ポジティブな場面でもよく使用されます。
「〇〇様におかれましては、ご健勝のことと拝察いたします」
「ますますご活躍のことと、拝察いたします。」
ご賢察ください
「ご賢察ください」は「お察しください」と同様、相手にこちらの事情を察して欲しいときに使います。 特に目上の人や重要な取引先へ、より丁寧に伝えたい場合に使用します。
- 「先般お伝えしました私どもの事情をご賢察のほど、お願いいたします」
「お察しします」の英語表現
「お察しします」を英語で伝えたい場合、以下のフレーズを使用しましょう。
I know how you feel.
あなたの気持ち、わかりますMy thoughts are with you.
あなたを想っています(誰かが亡くなった際に使用する)
「お察しします」を使用する際は相手への配慮を忘れずに
「お察しします」は非常にセンシティブな場面で使用するため、傷心した相手の心に寄り添って伝えることが大切です。
意味や使い方、より丁寧な表現方法を理解し、相手の気持ちが少しでも和らぐように正しく使用しましょう。